左:加藤、右:荒井代表
AI駆動型インサイドセールスという革新的なサービスを核に、企業の営業効率を底上げする株式会社Cquick。
今回は代表の荒井さんにお話を伺いました。
「AI駆動型インサイドセールス」の詳細、多くの企業が抱えるAI導入への抵抗感を乗り越えるための戦略に、Radineer生成AI事業担当の加藤が迫ります。
CquickのAI駆動型インサイドセールスとは?
加藤:
荒井さんは4月に「AI駆動型インサイドセールス」という新しい営業手法をnoteで公開されていたかと思います。
私も拝見させていただいて、非常に興味深い内容だったのですが、改めて、AI駆動型インサイドセールスとはどのような内容を指すのでしょうか?
荒井さん:
AI駆動型インサイドセールスとはAIを駆使して、「人がやらなくてもいいこと」を自動化して、インサイドセールスのアウトプットを最大化することを指します。 特にプッシュ型営業(BDR)の全体像において、AIが使える領域は非常に多いです。
受注データ分析やフォーム営業などでのAIを活用はもちろん、弊社ではアポイント獲得後の前日リマインドコールなどもパートナー会社と連携してAIで実現しています。
事業会社が毎日・毎週受注分析を行うのは現実的ではないため、個別プロダクトを毎回作る必要はないと考えており、My GPTなども活用して支援しています。
加藤:
私自身もインサイドセールスを現時点もやっているのですが、確かに「ここが自動化できたらいいよな〜」と思っていたことが見事に抑えられていて非常に参考になりました。
インサイドセールスというとやっぱりアウトバウンドの架電営業も自動化できたらいいなと日々感じているんですが、こちらも自動化できるんでしょうか?
荒井さん:
そちらはまだ研究開発段階で、AI企業さんと共同でアウトバウンドコールへの応用ケースを蓄積しています。
営業担当者はZapier(AI搭載の自動化ツール)のようなツールを使いこなすのが得意ではないため、弊社でもノーコードサービスを活用し、架電以外の業務自動化を支援している状況ですね。
AI導入における企業の抵抗感を乗り越える
加藤:
AI導入の余地は営業領域でもターゲット選定、トークスクリプト、アプローチ、架電履歴の蓄積など全体に及ぶことがわかりました。
ただ、AIというだけで「なんか難しそう」とハードルや抵抗を感じている企業様も多いと感じています。
こういった導入にハードルや抵抗を感じている企業様には、どのようにご指導されていますか?
AIに親近感を持ってもらうための、クライアント様との会話の仕方などがあれば教えてください。
荒井さん:
そういった場合は、あえて「AI」というワードを避けて「このフローで分析時間を削減できますよ」というお客様目線で説明と提案していますね。
現場サイドではAIを使いたいと思っていても、上長の方々が「それどうなの?」となるケースも多いので、分析を効率化する、精度を上げる、時間を削減するといった目に見えて効果が分かるように言葉を選びます。
例えば、「新卒が作ったトークスクリプトにレビューする時間が減りますよ」といった、とにかく現場目線での省力化や、アウトプットの質の向上という文脈でお話しすることが多いです。
加藤:
あくまで能率化・効率化に注目していただき、実際の指導は現場担当者様と深くお話ししていくイメージですね!たしかにそれならわかりやすい!
AIコール活用の具体的な成果と事例
加藤:
お話を伺う中で個人的に興味を持ったのがAIによる架電に関してなのですが、AIでの架電は、AIの音声でクライアント様にアプローチする認識で合っていますか?
荒井さん:
はい、その認識で合ってます。
加藤:
気になる点が一つあります。人が架電する場合とAIが架電する場合とで、アポイント獲得率に差は出たりするのでしょうか?
荒井さん:
私たちが実施している範囲では、AIだから打率が低いとか高いとかは特にないですね。
ただ闇雲に架電数を増やそうとするとワークしないので、AIに架電をさせる際はシーンを絞った具体的な利用目的の方が重要です。
弊社で提案させて頂くことが多いAI架電の利用目的としては、大きく2つあります。
1つ目はリマインド系などの「やれたらいいけれど、どうしても後回しになっている」Nice to have的な業務への活用です。生産性向上というよりは、できていないことをAIで実現しましょうというアプローチです。
2つ目は、過去に接点があったが掘り起こせていないお客様に対しての架電です。例えば「1〜2年前に購入履歴のあるBtoCの携帯電話ユーザーに絞る」といった条件付けを行います。
人間が電話すると採算が合わない単価が低めのサービスを対象に、AIに「1年前はありがとうございました、新しいサービスが出たのですがいかがですか?」とアプローチさせます。
興味があれば担当者から再度連絡する、といった形で見込みリストを貯める使い方です。
加藤:
まさに「人がやらなくていいこと」の自動化ですね!すごい便利だ…
ただ私が一つ懸念に感じていることがあって、よくSNSなどで日程調整ツールのURLを送るだけでも嫌がられるみたいなビジネスマンの投稿等が散見されるように、AI架電についてもマイナスなリアクションが想像できてしまうのですが、いかがでしょうか?
荒井さん:
正直、AIだと分かってしまうと、若干マイナスな反応があることは事実です。
色々実験していますが、現状の結論としては、「AIです」と正直に伝えてアプローチする方が良いと考えています。
そのためにも、先ほどのような活用シーンの絞り込みが必要になります。
何でもかんでもできるという状況ではありません。
加藤:
お客様の条件付け、AIでアプローチするお客様の見定めみたいなところがAI架電の肝になるのですね。
あくまで、過去に一度関係性が築けている顧客の掘り起こし、リード発掘みたいな…
加藤:
では、新規顧客の発掘は人間が行い、掘り起こしや「できたらいいよね」という業務はAIに任せるというフローが、AI駆動型インサイドセールスの具体的な軸になるのでしょうか。
荒井さん:
そうですね。私たちが今一番取り組んでいるのは、ターゲット選定、トークスクリプト作成、架電以外の業務の自動化といった部分です。
これらだけでも大幅な時間削減ができ、電話に集中できるようになります。
しっかり確定したターゲットに架電するため、「全然リストが違う」といった無駄もほぼなくなります。
第一のテーマは、なぜこのターゲットにかけるのか、なぜこのスクリプトで話すのかを可視化し、新人が架電しても一定の成果が出るように闇雲な架電をやめること。
そして第二のテーマが、過去にやり取りや関係性があったお客様をAIで徐々に掘り起こしていくことです。
加藤:
お客様への質問やリストの質を担保しつつ、AIでの架電やフォーム営業で量も担保する。
質と量の両方を担保するのが、AI駆動型インサイドセールスということですね。
荒井さん:
そうですね。
提案する際に、効率性と効果性の話がごっちゃになることが多いのですが、闇雲な架電は効率的かもしれませんが、効果的ではありません。
人間であれAIであれ、そもそもやるべきかという議論が必要です。
どの領域でAIを使うかしっかり決めていかないと、失敗する可能性があります。
加藤:
ターゲット選定から、すべてのフェーズが非常に重要になるのですね。
ちなみに、トークスクリプトはAIを使ってどのように作成されているのでしょうか?
御社で確立された方法があるのでしょうか。
荒井さん:
はい、弊社の「型」のようなものを持っています。
このスクリプトで話すとアポイントが最も取りやすく、お客様に伝わりやすいという一定の型をベースにした作成が可能です。
定期的な見直しも必要なので、社内ではGPTを活用し、その型をすべて読み込ませています。
架電履歴を蓄積し、Aというスクリプトの結果をデータベースから引っ張ってきて、スクリプトの改善を検討する仕組みでブラッシュアップしています。
加藤:
「型」の内容について、お話できる範囲で構いませんので、教えていただけますか?
荒井さん:
トークスクリプトの考え方は、私たちが約3年間で70〜80社を支援し「取れない人」の音声データを解析してきた中で得られた知見に基づいています。
取れない人の課題は主に3点、長く話しすぎている、サービスを端的に伝えられていない、切り返しトーク(オブジェクションハンドリング)の不足です。
BDR(ビジネス開発担当)でアポイントを取るには、3分以内に端的に伝えるスクリプトが必要です。
断られるのが怖いからと話し続けたり、サービスが端的に伝わらなかったりすると、お客様は不信感を覚えるためアポイントが取れません。
トークスクリプトの作成時には、AIに「端的に言うとどういったサービスですか?」と質問し「まだ分かりません」と回答するなら、ディスカッションを始め明確にしていきます。
また、「今じゃない」「他社を使っている」「興味がない」など、お客様からの反論は、どのプロダクトでもだいたい決まっています。
AIに「なぜ今なのか」と問いかけたりサジェストしたりしてスクリプトを作成することで、一定水準のトークを可能にしています。
加藤:
取れない人の話し方のデータを集め排反的にしつつ、切り返すトークも用意して、あらゆる状況に対応できるオールマイティなスクリプトを作っていくイメージなのですね。
荒井さん:
そうですね。
電話営業における「トーク変数」は大きく3つ、かける先(ターゲットリスト)、トークスクリプト、話し方にあります。「闇雲な架電」をしてしまい、どこにかけたらいいか(ターゲット)が不明確なケースは非常に多いです。
また、効果的な話し方は業種業界によって違うことは分析できていて、法律事務所は忙しい先生方が多いので早く話す必要があります。
取れない人のトークスクリプトは、ゆっくり話しすぎていたり長かったりするため、「もう少しスピードを上げて」と指導するとアポイント獲得率が変わったりします。
現時点で、これらはAIでの集計までは可能ですが、まだ具体的なサジェストには至っていない部分です。
加藤:
スクリプトやターゲット選定の改善、前日リマインド、「できたらいいよね」の担保など、Cquick様のサービスを導入して、特に成果が出た企業様の事例を教えていただけますか?
荒井さん:
社名は出せませんが、以前noteに書いた製造業向けのBtoBアポイント獲得代行会社の事例が比較的良い例です。
この会社は月間3,000~4,000件の架電を3〜5名で実施しており、受付突破率が低いという課題がありました。
まずは、多岐にわたる「製造業」の中から具体的なターゲットを明確にすることに一緒に取り組み、突破率が低い理由の分析もAIで行いました。
この会社は、前回の電話からのリードタイムが短く架電頻度が高いことが原因だったため、2〜3週間は空けるといった実験を行なったところ、改善が見られました。
加藤:
この事例では、営業にかかる工数が何割削減でき、売上が何%上がったといった数値データはあるのでしょうか?
荒井さん:
キャンセル対応、申し送り、架電履歴の入力など、アポイント数によって増減する「変動業務」は、1日1時間程度の削減に成功しています。
これを純粋な架電業務に充てたり、個別のフィードバックやリスト、案件の追い方の改善といった、より質の高い業務に割けるようになりました。
結果としてコール数も向上しています。
加藤:
「AI駆動型インサイドセールス」、恐るべしですね…!
「AI駆動型インサイドセールス」によって、営業活動の効率と効果を最大化する画期的なアプローチを提案する株式会社Cquic。C今後に注目です。