Pinterestは、自分の好きな写真や画像を自分専用のコルクボードにピン止めして、それをシェアできるサービスです。ボードは「好きな服」「行きたいところ」「景色」など、カテゴリー分けすることができます。
PinterestはSNSと同様に、マーケティングにも有用なツールとして注目されています。
ここではPinterest広告のやり方やメリット・デメリットなどについて詳しく紹介していきます。
Pinterest広告とは
Pinterestは、2008年にアメリカで生まれ、日本では2014年に電通が、Pinterestを展開するピンタレスト・ジャパンとの業務提携を発表しました。
Pinterest広告は、Pinterestアドともいわれます。
Pinterestとは
Pinterestはアメリカで生まれたサービスで、世界中で4億を超える人が利用しています。
Pinterestの月間利用者は以下の通りです。
- 世界 4億3,300万人(2022年3月31日時点)
- 日本 約870万人(2020 年 12月時点)
米国を始め海外のいくつかの国では先行して提供されていましたが、2022年6月1日より、日本でも提供を開始しています。
日本では、PinterestとECサイトプラットフォームのShopify(ショッピファイ)とのパートナーシップが開始されました。
Shopifyで販売している方は、Pinterest広告や自然検索を通じてユーザーをECサイトに誘導できます。
また日本国内だけではなく、全世界のPinterestユーザーに自社商品を紹介できる大きなメリットがあります。
まだ購入先が決まっていない検討初期の段階のユーザーにアプローチできる魅力的な媒体のひとつです。
Pinterest 広告の種類
新しい情報を探索するプラットフォームであるため、広告ですが、Pinterestのコンテンツの一種としての扱いになっている点が他のSNS広告との違いです。
そのため、広告フォーマットに関しても通常の投稿(ピン)と同様に多様なものが用意されています。また、通常の投稿を広告として利用することも、広告用に新規で作成することもできます。
広告フォーマット | |
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画像 | 画像ピンはデフォルトのアドフォーマットで、1 枚の画像で作成されます。 |
カルーセル | 2〜5 枚の複数の画像で作成され、ユーザーは一枚一枚をスワイプして表示できます。 |
動画 | スタンダード動画ピンとも呼ばれ、通常のピンと同じサイズの動画が利用できます。 |
ワイド動画 | ワイド動画アドとは、ユーザーのモバイル画面全体に表示される動画です。 |
コレクション | モバイルデバイスのフィードで、3 枚の画像とその上のメイン画像の形で表示されます。 |
アイデアピン | 複数の動画、画像、リスト、カスタムテキストを組み合わせて 1 件のピンとして表示できます。オーガニック投稿としてのみ作成可能。 |
ショッピングアド | 「Pinterest カタログ」と呼ばれるデータフィードを利用したダイナミック広告です。 |
Pinterestでよく検索されている内容
日本のみならず世界的によく検索されているワードは以下の4つです。
- ファッション
- ビューティ
- インテリア
- フード
ユーザーは、日常的に使えるアイデアを探していることがわかります。
PinterestとInstagramの違い
Instagramでは、自分で撮影、加工した写真を投稿するのがメインなのと比べ、Pinterestはインターネット上で見つけた画像をピンするのがメインです。
自分の作品や日常を公開するというよりは、自分の好きな世界観やブランドの画像を周囲の人に知ってもらえるサービスになっています。
なお、Instagramは自身が食べた食事や購入した服、行った場所など過去の行動を投稿するのに対し、Pinterestは憧れているブランドの画像や作ってみたい料理の写真などをピンするサービスです。
そのため「写真を投稿する」の意味では同じですが、過去を投稿するのか、これから体験する未来を投稿するのか、の部分で大きく異なっていると言えるでしょう。
Pinterestは画像に外部リンクを付けられる
Instagramでは、画像のテキスト部分にURLを入力して投稿しても、外部リンクとしては機能しません。
しかしPinterestでは、ピンした画像に対して外部リンクをつけられます。Instagramよりも外部サイトへの誘導に向いているサービスだと言えるでしょう。
Instagramでは、公式アプリ内で他者の投稿をシェアする機能がありません。しかし、Pinterestには「リピン」と言って、他者の投稿を拡散する機能があります。
企業やブランドの情報を拡散したい場合は、Pinterestを活用すると良いでしょう。
Pinterest広告のアカウント構造
キャンペーン
キャンペーンとは、広告運用する際に一番最初に作る広告の枠組みで、なかに複数の広告グループを作れます。
キャンペーンは、以下の内容を設定できます。
- キャンペーンの目的
- キャンペーンの予算
キャンペーンの目的とは、Pinterest広告で得たい成果です。
1つのキャンペーンに対し、1つ目的を設定できます。
キャンペーンの目的によってターゲティングや入札、利用できるフォーマットが変わるため、適当に設定しないようにしましょう。
設定できるキャンペーンの目的は、以下の5つです。自社が得たい成果を選択して、成果向上につなげましょう。
- ブランド認知度の向上
- 比較検討の促進
- コンバージョンの獲得
- カタログ販売
- 動画視聴
広告グループ
広告グループはキャンペーンのなかに作ります。
1つのキャンペーンに対し、複数の広告グループを作成することが可能です。
広告グループは、以下の内容を設定できます。
- 予算
- 入札
- 実行日
- ターゲット
広告
広告は、Pinterestを利用するユーザーに表示される広告です。広告グループのなかに複数の広告を作れます。
Pinterestアドマネージャーと呼ばれるキャンペーンの管理や計測ができるツールで、広告から成果が出ているかの確認が可能です。
Pinterest広告のメリット
視覚的な訴求力が高い
Pinterestは画像に特化したサービスであるため、視覚的な訴求力が高い広告媒体と言えます。そのため、ビジュアルが重視される食品系やウエディング系などの企業が広告を出稿すると、効果的です。
特にファッション系の企業は最適で、商品をコーディネートした画像をPinterestに貼ることで、商品の魅力をダイレクトに伝えられます。
またほかのサイトやユーザーの画像を自分のボードにピンでとめて保存できるので、ほかのSNSの王に異なるユーザーの投稿を引用・拡散するという感覚にはなりにくい点があります。
そのためほかのSNSよりも自然に拡散される可能性が期待できます。
購買意欲の高いユーザーが利用している
Pinterestを利用するユーザーは、購買意欲の高いユーザーが多い傾向にあります。
Pinterestが自社のユーザーベースで調査した結果、利用者の90%が「購入の意思決定にPinterestを利用している」と回答しています。つまり、Pinterest広告は顕在層顧客への訴求として大きな効果が見込めるということです。
また、Pinterestユーザーのうち72%が、特に商品を探していない場合でもPinterestにより購入を考えるというデータあります。したがって、顕在層だけでなく、潜在層顧客を商品の購入へと誘導することも可能です。
そして、Pinterestユーザーは情報に敏感な女性が多いという特徴もあります。
アメリカのSproutSocialが行った調査によると、アメリカのPinterestユーザーのうち17%が男性で、45%が女性という結果が出ています。
Pinterestは比較的女性のユーザーが多く、購入やリファラル流入につながる傾向が高い特徴があります。
そのため、特にファッション系のECサイトやレシピ系のメディアでの活用が多く見られます。
参考:Here’s how people shop on Pinterest Pinterest for Business
参考:Social Media Demographics to Inform a Better Segmentation Strategy SproutSocial
Pinterest広告のデメリット
挙げられることといえば、日本においてはTwitterやInstagramと比較すると認知度が低い点でしょう。
世界的に見てユーザー数はTikTokと同じくらいですが、日本国内での認知度はまだまだこれからといった様子です。
しかし最近はTVCMなどでも見かけるようになったので、今後の動向に注目といえるでしょう。
Pinterest広告の支払い
Pinterest広告費用には、請求のタイミングが2種類あります。
- 支払い基準額に達した時点での請求
- 毎月1日に前月分の請求
支払い基準額とは、広告の利用料金が基準に達すると、その日の終わりに請求すると定められた金額です。
初めて広告を利用する場合、お支払い基準額は低めの$50(日本円で6,728円ほど ※2022年6月10日時点)に設定されています。
そのため広告を始めたばかりであれば、利用料金が$50に達すると当日中に利用料金の累計が請求されます。
Pinterest広告のやり方・手順
Pinterest広告の始め方はこれから紹介する3種類があります。
- ビジネスアカウントを新規で作成する
- 個人アカウントからビジネスアカウントに変更
- 個人アカウントにビジネスアカウントを紐づける
ビジネスアカウントを新規で作成する
メールアドレスとパスワードを入力して進めると、ユーザー名と年齢、性別を求められます。性別と年齢は入力しないでも登録が可能です。入力を終えたら「登録」ボタンを押します。
登録ボタンを押すと、アプリの紹介ページになります。
ここでは「あとで」を選択します。5つの興味関心を選ぶと、その情報を元にホームのフィードがカスタマイズされます。
登録が完了すると、自分のアカウント名が右上に表示されているはずです。
ちなみに、画面右下にある「+」ボタンを押すと、プラグインのインストールが促されます。プラグインを使うと簡単にPinすることができるようになります。
個人アカウントからビジネスアカウントに変更
個人アカウントにビジネスアカウントを紐付けして管理することもできます。ログインも個人アカウントと同じメールとパスワードで可能です。作業中のアカウントの切り替えも簡単に行えます。
- Pinterestの個人アカウントにログインします。
- 画面右上の [v] マークをクリックします。
- [ビジネスアカウントへ切り替える] をクリックします。
- [アップグレード] をクリックします。
- プロフィールを作成します。入力後、[次へ] をクリックします。
- すぐに [ピンを作成する] [プロフィールを作成する] か、画面左上の [×] のアイコンをクリックしてビジネスアカウントに変更します。
個人アカウントにビジネスアカウントを紐づける
個人アカウントにビジネスアカウントを紐付けして管理することもできます。ログインも個人アカウントと同じメールとパスワードで可能です。作業中のアカウントの切り替えも簡単に行えます。
- Pinterest の個人アカウントにログインします。
- 画面右上の [v] マークをクリックします。
- [アカウントに追加する] をクリックします。
- [ビジネスアカウントを作成する] の下側の [作成する] をクリックします。
- [個人アカウントにリンクするビジネスアカウントを作成する] をクリックします。
- [リンクされたアカウントを作成する] をクリックします。
- プロフィールを作成します。入力後、[次へ] をクリックします。
- すぐに [ピンを作成する] [プロフィールを作成する] か、画面左上の [×] のアイコンをクリックしてビジネスアカウントを作成します。
Pinterest広告を使ったマーケティング方法
目標の設定
SNSマーケティングの主な目的は、ブランドの知名度を上げること (58%) やコミュニティの強化 (41%) が上位になっています。増やしたいのがフォロワーでも売上でも、Pinterestでの目標設定が第一歩となります。
目標設定は、どんなマーケィングにも大きく影響します。ビジネスの市場動向やビジネスの位置付けを考慮することになり、自身の強みや強化する点、目標への工程も分かります。
Pinterestマーケティングの適切な目標設定には、以下のようなものがあります。
- ブランドの知名度を上げる、またはブランドを新たに発信する
- 販売網を確立する
- ブランドを支持してもらう
- エンゲージメントを上げる
まずは上記の1つか2つを選んで、はじめてみましょう。狙いを絞ることで、仕事への集中力が上がり、目標達成に近づきます。
市場動向のリサーチ
Pinterestマーケティングは、市場動向を知ることからはじまります。世代分布や統計調査のいろいろな資料から、自社のブランドの客層となるPinterest利用者像をイメージしてください。
これにより、デザインやテキストなど、自社のオーディエンスの好みに合うコンテンツが作成できます。
ブランドの客層となるPinterest利用者について理解しましょう。競合ブランドのPinterestマーケティングも参考になります。
また、Pinterestマーケティングをはじめるにあたって、Pinterestアナリティクスの「オーディエンスインサイト」からオーディエンスのデータを収集、分析することができます。
Pinterestのビジネスプロフィールの作成
情報更新があれば、ビジネスアカウントにログインし、画面右上の [v] マークをクリックして [設定] からプロフィールを編集します。
ビジネスプロフィールを作成するには、Pinterestをホームページや他のソーシャルメディアに連動させてブランディングを行いましょう。「名前」 (アカウント名) は、可能な限りFacebookやInstagramなどの他のSNSと統一します。「写真」 (アイコン画像) も同じものを使い、よく分かるようにブランドを示します。
情報の入力後、画面左の [認証済みのアカウント] をクリックし、ホームページなどの他のウェブサイトを認証しましょう。
ボードの作成
ボードの運営はPinterestマーケティングの要です。理由はいくつもありますが、ひとつには、ボードを細分化すれば、以下のようにさらに多くのフォロワーを得られるからです。
- 最適な検索キーワードを利用者に示し、商品を見つけやすくする
- Pinterestではニッチな分野が注目を集めており、ニッチなボードによってニッチな客層を集客できる
- ボード内の品揃えが一目で分かり、利用者の手間隙を省ける
ボードを分別することで、商品を分類でき、商品タイプごとにオーディエンス好みのボードを作成できます。「サブボード」 (ボード内のボード) も作成でき、さらに充実した商品提案が可能です。
検索ワードを検討する
検索ワードこそがPinterestマーケティングに必要不可欠であり、Pinterestは検索に強みがあります。
ユーザーは主に商品購入を決断するためのリサーチでPinterestを利用し、Pinterestで購入もします。
つまり、利用者が商品検索したときに、あなたの商品のピンが表示されるようにしておきたいところです。ひとつのピンに複数の検索ワードを盛り込んでもよいでしょう。
コンテンツの構成を作る
Pinterestマーケティングで効果的なコンテンツの種類はさまざまです。コンテンツの種類ごとに最適な作成方法を見ていきましょう。
ピンの作成にあたって、すべてのピンがサイトの該当ページにリンクされ、該当のビジュアルを含んでいることを確認してください。ただし、ひとつのリンクを多用して、オーディエンスをホームページの玄関前にまとめて置き配するのは避けたいところです。
Pinterest映えするテキストとは?
Pinterestの中心は常にビジュアルコンテンツで、利用者は結局のところ、色々な画像を見ながら何かを見つけるまでPinterestを漂流するわけです。
しかし、テキストに意味がないというわけでもないのです。ピンの画像がアイキャッチになっているのと対照的に、ピンの説明がクリックするかどうかの判断材料になっています。
テキストは大事で、テキストによって、ピンを見てほしい人に見てもらえるようになるのです。
成果をあげるには、以下のポイントをふまえてピンを説明しましょう。
- キーワードを先頭にして目立たせる
- 自然な文章にする
- 商品を売り込む
ピンの説明の字数は上限500文字ですが、クリックしなければ75から100文字しか表示されません。重要な部分を前に持ってきて、クリックされやすいようにしましょう。
いくらキーワードが重要だからといって、興味を引くものでなければ読んでもらえません。
公開スケジュールを決める
定期的にピンを公開しましょう。適切な1日のピン公開数が決まっているわけではありませんが、調査によると1日に1から5個、あるいは1日に15から25個のピン公開が理想的とする結果もあります。
Pinterestも他のSNSと同じように考えてみるのがよいでしょう。ピンが少な過ぎると、フォロワーが離れてしまいます。
まずは、無理のないように日程を決めて新しいコンテンツを作成していきましょう。
ピンを公開すると、Pinterestアナリティクスでマーケティングの効果を検証することができ、需要に対応していけます。
週一で5個公開して、リーチやエンゲージメントがよければ、その日程で公開数を増やしてみましょう。公開後あまり見てもらえなかった場合、日程と公開数を見直してください。
Pinterestマーケティングのコツ
以下の方法でPinterestマーケティングを向上させましょう。
- フォローボタンの設置
- 動画のクロスポスト
- ウェブサイトのURLを短縮しない
- グループボードを利用したコラボ
- Pinterestアナリティクスの検証
Pinterestの強みである、「潜在顧客や閲覧者の利用時間を長くすること」を最大限に活かすためにも「動画」の投稿はおすすめです。
写真とは異なり、動画を編集する時間や手間はかかりますが、写真よりも訴求力が高いです。
まとめ
Pinterest広告の特徴やメリット・デメリット、そして効果的なマーケティング方法なども解説していきました。
世界的に有名かつ人気のSNSですが、日本国内でいえばまだまだこれから認知度が高くないのが実情です。
その分、競争もほかのSNSより激化していないため、いち早く導入・参加することで競合に差をつけることもできるでしょう。
Pinterest広告のやり方はほかのマーケティング方法と似ている部分があるので、決して難しいことではありません。
とはいえ、初めての人や自身がない人にとってはなかなかうまくいかないこともあるでしょう。
そんな時には、専門の業者に依頼をするのも1つの手です。