「名店〇〇監修のインスタントラーメン」「〇〇大学教授監修の参考書」など、「監修(かんしゅう)」という言葉は日常的に目にすることが多い言葉です。
「監修」という言葉がついているだけで、思わず商品を手に取ってしまう人も多いのではないでしょうか。
この記事では、監修の意味や正しい使い方、専門家に監修してもらうメリット、監修を依頼する方法などを、分かりやすく解説します。
「監修」とは?言葉の意味と似ているもの
まず「監修」とは何か、言葉の意味についてご説明します。
監修の意味
【監修の意味】
[名](スル)著述・編集などを監督すること。また。その人。
監修とは、著作物の著述や編集、番組の演出・制作などを監督・指揮すること。また、その人。
出展:小学館デジタル大辞泉
本の著述の監修を例に説明すると、本に書かれている情報に誤りがないかチェックし、誤りがあれば修正することを指します。
そして、著述や編集などを監督する人を監修者と呼び、監修者の役割は本の作成に最初から最後まで携わるというよりは、要所において著者に専門的なアドバイスをすることがメインの仕事になります。
監修と似ているもの「監督」「編集」
監修と似ている言葉に「監督」と「編集」があります。
どちらも監修と似ているようで実は明確な違いがあるため、それぞれどのように違うのか確認してみましょう。
監督と監修の違い
監督といえば、映画監督、舞台監督、スポーツにおいてチームを指導する監督など、耳にする機会が多い言葉です。
監督は制作に最初から関わりを持ち、映画・舞台で演出など作品作りの指示を出したり、スポーツであればチーム全体を指揮したりするのに対し、監修は既に全体が出来上がっているものに対しチェックする立場という違いがあります。
編集と監修の違い
編集は、小説や漫画などの著作物について作者と一緒に考えて作る役割になります。
編集が、作者と共に物語の構成を考え、作者が作った内容をまとめて完成品にするまでが仕事であるのに対し、監修は出来上がった著作物の内容に誤りがないかをチェックする立場という違いがあります。
「監督」と間違いやすい「プロデュース」
監修と似ているもので「監督」と「編集」についてご説明しましたが、「プロデュース」も似ていて間違いやすい言葉であるため、「監修」と「プロデュース」の使い分けについてご説明します。
プロデュースとは?
日本におけるプロデュースとは、主にテレビや映画などのエンタメ作品や、コンサートやイベントなどを企画・制作する仕事を指しますが、これは和製英語です。
プロデュースは企画・制作について一から全てに携わり、制作資金の出資を行うこともあります。
作品をプロデュースする人をプロデューサーと呼び、プロデューサーは作品や商品に対して強い発言権を持っているのが特徴です。
テレビや映画などのほかにも、食品や洋服、化粧品などのプロデュースがあり、例えば洋服であれば洋服のブランドコンセプト・デザイン・素材・価格など全てのプロセスに関わります。
監修とプロデュースの違い
プロデュースが作品や商品を作る全ての工程に携わるのに対し、監修はその一部分の専門的な分野に限定されるという点に違いがあります。
全体を作り上げるのがプロデュース、そのうちの一部のチェックを担うのが監修です。
監修とプロデュースの使い分け
監修とプロデュースは作品や商品を作りあげるという点では一緒ですが、権限を持つ範囲が異なるため、その使い分けには注意が必要です。
監修の例として、食品の監修であれば味や配合する材料だけを専門家がチェックする、化粧品の監修であれば配合する成分だけを専門家が決めるといったことが「監修」です。
監修の使い方
監修という言葉は本の著述についてだけではなく、料理やコンビニのお弁当・お菓子、知育絵本や玩具、ドラマなど幅広く使われています。
監修の使い方としては以下の表現が考えられます。
「当レストランの新作メニューは、料理研究家の監修を受けて作成しています」
「人気パティシエの監修を受けて、コンビニが製造・販売しているスイーツが大人気です」
「この絵本は脳科学者の監修を受けて制作しているため、赤ちゃんの脳に良い刺激を与えます」
「春から始まる医療ドラマの監修を〇〇大学病院の医療チームに依頼した」
先述の通り、監修とは一から作品や商品を制作するのではなく、限定的な部分において専門家が内容に誤りがないかチェックすることを指しています。
よって、「レストランの新作メニューは、料理研究家の監修を受けて作成しています」という使い方を例に考えると、新作メニューの内容・盛り付け・分量・価格などを決めるのはレストラン、味付けを考えたり、配合する調味料などをチェックしたりするのが監修者の役割だということが判断できるでしょう。
また、本の著者・編者の他に監修者がいる場合は、タイトルの後ろに監修した個人名・団体名を書くのが一般的になります。
専門家に監修してもらうメリットと影響力
企業のオウンドメディアが情報を発信する際、専門家の監修を受けることは非常に大きな意味があります。
ここでは、専門家に監修してもらうメリットとその影響力についてご説明します。
専門家に監修してもらうメリット
オウンドメディアを専門家に監修してもらうメリットとして、大きなものは2つあります。
情報の信頼度が増す
メリットの1つめは、発信する情報の信頼度が増すという点です。
インターネットで何かを検索すると、様ざまなWEBコンテンツがあふれています。
多くのサイトがある中で、そこに書かれている情報の質は必ずしも均一ではなく、ここでいう情報の質とは信憑性、つまり信頼できる情報なのかということに他なりません。
発信する側として、発信する情報の質を担保するためにできるのが、専門家の監修を受けることなのです。
専門家とは資格保有者であったり、その分野の現場で実際に働いていたりする人たちであるため、正しい知識と最新の情報を保有しています。
専門家ではないライターが書いた記事について、内容が誤っていないか、読者に誤解を招く内容ではないか、書かれている内容が最新の情報に基づいているか、必要な内容が網羅されているかなどのチェックを専門家から受けることで、読者にとって情報の信頼度が上がり、安心して記事の内容を参考にすることができるでしょう。
専門家に監修してもらうことで情報の信憑性や信頼度が上がれば、その情報自体が有益なものになり、様ざまな人の役に立つ優良コンテンツとなります。
専門家に監修してもらった良質な記事を発信することで、そのコンテンツ自体の信頼度が高まり、有益なコンテンツを発信している企業として、企業価値を高めることにも繋がるのです。
YMYLジャンルにおけるSEO対策になる
メリットの2つめは、YMYLというジャンルにおけるSEO対策になる可能性がある点です。
YMYLとは「Your Money Your Life」の略で、主にお金・医療・健康・政治・行政などの分野の情報を指しており、これらの分野は人々に与える影響が大きいことからGoogleでは厳格な基準を設けています。
SEO順位を上げるにはより高い品質のコンテンツであることが求められるため、YMYLジャンルのSEO対策は非常に難しいといわれていますが、専門家自身による執筆や、専門家の監修を受けた情報サイトであれば、Googleの評価基準をクリアできる可能性があるのです。
監修を受けないとどうなるか?
専門家の監修を受けることによって有益で価値の高いコンテンツになる一方で、専門家の監修を受けないとどうなるかというと、検索エンジンからの評価が低くなります。
Googleがコンテンツを評価する際の指標はE-A-Tというもので、それぞれExpertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取って、E-A-Tです。
この指標によって、専門家が執筆した記事や専門家に監修を受けた記事などのように専門性・権威性・信頼性の評価が高いと判断された記事は、検索上位に表示されます。
企業のオウンドメディアから発信した情報に誤りがあり、それによって読者になんらかの被害が発生した場合、企業側にも責任を追及される可能性があるため注意が必要です。
専門家が監修することによる影響力
オウンドメディアから発信する記事は見る人の数も多く大きな影響力があります。
信頼性の高い専門家の監修記事を掲載することは、ブランドイメージを高めるためにも企業にとってプラスです。
専門家が監修する記事にはどのようなものがあるか例をご紹介します。
医師による監修
医療分野についての情報発信は高度な専門知識を必要とするため、医師自身が執筆していれば信憑性の確保ができます。
ただ、医師は非常に多忙な人が多いため、医師自身が執筆した記事よりもライターが書いた記事を医師が監修しているケースの方が多いのが現状です。
記事の中に医師が監修していることが明記されていれば、E-A-Tの評価が高くなるだけでなく、読者にも安心感を与えることが可能になります。
FPによる監修
FPはファイナンシャルプランナーの略で、金融分野における専門資格・FP資格を有した人たちです。FP資格は6つの分野に分かれていて、ライフプラン設計・金融資産運用・保険(損害保険・生命保険)不動産・税金・相続や事業継承があります。
FPの専門分野は幅広く法改正も多いため、個人が自分で最新情報を入手しようと思うと、途中でとても骨が折れる作業だと気が付くはずです。
だからこそお金まわり情報をまとめたコンテンツにはニーズがありますが、ネット情報では間違った情報に遭遇することも少なくありません。
FP資格保有者はいわばお金の専門家であり、人々のライフプラン設計だけでなく、マネーリテラシーを高める手助けをする役割もあります。
日本は世界に比べてマネーリテラシーが低い人の割合が高く、1人でも多くの人が自分の思い描いたライフプラン通りの生活を送っていけるよう、FPの監修を受けた情報を提供していくことは企業側にとっても大変価値のあることです。
管理栄養士による監修
レシピや食材の保存方法など食にまつわる記事については、管理栄養士の監修を受けると良いでしょう。
健康に良い食材の情報や、離乳食の作り方、話題の食べ物のアレンジレシピなどを掲載する場合も、管理栄養士監修であれば「健康に良さそう」という良い印象を読者に与えることができます。
発信するのが食品関係の企業の場合、管理栄養士監修の記事とともに自社商品を紹介すれば、その商品の販売促進に繋がるだけでなく、製造販売する企業のイメージアップにも効果的です。
専門家への依頼方法
監修を依頼できる専門家を見つける方法と、依頼方法についてご説明します。
専門家の見つけ方
本・雑誌・新聞などで記名記事を書いている人を探す
監修を依頼したい内容に関連した本の著者、雑誌・新聞などで記名記事を書いている人を探し、次にインターネットで氏名検索をして連絡先を探せたら直接依頼します。
紹介してもらう
医師・弁護士・税理士などの有資格者を探したい場合は、同じ資格保有者に記事の執筆や監修をしている知り合いがいないかを聞いてみましょう。
また、医師であれば勤務先の病院、弁護士・税理士であれば所属している事務所に相談することで依頼ができる可能性があります。
SNSで発信している人を探す
ブログやTwitter、Instagramなどで専門的なテーマで情報発信をしている人を探して、DMを送ります。
既に執筆や監修経験がある人はその旨記載していることもあるため、依頼をすれば引き受けてもらえる可能性が高いです。
FP資格者はお金まわりの情報についてSNS発信をしている人が多いため、比較的依頼がしやすいでしょう。
クラウドソーシングで探す
クラウドソーシングでは、有資格者が記事の執筆や監修を受付していることがあります。
その中から金額面や実績を見て条件に合う人に依頼を出すという方法もいいでしょう。
まとめ
企業がSEO対策やコンテンツマーケティングを成功させるためには、信憑性の高い記事や質の高い記事を掲載することが必須条件となります。
そして、信憑性の高い良質なコンテンツを提供するためには、専門家の監修を受けることが外せないポイントです。
インターネットやSNSの普及により、監修者を探したり依頼したりすることが以前よりも容易になりました。
SNSやクラウドソーシングで監修者を探す方法は便利である一方で、保有資格や経歴に虚偽がないとは限りません。
せっかく監修してもらっても、実際には資格がない人だったということになると、記事の信憑性が損なわれることになります。
顔が見えない相手だからこそ、依頼時には証明書の提出を求めるなど必ず確認をするようにしましょう。