X(旧Twitter)のなりすましという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは本人になりすまして、悪質なメッセージを送り付けるといった行為をする迷惑行為・ユーザーです。
しかし本人のX(旧Twitter)アカウントか、なりすましなのかを見分けるのが難しい面もあります。
ここではX(旧Twitter)のなりすましを見極める方法・本人特定から、被害にあった場合の対処法なども詳しく紹介していきます。
X(旧Twitter)のなりすましとは?
X(旧Twitter)のなりすまし行為は、芸能人やモデルといった有名人に多いかと思いきや、意外なことに一般人にもなりすますといったケースがあります。
有名人などのなりすましは、他サイトへの誘導や商品を売りつけるといった事を目的としていることが多いようです。
しかし一般人のなりすましの場合は目的が少し違います。
- 個人的な恨みをもっており、嫌がらせ・名誉棄損をすること
- ストレス解消のため
- 詐欺目的・他サイトへの誘導
- 個人情報の入手 等
それ以外にも目的はありますが、大まかには以上のようなことを目的としているようです。ネット上で誰でも出来るからこそ、絶えないトラブルでもあります。
X(旧Twitter)のなりすましではどんな被害をうけるのか
X(旧Twitter)でなりすまし行為はどんなものがあるのかの一例を紹介します。
- 写真や他のSNSで掲載している本人画像を勝手に流用して、自分のプロフィール画像として設定する
- 本人になりすまして、ユーザーにダイレクトメッセージを送る
- 実名や住所・電話番号といった個人情報をX(旧Twitter)上に掲載する
- 逮捕歴がある・不倫をしているなど、ウソの情報を載せる
- 誰か・第三者を攻撃するツイートをする
他の人からはあたかも本人であると見えてしまうので、非常にやっかいです。
X(旧Twitter)のなりすまし特定の方法と対処法
X(旧Twitter)上でなりすまし行為に遭った場合の犯人を特定する手順を紹介します。
権利侵害を立証する
まずはなりすましアカウントの行為によって発生している「権利侵害」の確認から始まります。権利が侵害されていると判断するためには以下のものを基準に見ていきます。
名誉棄損:なりすましアカウントが、本人の評判やイメージを悪くさせるようなツイートをしているか
プライバシーの侵害:本人の住所や電話番号といった個人情報や、私生活に関する情報をツイートしていた場合
肖像権・著作権侵害:本人の写真などを勝手に流用している場合
以上のような行為に当てはまると分かった場合は、そのツイート画面をスクリーンショットで保存しておくことで証拠の保全になります。
IPアドレスの開示請求
次に権利侵害があったと確認出来たら、X(旧Twitter)社に対してIPアドレスの開示を求めます。
IPアドレスとは、インターネット上に存在している「住所」のような扱いで、1人1人違ったアドレスを持っています。
プロバイダの特定
IPアドレスの開示請求が通れば、そのまま相手が利用しているプロバイダの特定も可能になります。
プロバイダの特定が完了できると、プロバイダに対して「個人情報の開示請求」を行います。
この時にプロバイダがなりすまし犯に対して個人情報開示の可否を聞きます。
多くの場合は「拒否」されてしまいますが、開示請求を続けることで情報が公開されることもあります。
犯人の特定には期限があるので注意!
X(旧Twitter)上で受けたなりすまし行為による犯人特定は、いつまでも可能というわけではありません。
一般的にはプロバイダ側では「3か月程度」しか保存されないといわれています。この期間を過ぎてしまうと、IPアドレス情報が入手できないために犯人の特定が出来ないといケースも。
情報開示手続きをして犯人が特定できるまでの期間の目安を一覧にしておくので参考にしてください。
犯人特定にかかる期間の目安 | |
---|---|
IPアドレス開示請求(仮処分) | 1~2ヶ月 |
個人情報開示請求(裁判) | 3~6ヶ月 |
なりすまし犯人に対して請求できること
なりすまし行為によって権利侵害が立証されれば、裁判によって慰謝料の請求が可能となります。なおインターネットで受けた権利侵害による慰謝料の目安をまとめました。
権利侵害 | 慰謝料の目安 |
---|---|
名誉毀損(一般人) | 10〜50万円 |
名誉毀損(事業主) | 50〜100万円 |
侮辱 | 10〜50万円 |
プライバシー侵害 | 10〜50万円 |
プライバシー侵害(ヌード写真の公開) | 100万円以上 |
もちろんこれはあくまで目安となっているので、被害の程度や状況によってはこれ以上・以下にもなります。
なりすまし犯人は逮捕できる?
基本的には民事訴訟による損害賠償請求で終わることが多いですが、被害の程度・内容によっては犯人を特定した後に刑事告訴になる場合もあります。
インターネット上でなりすまし行為が「犯罪行為」だとみなされた場合の刑罰は以下の通りです。
権利侵害行為 | 罰則 |
---|---|
名誉毀損 | 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金 |
侮辱 | 拘留(1日以上30日未満刑事施設拘置)または科料(1,000円以上1万円未満の罰金) |
なお「プライバシーの侵害」と「肖像権の侵害」は犯罪行為にはあたりません。
X(旧Twitter)のなりすましアカウントの削除方法
X(旧Twitter)の利用規約によると、そもそもなりすまし行為自体を禁止しています。
法的な手段以外にもなりすまし行為の被害に対応する方法はあります。まずはX(旧Twitter)社に対してなりすまし行為をしているアカウントの削除申請をする事です。
- X(旧Twitter)の「ヘルプセンター」から「なりすましアカウントを報告する」をクリック
- 「アカウントが私、または私の知り合いのふりをしています。」を選択
- 「なりすましにあっています」を選択
- なりすましアカウントのユーザー名・自分のメールアドレス、付記事項を記入
- 下部の「送信する」ボタンを押す
5ステップで完了しますが、X(旧Twitter)社の判断次第となってしまうので必ず申請が通るとは限りません。
X(旧Twitter)社がなりすまし行為だと判断した場合は、アカウントの削除・凍結処理がなされます。
X(旧Twitter)のなりすましを見分けるポイント
見分けることが難しいX(旧Twitter)のなりすましアカウントですが、いくつかのポイントで見ていけばすぐに分かります。
ここでは見分けるポイントを項目ごとに紹介します。
X(旧Twitter)のユーザー設定が初期段階のまま
多くの人がX(旧Twitter)を始める時に、アイコンやヘッダー画像を設定します。有名人であれば自分の写真を使うことが多いでしょう。
しかしなりすましアカウントの場合は、面倒な初期設定を飛ばしてしまうこともあります。
X(旧Twitter)の初期アイコンは「たまごマーク」なので、このマークをみたら一つの基準としましょう。
アカウントの作成日が最近
なりすましをしているアカウントの中には、アカウントの作成日が直近であることが多いです。
これは、何かしらの目的のために作成されたことを意味している可能性があるからです。
アカウントの作成日は、プロフィールに記載されており、この日にちは自分で変更することができません。
「イラストレーター」や「お金配り系」「投資系」などでもよくあるのが「〇〇年で年商1億円~8年前からSNSで情報発信」といった記述がポストされていたり、プロフィールに書かれていたら要注意!
そもそもそんなに前から活動しているならアカウントの作成日が直近であることはまずないからです。
X(旧Twitter)アイコンがコロコロ変わる
アイコンを初期設定のまま変わっていないアカウント以外にも、アイコン自体がコロコロと頻繁に変化するアカウントにも注意しましょう。
周囲の人間に、アカウント凍結・削除といったペナルティを受けたアカウントだとバレないためにしている可能性があります。
「最近浮上しました」「やっと戻ってこられました」といったプロフィールにも、中にはペナルティを受けた後である可能性も否定できません。
アカウント名・アカウントIDが単純な単語の組み合わせ
X(旧Twitter)のアカウント名は「@~~」と@の以下で把握します。この@以降は自分の任意で決められるのが特徴です。
有名人や企業・公的な機関であれば、アカウント名はその名前を使うことが多いです。
なりすましアカウントは、この名前に「a」や「1」といった一見するとバレにくい単語を少し足して、本人もしくは「サブアカウント」のように偽装しようとします。
@以降の名前が本人によく似ているからといって、本人であるかは分からないので注意しましょう。
なりすまし行為は犯罪になる場合も
なりすまし行為は、以下の権利を侵害している場合に犯罪になる場合があります。
- 名誉棄損
- プライバシー侵害
- 侮辱罪
- 肖像権の侵害
名誉棄損
名誉棄損とは、「公然」と「事実」を適示してい人の名誉を棄損した場合に成立する犯罪のこと
を指します。
SNSやネット掲示板などで、誰でもその情報が閲覧できる状態で情報を掲載し、被害者の社会的地位・社会的評価を「違法に」落とした際に問われます。
例えば以下のようなケースでは名誉棄損罪が当てはまります。
- SNSや掲示板で「〇〇さんは不倫をしているっぽい!人として銅貨を思う」と書かれた
- 掲示板で「△さんは~怖い顔をしているから絶対に犯罪してると思う」といった書き込みをされた
以上のような書き込みをされた場合は高い確率で「名誉棄損罪」が成立されます。
プライバシー侵害
プライバシーとは「秘密にしておきたい私生活に関する情報、それに関係する公開されたくない事柄、その人固有の秘密に関すること」のことをいいます。
プライバシーは勝手に第三者に公開されない権利を有しているので、この権利を侵害されることを「プライバシーの侵害」といいます。
プライバシー侵害が成立する例
- 勤務先・学校などを公表される
- LINEなど個人間でのやり取りをインターネット上に公開される
- 自宅住所などを本人の許可なく暴露される
- 本名や所属組織を許可なく公開・誰かに教える
- 家族・友人などに勝手にスマホやパソコンの中を見られる
この中でも以外なのが「家族や友人に勝手にスマホやパソコンの中を見られる」ということもプライバシーの侵害に当てはまるという事です。
メールやSNSでのやり取り、普段閲覧しているサイトやお気に入りの写真・クレジットカード情報など、家族であっても見られたくない情報なども存在します。
たとえ家族や親しい友人の間であっても本人の許可なく中身を見ることはプライバシーの侵害に該当する可能性があります。
侮辱罪
侮辱罪とは事実を適示していない場合でも「公然」と人を侮辱した際に成立する犯罪
侮辱罪とは「証拠を使って判断できる情報はなくても、誰でも見られる状態や場所で被害者を侮辱した時に成立する」ものです。
例えばSNSやネット掲示板上で
- 「〇〇さんはこの前、ブランドバッグを買ったみたい!見せつけてるみたいで頭がおかしい」
- 「△△さんはブスでデブだから、みんな話しかけちゃだめだよ」
といったものが挙げられます。侮辱罪が成立すれば以下が科せられます。
肖像権の侵害
肖像権は「本人の許可なく顔や身体を撮影したり公表されない権利」のことです。
なお「肖像権」自体は法律上の定義がなく「判例」によって肖像権は判断されます。
- 無断での写真撮影
- 撮影の許可はもらっているが、公開の許可はもらってない
- 他人の裸や下着姿の盗撮
以上の場合は肖像権の侵害が適用される可能性があります。
つまり「撮影」と「公開」の許可はそれぞれ別々に得ていないといけません。どちらか1つでも得ていない場合は肖像権の侵害が当てはまることも。
ただし以下の場合は「本人から撮影・公開の許可を得ていない」に当てはまらないケースです。
- 撮影者が本人から撮影と公開の許可をどちらも得ている
- イベント会場・観光地などカメラで撮影されることが予想される場所
- 記者会見・オリンピックなどのスポーツ競技での撮影
イベントや観光地・競技会場・記者会見など公的な場所や撮影・公表を承諾したとみなされる場所は、肖像権の侵害にならないケースも。
まとめ
なりすまし行為は犯罪になることもある行為です。
もし自分がだれかからなりすまし被害にあった場合には、X(旧Twitter)社に報告をすることはもちろんのこと、被害が大きい場合には弁護士に相談することも検討しましょう。
被害の程度によっては警察への相談も可能ですが、多くの場合は民事訴訟になるケースがほとんどです。
X(旧Twitter)上の成りすまし行為・犯人特定にはまず弁護士へ相談した方がスムーズでしょう。