ソフトウェアテストとは?種類や工程について徹底解説!

ソフトウェアテストは、コンピュータソフトウェアが正しく動作し、要件を満たすかどうかを評価し、品質を確保するために行うプロセスのことです。

ソフトウェアをリリースしていくことで重視されることは「不具合・バグのない製品かどうか」です。

ここでは、ソフトウェアテストの目的や原則、分類方法など基本的なことを詳しく解説していきます。

目次

ソフトウェアテストとは?重要な理由は?

ソフトウェアテストは、コンピュータープログラムやアプリケーションを、バグやエラーがないか確かめるプロセスです。

これは、ソフトウェアが正しく動作し、ユーザーの要求を満たすかどうかを確保するために行われます。

プログラムを実行し、さまざまなシナリオで振る舞いをチェックし、問題があれば報告します。

ソフトウェアテストは品質向上のために不可欠で、ユーザーエクスペリエンスを向上させ、セキュリティの問題を特定するのに役立ちます。

開発段階の早い時点から適用し、最終的に信頼性の高いソフトウェアを提供する手段です。

ソフトウェアテストの目的は?

ソフトウェアテストの主な目的は、ソフトウェアの品質向上です。

これは、バグやエラーの発見、要件の確認、ユーザーエクスペリエンスの向上、リスクの管理に貢献します。

バグの早期発見と修正により、ソフトウェアの信頼性が向上し、ユーザーにより満足度の高い製品を提供します。

また、セキュリティやパフォーマンスの問題を特定し、改善する役割も果たします。

全体的に、ソフトウェアテストはソフトウェア製品の問題を最小限に抑え、品質を確保し、ユーザーに価値ある体験を提供するための不可欠なプロセスです。

ソフトウェアテストの7原則

全情報のテストは不可能

「全情報のテストは不可能」とは、ソフトウェアテストの原則の一つで、ソフトウェアのすべての状況や入力をテストできないことを指します。

なぜなら、ソフトウェアの可能な状態や組み合わせは膨大で、全てを網羅的にテストするのは現実的ではないからです。

したがって、テスターは時間やリソースを最も重要な部分に集中させ、最もリスクの高い箇所に焦点を当てる必要があります。

この原則は、テストをより効果的に行うために、戦略的なアプローチを取る必要があることを示しています。

テスティングの早期開始

「テスティングの早期開始」とは、ソフトウェア開発プロセスの早い段階からテストを始める原則です。

このアプローチは、ソフトウェアのバグや問題を早期に発見し、修正することを促進します。

ソフトウェアの要求事項や設計段階でテストを組み込むことで、問題が後で修正するのに比べてコストが低くなり、時間も節約できます。

早期のテストにより、品質向上が可能で、要求事項を達成し、開発プロセス全体の効率を向上させるのに役立ちます。

この原則は、品質確保を強調し、ソフトウェアの信頼性を高めるための重要な手法です。

不完全なテスト

「不完全なテスト」とは、ソフトウェアテストの原則の一つで、すべてのテストケースを設計・実行することは不可能であることを指します。

なぜなら、ソフトウェアには無限の入力や状況が存在し、全てを網羅的にテストするのは現実的ではないからです。

この原則は、テスターがリソースと時間を効果的に使用し、最もリスクの高い領域に焦点を当てる必要があることを強調します。

つまりソフトウェアテストは完全でなく、限られたリソースで最大の価値を生み出すための戦略的なアプローチが必要であるということです。

既存のバグのクラスタリング

「既存のバグのクラスタリング」は、ソフトウェアテストの原則の一つで、バグやエラーが特定のパターンに従う傾向があることを指します。

つまり、同じ種類の問題がソフトウェア内で集まり、特定のカテゴリーに分類されることがあります。

この原則は、テスターに対して、似たような問題が同じ箇所や同様の状況で再び発生する可能性を認識し、効果的に対処するための手がかりを提供します。

バグのクラスタリングにより、テストプロセスがより効率的になり、品質向上が実現され、ソフトウェアの信頼性が向上します。

テストの依存性

「テストの依存性」とは、ソフトウェアテストの原則の一つで、テストケース間にお互いに影響を及ぼす関係があることを指します。

テストの順序や依存性に気を付ける必要があります。

たとえば、前のテストケースが成功しなければ、後続のテストが意味を持たない場合などです。

この原則は、テスト計画と実行の際にテストケース間の依存性を理解し、適切な順序でテストを実行する必要があることを示しています。

依存性を考慮せずにテストを実行すると、正確な結果を得るのが難しくなり、テストの効果が低下する可能性があります。

不具合があることしか表示できない

「不具合があることしか表示できない」という原則は、ソフトウェアテストが主に問題やエラーを見つけることに特化していることを指します。

つまり、テストはソフトウェアが何か問題を抱えているかを教えてくれる手段であり、ソフトウェアが正しく動作するかどうかを保証するものではありません。

ソフトウェアの正常な動作を確認するためには、他の方法やプロセスが必要です。

ソフトウェアテストは、問題を見つけて修正するために重要ですが、完全な動作確認の一部として考えるべきです。

早期停止基準

「早期停止基準」とは、ソフトウェアテストの原則の一つで、テストをいつ停止するかを定める条件や基準を指します。

つまり、テストプロセスが一定の条件を満たしたときに終了すべきです。

これは、テストが無限に続けられないための必要な指針で、例えば、予算やスケジュールが限界に達したとき、一定の品質水準に到達したとき、または設定したリスクが受け入れられると判断されたときにテストを終了することを示します。

早期停止基準を持つことは、テストプロセスの効率性を向上させ、リソースの適切な利用を支援し、品質の確保に貢献します。

ソフトウェアテストの種類

単体テスト(Unit Testing)

「単体テスト(Unit Testing)」は、ソフトウェアテストの一種で、個々のコンポーネントやモジュールを個別に評価するプロセスです。

通常、開発者自身が自分の書いたコードをテストする際に使用します。

このテストでは、特定の関数やクラスなどの単一のコードブロックを対象にし、その部分が要求事項を適切に満たし、正しく動作するかを確認します。

単体テストは、バグやエラーの早期発見と修正に役立ち、ソフトウェアの品質を向上させます。

さらに、ソフトウェアの各部分が個別にテストされ、統合後の問題を軽減するのにも寄与します。

単体テストはソフトウェア開発サイクルの初期段階で実施され、信頼性の高いコンポーネントの構築を支援します。

結合テスト(Integration Testing)

「結合テスト(Integration Testing)」は、ソフトウェアテストの種類で、個別にテストされたコンポーネントやモジュールを一緒に組み合わせ、相互作用を評価するプロセスです。

このテストは、ソフトウェアの異なる部分が協力して正しく機能し、データの受け渡しが適切に行われるかを確認します。

結合テストは、個別のコンポーネント間でのデータフローやインターフェースの問題を特定し、システム全体での連携の問題を発見します。

このテストを行うことで、ソフトウェア全体が要求事項を満たし、期待通りに動作することが確保されます。

結合テストは通常、単体テストの後に実施され、ソフトウェアの統合度合いを確認し、問題を修正する重要なステップです。

システムテスト(System Testing)

「システムテスト(System Testing)」は、ソフトウェアテストの一種で、開発されたソフトウェア製品全体をテストするプロセスです。

このテストは、ソフトウェアが要求事項を満たし、全体として正しく動作することを確認します。

ユーザーの視点から、ソフトウェアが期待通りに振る舞うかどうかを評価します。

システムテストでは、機能やパフォーマンス、セキュリティ、互換性、および信頼性などの品質特性が検証されます。

ユーザーがソフトウェアを実際に使用する状況を模倣し、シナリオやテストケースを実行して問題を特定し、修正します。

システムテストは、製品がリリース準備ができているかを確認する最終段階のテストとして重要です。

受け入れテスト(Acceptance Testing)

「受け入れテスト(Acceptance Testing)」は、ソフトウェアテストの一種で、顧客やエンドユーザーがソフトウェアを受け入れ可能かどうかを評価するプロセスです。

通常、ソフトウェアの開発が完了し、顧客が製品を受け入れする前に実施されます。

受け入れテストは、ソフトウェアが要求事項を適切に満たし、ビジネス目標やユーザーの期待を満たすかどうかを確認します。

テストケースは通常、実際の業務プロセスやユーザーシナリオに基づいて設計され、ユーザーがソフトウェアを実際に操作して検証します。

受け入れテストに合格することは、ソフトウェアが正式にリリースされ、顧客やエンドユーザーに提供される証となります。

機能テスト(Functional Testing)

「機能テスト(Functional Testing)」は、ソフトウェアテストの一種で、ソフトウェアの各機能や機能群が要求事項に適合し、正しく動作するかどうかを確認するプロセスです。

このテストは、ソフトウェアの機能が期待どおりに機能し、ユーザーの要求を満たすかどうかを評価します。

機能テストでは、特定の操作や機能をテストケースとして設計し、入力データを用いてソフトウェアの振る舞いを検証します。

これにより、ソフトウェアが正確に計算し、適切な結果を生成するかどうかを確認し、エラーメッセージが適切に表示されるかもテストされます。

機能テストはソフトウェアの品質向上とユーザビリティの確保に重要な役割を果たします。

非機能テスト(Non-Functional Testing)

「非機能テスト(Non-Functional Testing)」は、ソフトウェアテストの一環で、ソフトウェアの機能性以外の側面を評価するプロセスです。

主に性能、セキュリティ、信頼性、ユーザビリティ、互換性、効率性など、機能外の要素をテストします。

性能テストは、ソフトウェアの負荷耐性や応答時間を確認し、セキュリティテストは潜在的な脆弱性を特定します。

信頼性テストでは、ソフトウェアの安定性を評価し、ユーザビリティテストはユーザーエクスペリエンスを検証します。

非機能テストは、ソフトウェアが品質要求を達成し、期待通りに動作することを確保し、ユーザーに高品質なエクスペリエンスを提供するのに重要です。

リグレッションテスト(Regression Testing)

「リグレッションテスト(Regression Testing)」は、ソフトウェアテストの一種で、新しい変更やアップデートが既存のソフトウェアに影響を与えないかどうかを確認するプロセスです。

通常、ソフトウェアのコードや機能に変更が加えられた際に行われます。

リグレッションテストでは、変更されていない部分や以前のバージョンとの互換性が維持されているかを検証し、新しい変更が既存の機能に問題を引き起こす可能性を排除します。

このテストは品質保証の一環として重要で、変更がソフトウェア全体に及ぶ場合でも、以前の機能が依然として正常に動作することを確認します。

リグレッションテストは、ソフトウェアの信頼性を維持し、新しいリリースや更新の品質を確保するために欠かせないものです。

ユーザビリティテスト(Usability Testing)

「ユーザビリティテスト(Usability Testing)」は、ソフトウェアテストの一形態で、ソフトウェアのユーザビリティや使いやすさを評価するプロセスです。

このテストでは、実際のユーザーがソフトウェアを使用し、ユーザビリティに関するフィードバックを提供します。

ユーザーがソフトウェアをどれだけ効果的に操作できるか、インターフェースが直感的であるか、タスクの遂行が容易かなどがテストされます。

ユーザビリティテストは、ソフトウェアの改善とユーザーエクスペリエンスの向上に不可欠であり、ユーザーの視点からソフトウェアを評価し、修正と調整を行うための貴重なデータを提供します。

結果として、使いやすいソフトウェアを提供し、ユーザー満足度を高めるのに役立ちます。

ソフトウェアテストの作業工程

テスト計画

「テスト計画」は、ソフトウェアテストの重要な作業工程で、テストプロジェクト全体を計画し、方向性を確立するために作られます。

  1. 目標と範囲: テストの目的を明確にし、どの部分をテストするか、何を達成するかを定義します。これにより、テストの方向性が明確になります。
  2. リソースとスケジュール: 必要なリソース(テスター、テストツール、テスト環境)とスケジュール(テストの開始日、終了日)を計画し、確保します。
  3. テスト戦略: テストのアプローチや方法論(単体テスト、結合テスト、システムテストなど)を決定し、テストプロセスを整理します。
  4. テスト項目と基準: どのテストケースを実行するかをリストアップし、合格/不合格の判断基準を設定します。
  5. リスク評価: プロジェクト全体のリスクを評価し、リスクに対処するための戦略を策定します。どのリスクがテストの重点となるかを決定します。
  6. コミュニケーション計画: 関係者への報告、進捗共有、コミュニケーション方法を計画し、円滑な情報共有を確保します。
  7. 品質基準: ソフトウェアの品質目標を定義し、それに基づいてテストを実施します。
  8. 承認プロセス: テスト計画書の承認手順を設定し、関係者による承認を受けます。

テスト計画は、プロジェクトの成功に向けたロードマップであり、テストの方向性を提供し、リソースを効果的に管理し、品質を確保するためのガイドとして機能します。

テスト設計

「テスト設計」は、ソフトウェアテストの主要な作業工程で、具体的なテストケースを計画、設計し、テストの内容やアプローチを詳細に決定するプロセスです。

  1. テストケースの設計: 各機能やシナリオに対するテストケースを設計します。これは、特定の入力データと期待される出力結果を組み合わせたものです。
  2. テストデータの作成: テストケースが実行される際に使用する入力データを準備します。これには、有効なデータやエラー条件を含みます。
  3. テスト環境のセットアップ: テストが実行される環境(ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなど)をセットアップし、テスト実行のための準備を整えます。
  4. テストケースの詳細化: テストケースがどのように実行されるか、手順や期待結果を詳細に文書化します。
  5. カバレッジの確認: テストが要求事項やコードのすべてをカバーすることを確認し、十分なテストを実行できることを保証します。
  6. エッジケースと特定の条件の考慮: 特殊な状況や境界値条件、エラーシナリオなどもテストケースに含め、システムの頑健性を検証します。
  7. テストの順序と優先度: テストケースの実行順序や優先度を設定し、効率的なテスト実行を確保します。

テスト設計は、ソフトウェアの品質を向上させ、問題の早期発見を促進します。また、要件を確実にカバーし、テストプロセスを効果的に実行するための基盤となります。

テスト実行

「テスト実行」は、ソフトウェアテストの主要な作業工程で、テスト計画と設計に基づいてテストケースを実際に実行し、ソフトウェアの振る舞いや品質を評価するプロセスです。

  1. テスト環境のセットアップ: テストを実行するために必要な環境(ハードウェア、ソフトウェア、データベースなど)を整えます。これにより、テストが正確かつ一貫した環境で実行できます。
  2. テストケースの実行: テスト計画や設計に基づいてテストケースを実行します。テストケースごとに入力データを提供し、結果を記録します。
  3. バグの特定と報告: テスト中に問題やバグを発見した場合、それを適切に報告し、バグトラッキングシステムに記録します。これにより、問題の修正と追跡が可能になります。
  4. テストログの記録: テストの実行に関する情報を詳細に記録し、テスト結果を文書化します。これは後で報告書を作成する際に役立ちます。
  5. 再テストとリグレッションテスト: バグが修正された場合、再テストを行い、バグが解消されたことを確認します。また、変更が他の部分に影響を与えていないかを確認するリグレッションテストも実施します。

テスト実行は、ソフトウェアの品質を確保し、バグの発見と修正を支援する重要な段階であり、テスト計画と設計に基づいて慎重に行いましょう。

 

まとめ

ソフトウェアテストの目的や原則、そして手順などを解説していきました。

ソフトウェアテストは、ソフトウェアの品質を確保し、バグを発見・修正するプロセスです。

テスト計画ではテストの目的やスケジュールを設定し、テスト設計では具体的なテストケースを計画し、テスト環境を整えます。

そして、テスト実行ではテストケースを実行し、バグを特定・報告し、テストログを記録します。

さらに、バグ修正後の再テストやリグレッションテストも実施します。これにより、ソフトウェアの品質向上と問題の早期発見が実現されます。

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執筆者

DXマーケティングやAIを事業に落とし込んで事業成長したい企業のマーケティング担当者・広報担当者、経営者、個人事業主向けに、マーケティングの基礎、成功ノウハウの提供・成功事例を紹介する専門メディアを運営しています。

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