基金の見直しとは?補助金の基金はどう変わるか

東京・霞が関の官庁街。桜田通りの両側に中央省庁の庁舎が並ぶ
霞が関の官庁街写真:Miyuki Meinaka(Public domain)。縮小(長辺1600px以下)・メタデータ削除。トリミング・色の変更なし

要するに

国の基金は2025年度に約4,042億円を国庫に返したが残高はなお約16.65兆円あり、滞留している資金の国庫返納が10月9日の見直しの着眼点になっている。

  1. 返納は進んだが残高は大きい。公益法人等の基金の残高は、2024年度末の約17.65兆円から2025年度末には約16.65兆円になり、この年度の国庫返納は約4,042億円だった。
  2. ルールが変わる。7月30日の基金ルールの見直しで、3年ルールを適用しない一方、ステージゲートの必置、収益納付の原則化、四半期ごとの公表を進める方針が決まった。
  3. 中小企業向けの基金も対象になっている。中小企業等事業再構築促進基金は2025年度に400億円を国庫に返し、残高は約9,310億円から約7,512億円になった。令和9年度の要求では、金融機関の姿勢を審査項目にするとしている。

基金の見直しとは、国が公益法人などに前もって積んでおく「基金」について、使われずに残るお金を国に返し、効果を確かめながら必要な分だけ積むように改める取り組みです。2025年度には基金から約4,042億円が国庫に返されましたが、年度末の残高はなお約16.65兆円あります。残高が大きいなか、10月9日の会議は滞留している資金の国庫返納を基金の着眼点に挙げました。

公益法人等に造成された基金の2025年度末残高(合計)約16.65兆円行政改革・効率化推進事務局「基金の執行状況一覧表」(2025年度実績)をもとに当サイトで換算
2025年度に基金から国庫へ返納された額(合計)約4,042億円同上。うち中小企業等事業再構築促進基金は400億円
中小企業等事業再構築促進基金の2025年度末残高約7,512億円同上。2024年度末は約9,310億円

目次 基金は先に積んで数年かけて使うお金で、残高は約16.65兆円ある基金の点検は2013年の基金シートから続き、2026年10月に閣僚会議の対象になった10月9日の会議は、滞留資金の国庫返納を基金の着眼点に挙げた事業再構築基金の残高は、2025年度に約7,512億円まで減った基金から国庫への返納は、2025年度の実績で約4,042億円だった事業再構築補助金の事業者あて交付決定額は、約9,168億円だった基金から補助を受ける会社は、収益納付と金融機関の関与に備える必要がある確かめることよくある質問出典

基金は先に積んで数年かけて使うお金で、残高は約16.65兆円ある

基金は、国の補助金などで公益法人や独立行政法人に前もって積み、何年かにわたる事業の財源として使うお金です。中小企業向けでは、中小企業基盤整備機構に置かれた「中小企業等事業再構築促進基金」が代表例で、事業再構築補助金や新事業進出補助金の財源になりました。

毎年度の予算で出す補助金と違い、基金は先にまとめて積み、数年かけて使います。

そのぶん、使い切れないお金が長く残りやすいと指摘されてきました。政府は2023年12月の方針で、毎年度の必要額がおおむね予測できる事業は、基金ではなく通常の予算で行うとしています。

残高は減っても大きい水準です。公益法人等の基金の残高は、2024年度末の約17.65兆円から2025年度末には約16.65兆円になりました。

各府省は2013年(平成25年)から、基金ごとの執行状況や残高、余っている資金の有無を「基金シート」で公表しています。

  1. 国の予算国が補助金などとして予算を出す
  2. 基金の造成公益法人や独立行政法人に前もってまとめて積む(例:中小企業基盤整備機構の事業再構築促進基金)
  3. 数年かけて支出何年かにわたる事業の財源として、事業者への補助などに使う
  4. 基金シートで公表各府省が執行状況・残高・余っている資金の有無を公表
  5. 国庫返納使われずに残るお金は国に返す
基金は毎年度の補助金と違って先にまとめて積み、数年かけて使い、余った分は国庫に返す仕組みです。出典:行政改革・効率化推進事務局 基金シート・基金の執行状況一覧表、行政改革推進会議 横断的な方針(2023年12月20日)
経済産業省経済産業省 107,746億円107,746億円文部科学省文部科学省 19,261億円19,261億円厚生労働省厚生労働省 11,250億円11,250億円総務省総務省 10,442億円10,442億円農林水産省農林水産省 8,064億円8,064億円内閣府内閣府 2,764億円2,764億円国土交通省国土交通省 2,148億円2,148億円復興庁復興庁 1,559億円1,559億円防衛省防衛省 1,136億円1,136億円環境省環境省 1,057億円1,057億円こども家庭庁こども家庭庁 750億円750億円外務省外務省 335億円335億円財務省財務省 35億円35億円
公益法人等に造成された基金の2025年度末残高(府省庁別)。2025年度末の基金残高約16.65兆円のうち、経済産業省の基金が約10.77兆円で6割以上を占めます(当サイトで計算)。出典:行政改革・効率化推進事務局「2026年度 公益法人等に造成された基金の執行状況一覧表」(2025年度実績、201事業)の府省庁欄で当サイトが集計し億円に換算
公益法人等に造成された基金の全体(2025年度)
項目金額
2024年度末の残高約17.65兆円
2025年度の支出約4.12兆円
2025年度の国庫返納約4,042億円
2025年度末の残高約16.65兆円

行政改革・効率化推進事務局「公益法人等に造成された基金の執行状況一覧表」(2025年度実績、201の基金事業)をもとに当サイトで換算。収入額などの行は省略。

基金の点検は2013年の基金シートから続き、2026年10月に閣僚会議の対象になった

基金の点検は、行政事業レビューの仕組みの中で続いてきました。行政事業レビューは、各府省が全事業をレビューシートで点検・公表し、外部の有識者が公開の場で検証する(秋のレビュー)取り組みです。

転機は2025年秋でした。

2025年11月の秋のレビューで全基金の早急な点検が必要と指摘され、同月25日には内閣官房に租税特別措置・補助金見直し担当室が置かれました。2026年は、国民からの提案募集、各府省の自己点検、基金ルールの見直しを経て、会議名に「基金」を加えた10月9日の会議につながっています。

基金・補助金の見直しの主な流れ
時期出来事出典
2013年各府省が基金シートで執行状況・残高・余剰資金を公表する仕組みを導入行政改革・効率化推進事務局
2023年12月20日基金の点検・見直しの横断的な方針(予測できる事業は通常の予算で、新たな予算措置は3年程度など)行政改革推進会議
2025年11月秋のレビューで、全基金の成果目標・保有資金の規模などの早急な点検が必要と指摘行政改革・効率化推進事務局
2025年12月令和7年度補正で、不要な基金残高3,631億円の国庫返納などを実施内閣官房ほか 令和8年度の見直し結果概要(2025-12-26)
2026年1月5日〜2月26日租税特別措置・補助金・基金の提案募集。37,174件内閣官房
2026年4月10日第2回会議。各府省に自己点検と要求段階からの見直しを指示内閣官房
2026年7月21日骨太の方針2026。補正予算依存からの脱却、基金の成果管理の徹底内閣府
2026年7月30日基金ルールの見直し。3年ルールを適用しない一方、ステージゲート・収益納付・国庫返納の仕組みなどを整える方針行政改革推進会議
2026年8月末各府省が自己点検を反映した令和9年度の概算要求を提出内閣官房 資料1
2026年10月9日第3回会議。会議名に「基金」を加え、見直しの考え方と着眼点を提示内閣官房、首相官邸
2026年11月12〜13日令和8年秋のレビュー(予定)行政改革・効率化推進事務局

10月9日の会議は、滞留資金の国庫返納を基金の着眼点に挙げた

10月9日の会議で、片山担当大臣は「補助金・基金の見直し」の考え方と着眼点を示しました。各府省の自己点検を反映した要求は「第一段階」にすぎず、予算編成の中で徹底して見直すとしています。

基金で問われたのは、滞留している資金です。

金利の上昇で資金を寝かせておく機会費用が増えていることを踏まえ、長く滞留する資金を防ぐ国庫返納の仕組みを整えるとしました。あわせて、国庫債務負担行為(将来の年度に支払う債務を負うことを、前もって国会の議決で認めておく仕組み。実際に支払うには、その年度の歳出予算が別に必要)への切り替えも着眼点に挙がっています。

補助対象の事業が収益を上げたときに国へ還元する仕組みや、不正・中抜きへの対処も検討課題です。

  • 基金:滞留している資金を国庫に返し、国庫債務負担行為の活用に切り替えられないか
  • 補助金:外部の有識者やEBPMで費用対効果を検証できるか
  • 補助金:段階的に金融手法へ移る道筋など、出口戦略が明確か
  • 補助金:民間が負うべきリスクまで公的支援に頼っていないか
  • 補助金:目的や手段が近い事業が重なっていないか
  • 関係府省で「幹事会」を置き、会計検査院や予算執行調査の指摘への対応を共有する

事業再構築基金の残高は、2025年度に約7,512億円まで減った

事業再構築基金の残高は、2025年度に約9,310.4億円から約7,512.4億円に減りました。支出は約1,442.8億円、国庫返納は約400.0億円でした(表)。

この基金は、いまは事業再構築補助金に加え、省力化投資補助事業、新事業進出促進事業、新事業進出・ものづくり商業サービス補助事業の財源になっています。

令和7年度補正予算では、この基金の執行残を使って省力化の補助金の予算措置額を抑えました。この基金と新型コロナウイルス感染症基金、国内投資促進基金からの返納金は、AI・半導体の財源に活用されました(863億円)。

令和9年度の要求では、審査の中身も変わります。

経済産業省は、申請企業の中長期の経営計画と、その計画に対する民間金融機関の姿勢を審査項目にし、支援が「融資の呼び水」となる仕組みにするとしています。あわせて事業を一本化して管理費率を下げ、申請システムに自動計算機能を付けるとしています。

中小企業等事業再構築促進基金の2025年度の出入り(中小企業基盤整備機構)
項目金額式
2024年度末の残高約9,310.4億円a
2025年度の収入約44.8億円b
2025年度の支出約1,442.8億円(うち管理費 約255.1億円、管理費率17.7%)c
2025年度の国庫返納約400.0億円e
2025年度末の残高約7,512.4億円a+b−c−e

行政改革・効率化推進事務局「公益法人等に造成された基金の執行状況一覧表」(2025年度実績、千円単位)をもとに当サイトで億円に換算し、式で検算。機構返納額は0。

基金から国庫への返納は、2025年度の実績で約4,042億円だった

国庫への返納は、2025年度の実績で約4,042億円でした。うち中小企業等事業再構築促進基金は400億円です。

返納は点検のたびに公表されてきました。2023年1月には令和4・5年度の予定額として2,782億円、2025年12月には令和7年度補正での3,631億円が示されています。

時点や数え方(予定額か実績か)が違うため、表の数字は足し合わせられません。

たとえば令和7年度補正の3,631億円と、令和7年度の国庫返納予定額 約4,040億円は、一部が重なっている可能性があります(推測)。

厚生労働省厚生労働省 2,781.7億円2,781.7億円経済産業省経済産業省 1,163.1億円1,163.1億円農林水産省農林水産省 47.2億円47.2億円復興庁復興庁 25億円25億円国土交通省国土交通省 14億円14億円環境省環境省 10.2億円10.2億円文部科学省文部科学省 0.3億円0.3億円外務省外務省 0.3億円0.3億円
2025年度に基金から国庫へ返納された額(府省庁別、返納のあった府省庁)。2025年度の国庫返納約4,042億円のうち、厚生労働省が約2,782億円、経済産業省が約1,163億円で、2つで9割以上を占めます(当サイトで計算)。出典:行政改革・効率化推進事務局「2026年度 公益法人等に造成された基金の執行状況一覧表」(2025年度実績)の国庫返納額(e)を府省庁欄で当サイトが集計し億円に換算
基金の国庫返納に関する公表値
公表日内容金額出典
2023年1月25日令和4年度・5年度の国庫返納予定額(137基金を点検、2022年12月末現在)2,782億円行政改革推進本部事務局「基金の国庫返納状況について」
2025年12月26日令和7年度補正で不要な基金残高を国庫返納(ワクチン生産体制等緊急整備基金2,248億円など)3,631億円内閣官房ほか 令和8年度予算・税制改正における見直し結果概要
2026年2月20日令和7年度の国庫返納予定額(2025年12月末現在)。うち中小企業等事業再構築促進基金400億円約4,040億円行政改革・効率化推進事務局「基金の国庫返納予定額について」
2026年(一覧表)2025年度の国庫返納額の実績(公益法人等の基金の合計)約4,042億円行政改革・効率化推進事務局「基金の執行状況一覧表」

事業再構築補助金の事業者あて交付決定額は、約9,168億円だった

事業再構築基金からは、多くの事業者に交付が決まりました。当サイトが収録する gBizINFO の交付記録(2026-08-06取得)では、事業再構築補助金の事業者あての記録は38,503件で、交付決定額の合計は約9,168億円、1件の中央値は約1,865万円です(当サイトで集計)。

基金に積まれた側の記録もあります。中小企業基盤整備機構あてに「中小企業等事業再構築促進事業」として1兆1,485.3億円(証明日 2021年3月19日、発行元 中小企業庁)の記録があり、基金にお金が積まれた記録と読めます。

これらは交付決定額の記録で、実際の支払額とは限りません。基金シートの残高や支出とも定義と時点が違うため、差し引きはできません。

基金から補助を受ける会社は、収益納付と金融機関の関与に備える必要がある

基金から補助を受ける会社にとって、変化は3つあります。

1つ目は収益納付です。7月30日の基金ルールの見直しは、基金からの支援で生じた一定の利益を、基金の設置法人や国に返すことを原則にする方針を示しました。

2つ目はステージゲートで、支援案件の進み具合と成果を1〜3年ごとに評価し、次の支援を判断します。3つ目は公表の強化で、基金事業ごとに交付決定・支出・運用の状況を四半期ごとに公表する方針です。いずれも詳細は予算編成の中で具体化されます。

中小企業向けでは、事業再構築基金の事業で民間金融機関の姿勢が審査項目に入る方向です。補助金だけで計画を組むより、融資と組み合わせた計画が求められやすくなる、と読めます(推測)。

基金から出る補助金を使う会社は、取引のある金融機関に早めに事業計画を見せ、利益が出たときの返納の条件まで読んでおく必要があります。

  1. 支援の開始基金から事業者への支援が始まる
  2. ステージゲート1〜3年ごとに進み具合と成果を評価し、次の支援を判断する
  3. 収益納付支援で生じた一定の利益を基金の設置法人や国に返すことを原則にする
  4. 四半期ごとの公表基金事業ごとに交付決定・支出・運用の状況を公表する
  5. 国庫返納長く滞留する資金を国庫に返す仕組みを整える
2026年7月30日の基金ルールの見直しでは、支援の途中の評価、利益の返還、公表、滞留資金の返納を組み込む方針が示され、詳細は予算編成で具体化されます。出典:行政改革推進会議「基金ルールの見直しについて」(2026年7月30日)、内閣官房 補助金・基金見直し会議 資料(2026年10月9日)

確かめること

  1. 行政事業レビュー見える化サイト(rssystem.go.jp)で、自社が使っている補助金の基金シート・レビューシートを開き、残高や成果目標を確かめる。
  2. 基金から出る補助金で設備投資を計画しているなら、取引のある金融機関の担当者に事業計画を見せ、融資と組み合わせられるか早めに相談する。
  3. 交付決定済みの補助金があれば、交付規程の「収益納付」や「返還」の条件を経理の担当者と読み合わせる。
  4. 年末の令和9年度予算案と、11月12〜13日の秋のレビューの資料で、自社に関係する基金・補助金の扱いを確かめる。
  5. 迷ったときは、商工会・商工会議所・よろず支援拠点など公的な相談窓口に確かめる。

よくある質問

基金と補助金はどう違うのですか?
補助金は事業ごとに予算から支出されます。基金は補助金などで公益法人等に先にお金を積み、数年かけて事業に使う仕組みです。中小企業向けの事業再構築補助金や新事業進出補助金は、中小機構に置かれた基金から出ています。
基金の見直しで、いま申請している補助金がなくなりますか?
10月9日の会議は、令和9年度の予算編成で基金と補助金を精査すると示した段階です。個別の補助金の扱いは、年末の予算案と各事務局の発表で確かめる必要があります。
国庫返納とは何ですか?
基金に残っていて使う見込みのないお金を、国に返すことです。2025年度には公益法人等の基金から約4,042億円が返納され、そのうち中小企業等事業再構築促進基金は400億円でした。
国庫債務負担行為に切り替えると何が変わりますか?
国庫債務負担行為は、次の年度以降(原則5年度以内)にも続く債務を負うことを、国会の議決で前もって認めておく仕組みです(財政法15条)。認められるのは債務を負う権限だけで、支出の権限ではありません。実際に支払う年度には、その年度の歳出予算に改めて計上する必要があります(財務省「繰越しガイドブック」)。10月9日の会議は、基金に滞留している資金を国庫に返してこの手法に切り替えることで、予見可能性を保ちつつ資金を効率よく使えないか、を着眼点に挙げています。

読むときの注意

  • 基金ルールの見直しや10月9日の着眼点は方針の段階で、具体的な仕組みは令和9年度の予算編成の過程で具体化されます。
  • 当サイトの交付記録は2026-08-06取得のもので、基金の残高とは定義・時点が違います。
  • このページは公表資料の整理で、個別の投資・購入・借り入れ・申請の助言ではありません。

出典