トランクルームの固定収益と転貸先の財務を確認する手順
執筆・編集:トランクルーム投資・土地活用の事業者DB 編集部(運営 合同会社Radineer)/更新日 2026年11月6日
トランクルームの固定収益の話で、運営会社(転貸先)が賃料の払い手になる契約なら、契約前に決算書・賃料の条項・登録の有無を分けて確認します。公的な登録や事業者の公式の記載だけでは、転貸先の財務の良し悪しは判定できません。まず転貸先に複数期の決算書の開示を頼むところから始めます。
トランクルームの固定収益は転貸先の支払いで成り立つ
この記事で扱うのは、土地や建物、または自分が借りた物件を運営会社に貸し、その会社が利用者へ区画を貸し出す形です。ここでは、契約書で固定収益の払い手が転貸先になっている場合を前提にします。そのため、財務を確認する相手は転貸先の会社になります。
「固定」と書かれていても、金額が動かないとは限りません。借地借家法では、建物の借賃が経済事情の変動等で不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって借賃の増減を請求できます。建物を貸す契約なら、転貸先の財務を見るときに、減額の請求が来る場面も想定して条項を読みます。[1]
トランクルームを貸す事業者の側に、地代の負担がある例もあります。トランクルームを貸している不動産業者の一人は、次のように書いています。
要旨は、敷地の半分以上を地主から借り上げており、地代コストがかかるというものです。 [2]
これはこの投稿者の場合の話です。ただ、転貸先が他の地主や家主へいくら払っているかは、そのまま財務確認の質問になります。
自分が借りた物件を転貸する立場なら、確認先は転貸先だけではありません。賃借倉庫で開業しようとする人は、自身の場合について次のように書いています。
要旨は、転貸になり、土地オーナーの許可は得ているというものです。 [3]
元の貸主との間で、この許可がどの書面に残っているかも確認リストに入れます。
転貸先の財務を見る前に、公式の記載で借り手の形を見分ける
当サイトの事業者一覧で公式サイトを確認できた事業者は23件で、内訳は土地活用型11件、投資商品型5件、FC2件、運営代行1件、販売1件、紹介1件、建物活用型1件、物件買取1件です。公式サイトが見られない・事業終了・処分歴などの4件は載せていません。以下は2026-11-02の確認日時点の公式の記載で、変わることがあります。[4]
一覧で土地活用型や建物活用型とされる事業者の一部を、次の表に並べました。順位や推奨ではなく、転貸先の形と営業地域を見比べるための表です。
| 事業者(運営) | 一覧の型 | 公式の地域の記載 | 金融商品取引業の登録番号 |
|---|---|---|---|
| habit/トランクデイズ(株式会社 イコム) | 土地活用型(土地賃借) | 関東(サイト表題) | 記載は確認できない [5] |
| ライゼボックス(株式会社ライゼ) | 土地活用型(建築・借り上げ) | 大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・滋賀県 | 記載は確認できない [6] |
| 加瀬のレンタルボックス/建築型トランクルーム(株式会社 加瀬倉庫) | 土地活用型(貸地・家賃保証/管理委託/独立経営/共同経営) | 主に一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)の建物 | 記載は確認できない [7] |
| プライベートボックス(京葉物流(株)) | 土地活用型(一括借上げ) | 東京都 千葉県 神奈川県 埼玉県 | 記載は確認できない [8] |
| オレンジコンテナ(アパルトマンイクシーズ株式会社) | 土地活用型(土地賃借/一括借上げ) | 関東・関西エリアを中心 | 記載は確認できない [9] |
| 収納ピット(株式会社アンビシャス) | 建物活用型(テナントとして賃借)/FC | 関東全域・関西全域ほか(募集エリア) | 記載は確認できない [10] |
この表の「記載は確認できない」は、公式サイトの記載の有無だけを示します。登録が要る事業かどうかや、財務の良し悪しまでは示しません。
一覧で投資商品型(直営店売却・経営権の販売・物件販売)とされる次の3件には、公式の金額の記載があります。プラスルームのトランクルーム投資は「初期費用 数百万円から始めやすい」と記載しており、登録番号の記載は確認できません。スペラボは「初期費用1,000万円から」と記載しており、登録番号の記載は確認できません。[11,12]
ドッとあ~るトランクルーム投資は、物件一覧の掲載例に「価格: 2,321 万円(税込) 満室時 表面利回り: 24.8 %」と記載しており、登録番号の記載は確認できません。これは満室時と断った数字で、転貸先が払う固定の賃料として書かれたものではありません。当方はこれらの金額や利回りを評価せず、転貸先の支払い能力を示す数字としても扱いません。[13]
転貸先の財務確認で、何を出してもらい何を読むか
転貸先に頼むものと、読むときの問いを表にしました。営業担当者の説明ではなく、書面で受け取れるかどうかも確認の一部です。
| 確認したいこと | 転貸先に出してもらうもの | 読むときの問い |
|---|---|---|
| 賃料を払う余力 | 複数期の決算書 | 赤字や債務超過が続いていないか |
| 他の賃料の負担 | 借り上げ物件の数と、地代・家賃の支払総額 | 売上に対して支払いがどの程度を占めるか |
| 既存店舗の入り具合 | 近い立地の店舗の稼働の実績 | 全社の平均だけでなく、店舗ごとに出せるか |
| 賃料の「固定」の範囲 | 契約書案 | 固定の期間、賃料の見直し、賃料が発生しない期間の定め |
| 支払いが遅れたとき | 敷金・保証に関する条項 | 遅延時に誰が何を負担するか |
| 転貸先が撤退するとき | 解約・原状回復の条項 | 利用者との契約と撤去費用がどう扱われるか |
決算書の数字がどの水準なら足りるかの基準は資料に書かれていないので、受け取った決算書を持って税理士か公認会計士に確かめます。
面談や書面のやり取りで、次のリストを埋めていきます。
- □ 転貸先の正式な会社名と、契約書の借主名が一致している
- □ 複数期の決算書を受け取った
- □ 他の物件の地代・家賃の支払総額の説明を受けた
- □ 近い立地の既存店舗の稼働の実績を受け取った
- □ 固定の賃料の期間と、見直しの条件を条文で読んだ
- □ 賃料が発生しない期間の有無を条文で読んだ
- □ 中途解約の条件と、撤退時の原状回復の負担者を条文で読んだ
- □ 自分が借りた物件なら、元の貸主の転貸の許可を書面で持っている
- □ 出資や小口の話が含まれるなら、金融庁の登録業者一覧で業者名を引いた
登録番号があっても転貸先の財務の保証にはならない
金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行えません。金融庁は、登録を受けずに金融商品取引業を行うことは違法であり、取引前に登録業者一覧で確認するよう案内しています。ファンドへの出資の勧誘等を登録なしに一般投資家へ行うことについても、法律違反の可能性があり、無登録業者の勧誘は詐欺的な商法のおそれが高いとしています。[14,15,16]
一方で、登録は財務の確認の代わりになりません。一覧では、クリエイト西武(株式会社 クリエイト西武)の会社概要に「金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1270号」の記載があります。ただ金融庁は、登録・届出をしている業者でも、金融庁・財務局がその業者の信用力等を保証するものではないとしています。[17,16]
登録の確認で分かるのは、その業者が登録されているかどうかです。賃料を払い続ける力は、前の表の決算書と契約書で別に読みます。
固定収益の契約で、法律の論点を転貸先に聞く
「サブリースの法律があるから守られる」という説明を受けたら、対象を確かめる必要があります。賃貸住宅管理業法の「賃貸住宅」は、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分と定義されています。同法の「特定賃貸借契約」は、賃借人が賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結される、賃貸住宅の賃貸借契約をいいます。[18]
購入とセットで「預かって運用する」と説明されても、その言葉だけでは販売を伴う預託等取引に当たるとは判断できないので、預託法の対象になるかを確かめます。同法は、販売を伴う預託等取引を原則として禁止する等の措置により預託者の利益の保護を図ることを目的としています。その勧誘等は、あらかじめ内閣総理大臣の確認を受けなければ行えず、確認は1年ごとに更新を受けなければ効力を失います。[19]
消費者担当大臣は会見で、改正預託法の施行後、消費者庁が個別に確認した者以外の販売預託は原則禁止であり、その時点で確認を受けた者はいないと述べました。[20]
自分のトランクルームの契約が賃貸住宅管理業法の対象か、販売を伴う預託等取引に当たるか、土地の賃料の増減をどう扱うかは資料に書かれていないので、契約書案を持って弁護士に確かめます。
よくある質問
Q. 転貸先が決算書を出してくれないときは、どう考えればよいですか?
A. 開示を義務づける定めは、この記事の資料には書かれていません。断られた事実と理由を記録し、代わりに出せる書面があるかを聞きます。
Q. 賃料の減額を請求されたら、そのまま下がるのですか?
A. 建物の借賃については、借地借家法の条文は増減を請求できると定めるもので、請求された額にそのまま決まるとは書いていません。請求の根拠を書面で受け取り、契約書の条項と並べて読みます。
Q. 倉庫業法の「トランクルーム」という言葉は、転貸先の財務と関係がありますか?
A. 倉庫業法上のトランクルームは、寄託を受けた個人(消費者)の物品の保管の用に供する倉庫と定義されています。この定義に財務の話は含まれないので、定義から転貸先の支払い能力は読み取れません。
参考資料
- 借地借家法(平成三年法律第九十号)e-Gov法令API v2(第三十二条第一項)(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/403AC0000000090?response_format=json
- 「Yahoo!知恵袋の投稿」(2017/11/29 8:40)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11182678061
- 「Yahoo!知恵袋の投稿」(2024/7/11 13:49)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13300937518
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://radineer.asia/trunkroom/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://habit156.com/wanted/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://owner.reisebox.co.jp/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.kasegroup.co.jp/owner/lp/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.privatebox.co.jp/owner/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://rentalbox.jp/owner
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://ambitious8.biz/product/branchshop/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.trunkroom-fc.com/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://spalab.uk-corp.co.jp/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.trunkroom-investment.jp/
- 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)e-Gov法令API v2(第二十九条)(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000025?response_format=json
- 金融庁「無登録業者との取引は要注意!! ~無登録業者との取引は高リスク~」(2026-11-03取得時点)https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/highrisk.html
- 金融庁「いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について」(2026-11-03取得時点)https://www.fsa.go.jp/ordinary/fund/index.html
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.create-seibu.com/
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和二年法律第六十号)e-Gov法令API v2(第二条第一項)(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/502AC0000000060?response_format=json
- 預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)e-Gov法令API v2(第一条)(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/361AC0000000062?response_format=json
- 消費者庁 河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨(預託法)(会見時点(改正預託法施行の翌年))https://www.caa.go.jp/notice/statement/kono2/032599.html
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