お酒買取が2年連続、譲渡所得か雑所得かどっち?
執筆・編集:ウイスキー投資の事業者DB 編集部(運営 合同会社Radineer)/更新日 2026年11月7日
お酒の買取が2年連続だと譲渡所得は使えないのかは、この記事で使う事実の範囲では言い切れません。資料が区分の手がかりにしているのは、事業用の商品か、副業に係る所得か、といった中身です。まず2年分の本数・金額・入手の経緯を書き出し、次の表のどの行に近いかを見てください。[1,2]
お酒の買取が2年連続のとき、譲渡所得と雑所得はどっちで分かれるか
同じ迷いを書いた投稿があります。
税理士ドットコム みんなの税務相談の投稿で、相談者は未開封の酒8本を合計70万円ほどで売り、前年も同じくらい売ったと書いています。[3]
同じ相談者は、2年連続だと譲渡所得での申告はできないのかを尋ねています。[3]
これはその相談者の場合の金額です。売った酒がどの区分に近いかで、税の計算は次のように変わります。
| 売った酒の中身 | 資料での扱い | 税の計算で起きること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 生活に通常必要な動産に当たる(1個または1組の価額が30万円超の貴石・貴金属等の製品、書画・こっとう・美術工芸品を除く) | 非課税の所得に挙げられている | 所得税の計算に入らない | 酒類が当たるかを国税庁が直接述べた資料は今回確認していない [4,5] |
| 事業用の商品ではなく非課税にも当たらない資産で、譲渡所得に当たる場合 | 給与所得などと合わせて総合課税 | 特別控除50万円がある | 所有期間で総所得金額に入れる額が変わる [6,4,1] |
| 副業に係る所得など、他の9種類に当たらない | 雑所得 | 50万円の特別控除は譲渡所得の定めで、雑所得の説明には書かれていない | 継続して販売しているなら免許の問題も出る [2,7] |
| 事業用の商品(棚卸資産) | 譲渡所得に含まれない | 譲渡所得の特別控除の計算には乗らない | 継続して販売しているなら免許の問題も出る [1,7] |
2年連続で売った人が見分けるときは、1本ずつの入手の理由を分けて書きます。自分で飲むために買った酒、もらった酒、売るために仕入れた酒を分けておくと、表のどの行の話かを1本ごとに照らせます。
1本30万円の線はお酒に当たるのか
非課税から除かれるのは、1個または1組の価額が30万円を超える一定の資産です。挙げられているのは貴石・貴金属等の製品のほか、書画・こっとう・美術工芸品で、列挙に酒類の語はありません。[5]
投稿の例で分かるのは8本で合計70万円ほどという点までで、1本ごとの価額はこの事実からは分かりません。お酒がそもそも「生活に通常必要な動産」に当たるのかも、今回の資料からは答えが出ません。[3,5]
2年連続のお酒買取を譲渡所得で計算すると、50万円の控除はどう効くか
譲渡所得の特別控除額は50万円で、譲渡益が50万円未満ならその譲渡益までです。短期と長期を合わせて50万円までなので、所有期間の違う酒を両方売っても控除は増えません。[4,1]
| 区分 | 所有期間 | 総所得金額に合計する額 |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 全額 [1] |
| 長期譲渡所得 | 5年を超える | 2分の1 [1] |
次の計算例は、投稿に買った値段が書かれていないため、70万円をそのまま譲渡益と置いた1年分の試算です。
- 短期だけの場合:700,000円−500,000円=200,000円(総所得金額に合計するのは全額)
- 長期だけの場合:700,000円−500,000円=200,000円(総所得金額に合計するのはその2分の1)
2年連続で売ったときの2年目の控除の扱いは、ここで挙げた定めだけでは言い切れません。
2年連続の買取が雑所得なら、20万円の申告ラインとどっちが関わるか
申告の要否を見るときに出てくるのが20万円の線です。給与を1か所から受け、全部が源泉徴収の対象となる人が前提です。その人の、給与所得と退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円を超えると、確定申告が必要な人に挙げられています。[8]
| 区分 | 投稿の70万円を譲渡益と置いた場合の金額 | 20万円の線との関係 |
|---|---|---|
| 譲渡所得(短期) | 200,000円 | 20万円ちょうどで、他に所得があれば合計で超える |
| 譲渡所得(長期) | 2分の1にする前は200,000円、後はその2分の1 | どちらの額で比べるかはこの記事の事実からは言い切れない |
| 雑所得 | 700,000円 | 資料に特別控除の説明がなく、この置き方では超える |
この線は譲渡所得と雑所得を分ける基準ではなく、各種の所得の合計額で見る線です。給与所得と退職所得を除く各種の所得金額は合計して見るため、雑所得に当たる副業の所得があれば、その金額も含まれます。給与が2か所ある人や給与のない人の基準は、この資料の範囲に入っていません。[8,2]
2年連続でお酒を買取に出すなら、譲渡所得か雑所得かとは別に免許も見る
所得の区分は所得税の話で、販売業免許は酒税法の話です。譲渡所得で申告できたとしても、それで免許が要らなくなるとは資料に書かれていません。
| 場面 | 国税庁の説明 |
|---|---|
| 自分で飲むために買った酒やもらった酒で、家庭で不要になったものを出品する | 通常継続的な販売に当たらない場合は免許不要 [9] |
| フリマサイトやネットオークションで継続して出品・販売する | 販売業に当たり免許が必要 [9] |
| ガレージショップや学校のバザーに出品する | 基本的に同じ扱い [9] |
| ホームページを開設して継続的に販売する | 一般的に販売業に当たり免許が必要 [10] |
国税庁のリーフレットは、営利目的かどうか、販売先が特定か不特定かにかかわらず、継続して販売する行為は販売業に当たると説明しています。免許を受けないで販売業をした者は罰則の対象の一つで、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています。国税庁はフリマサイトの運営事業者と連携し、必要に応じて個別の注意喚起を依頼するなどしています。[7,11]
一方で、2年続けて売れば「継続」に当たるのか、何本からなのかという線は、ここまでの説明だけでは判断できません。買取店に売る場面がどの説明に当たるかも、ここで挙げた説明だけでは言い切れません。
2年連続のお酒買取で譲渡所得か雑所得かを説明するための確認リスト
- □ 去年と今年の売却を、年ごとに本数と金額で書き出した
- □ 1本ずつ、飲むために買った酒・もらった酒・売るために仕入れた酒のどれかを分けた
- □ 1本ずつ、入手から売却までが5年以下か5年超かを調べた
- □ 買った値段が分かる領収書や注文履歴を探した
- □ フリマなど買取店以外への出品も同じ表に入れた
- □ 給与が1か所か、給与以外の所得がいくらあるかを書き出した
区分の最終判断や、この記事で「資料に書かれていない」とした点は、この一覧を持って税務署や税理士に確かめてください。
よくある質問
Q. もらったお酒を2年に分けて買取に出すと、所有期間はもらった日から数えますか?
A. 贈与・相続・遺贈で取得した資産の所得計算では、一定の事由について引き続き所有していたものとみなす定めがあります。そのため、もらった日から数えるとは言い切れません。
Q. 親から相続したお酒を2年連続で売ると、取得費の特例は使えますか?
A. 相続または遺贈で取得した財産を一定期間内に譲渡すると、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できます。期間の要件の一つは、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡です。
Q. 去年の分を申告していません。買取店から税務署に伝わりますか?
A. 買取業者から税務署への情報の流れや、申告漏れの扱いは、この記事で使った事実の範囲では答えられません。去年の売却も今年と同じ一覧に入れておけば、2年分をまとめて見せられます。
参考資料
- 国税庁タックスアンサー No.1460 譲渡所得(土地、建物及び株式等以外の資産を譲渡したとき)(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1460.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1500 雑所得(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm
- 税理士ドットコム みんなの税務相談の投稿(2025年02月03日 18時38分)https://www.zeiri4.com/c_5/q_151730/
- 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)e-Gov法令API v2(e-Gov現行版(2026-10-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340AC0000000033?response_format=json
- 所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)e-Gov法令API v2(e-Gov現行版(2026-05-22施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340CO0000000096?response_format=json
- 国税庁タックスアンサー No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3152.htm
- 国税庁「その出品、法律違反ではありませんか?~フリマサイト等に酒類を出品される方へ~」(国税庁リーフレット 2026-11-03取得版)https://www.nta.go.jp/taxes/sake/menkyo/pdf/0023006-116.pdf
- 国税庁タックスアンサー No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁 お酒に関するQ&A【販売業免許関係】Q5(国税庁「お酒に関するQ&A」2026-11-03取得版)https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/03b/05.htm
- 国税庁 お酒に関するQ&A【販売業免許関係】Q8(国税庁「お酒に関するQ&A」2026-11-03取得版)https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/03b/08.htm
- 酒税法(昭和二十八年法律第六号)e-Gov法令API v2(e-Gov現行版(2026-05-25施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/328AC0000000006?response_format=json
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