18金腕時計の売却は生活用動産?30万円超の判定と税金
執筆・編集:時計投資の事業者DB 編集部(運営 合同会社Radineer)/更新日 2026年11月6日
18金腕時計の売却は、生活用動産に当たれば所得に課税されませんが、貴金属などで1個または1組の価額が30万円を超えるものは非課税から外れます。18金の時計がどちらに当たるかは個別判断です。30万円の「価額」をどの金額で見るかは資料に書かれていないため、税務署や税理士に確かめ、非課税から外れる場合は購入額の資料を探して、下の式で譲渡益を計算します。[1,2]
18金腕時計が生活用動産と判定される条件
国税庁が生活用動産の例に挙げるのは、家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などです。この例示に「時計」の語はありません。[1]
30万円超で非課税から外れる物の列挙は、貴石・貴金属とその製品、書画、こっとう、美術工芸品などです。ここにも「時計」の語はありません。18金だから課税とも、時計だから非課税とも、条文だけでは決まらないということです。[2]
判定で見るところは次の4点です。
| 確かめる点 | 資料に書かれている扱い | 18金腕時計で見るところ |
|---|---|---|
| 素材 | 貴金属とその製品は、30万円超で非課税から外れる列挙に入る | どの部分が18金か [2] |
| 価額 | 1個または1組で30万円を超えるか | 1本または1組で見る。どの金額で判定するかは資料に記載なし [1] |
| 売る目的 | 営利を目的に継続して行う譲渡の所得は、譲渡所得に含めない。副業で営利目的の継続的な収入は、業務に係る雑所得になる | 仕入れて売ることを繰り返していないか [3,4] |
| 持つ目的 | 主として趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で持つ資産は、生活に通常必要でない資産に含まれる | 普段使いか、鑑賞や収集のためか [2] |
実際に、ケースが18金の時計を40万円で売って申告の要否を尋ねた人がいます。[5]
この質問の金額は、次の見出しの例1で計算します。
30万円を超える18金腕時計の売却益の計算
非課税から外れた18金腕時計の売却益が譲渡所得に当たるときは、給与所得などと合わせて総合課税の対象になります。計算の順番は、売却額から取得費と譲渡費用を引き、さらに特別控除50万円を引く形です。[6]
所有期間で、課税の対象になる額が変わります。
| 所有期間 | 区分 | 総合課税の対象になる額 |
|---|---|---|
| 5年超 | 長期 | 2分の1 [6] |
| 5年以内 | 短期 | 全額 [6] |
取得費には、購入代金のほか購入手数料や改良費なども入ります。使用や期間の経過で減価する資産は、減価償却費相当額を差し引きます。購入額が分からないときは、収入金額の100分の5を取得費として計算していれば認めて差し支えないとされています。[6,7]
例1:40万円で売った場合(取得費は5%で計算し、譲渡費用はなしとする)
- 取得費:400,000円×5÷100=20,000円
- 取得費を引いた額(売却額の100分の95):400,000円×95÷100=380,000円
譲渡益の380,000円は、特別控除の50万円の内側に収まります。[6]
例2:180万円で売った場合
祖父の18金腕時計について、地金相場から金額を見積もった人の投稿です。180万円は質問者の試算で、実際の買取額ではありません。[8]
取得費は5%で計算し、譲渡費用はなしとします。
- 取得費:1,800,000円×5÷100=90,000円
- 取得費と特別控除を引いた額:1,800,000円×95÷100−500,000円=1,210,000円
- 長期の場合:(1,800,000円×95÷100−500,000円)÷2=605,000円
- 短期の場合:1,210,000円がそのまま総合課税の対象
所得税の税率は、分離課税などを除き5%から45%の7段階です。長期の例に税率をそのまま掛けると、次の幅になります。[9]
- 税率5%のとき:(1,800,000円×95÷100−500,000円)÷2×5÷100=30,250円
- 税率45%のとき:(1,800,000円×95÷100−500,000円)÷2×45÷100=272,250円
これは税率を掛けただけの幅で、ほかの所得や各種の控除は入れていません。先の表の「売る目的」で営利・継続に当たる売却は譲渡所得に入らないため、この式の対象外です。[3]
18金腕時計の売却で確定申告が要るかの判定
給与を1か所から受け、全額が源泉徴収される人は、給与と退職所得以外の各種所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります。例2は1,210,000円でも605,000円でも、この20万円を超えます。例1の380,000円は特別控除の内側に収まるため、その年にほかの所得がなければ、この売却で超える分は生じません。[10,6]
30万円の「価額」をどの時点のどの金額で見るか、部分的に18金の時計をどう扱うかは、資料に書かれていません。買取業者から税務署への報告の有無や、申告しなかったときの扱いも同じです。これらと個別の判断は、税務署や税理士に確かめてください。
売却の前後に使える確認リストです。
- □ 時計のどの部分が18金か、書類や現物で確かめた
- □ 査定額や売却額を書き留め、30万円の「価額」の見方を税務署や税理士に確かめた
- □ 購入代金・購入手数料・改良費の分かる資料を探した
- □ 所有期間が5年を超えるか確かめた
- □ 同じ年に売ったほかの資産の譲渡益を書き出した
- □ 時計の売買を繰り返していないか振り返った
- □ 売却額の分かる書類を手元に保管した
祖父や親から受けた18金腕時計の売却と取得時期
相続や贈与で受けた資産の取得時期は、被相続人や贈与者のものが引き継がれます。受け取ってから5年以内の売却でも、先代の所有期間を含めると5年を超える場合があるということです。先代がいつ買ったかが、長期か短期かの判定材料になります。[11]
相続税が課税された人には、取得費の特例があります。相続開始の翌日から、申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売ると、相続税額の一定額を取得費に加算できます。相続した18金腕時計を売る時期を決めるときは、この期限を先に確かめます。[12]
先代の購入額が分からないときは、例1・例2で使った5%の計算が使える場面です。[7]
18金腕時計の売却先の比較と注意点
売却額は譲渡益の計算の起点になるため、売り方の違いも確認しておきます。[6]
| 売り方 | 条件・手続き | 起きている問題の例 | クーリング・オフ |
|---|---|---|---|
| 店舗買取 | 査定は買取契約とは別の行為で、その場で応じる義務はない | アクセサリー・貴金属等の店舗買取の相談は2020年度165件から2025年度937件に増えた(時計単独の件数ではない) | 使えない [13] |
| 宅配買取 | 送付する商品の記録を作っておくよう助言されている | 例示とかけ離れた金額や品物の紛失。安い査定で返却を頼むと送料負担と言われた事例(時計に限らない発表) | 資料に記載なし [14] |
| 訪問購入 | 要請していない相手への、営業所等以外の場所での勧誘は禁じられている | 相談は2025年度7,523件 | 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら可。期間内は引渡しを拒める [15,16,17] |
| 委託販売 | 古物商が委託を受ける際にも相手方の真偽の確認がある | 資料に記載なし | 資料に記載なし [18] |
| 質入れ(売却ではない) | 流質期限は質契約成立の日から3月未満に定められない(例外あり) | 流質期限を過ぎると所有権は質屋に移る | 資料に記載なし [19] |
買い手が古物営業を営む業者なら、許可の有無が確認の材料になります。古物営業には都道府県公安委員会の許可が要ります。インターネットで取引する古物商は、公安委員会名、許可証番号、氏名または名称を表示する義務があるので、業者のサイトで確かめられます。[18,20]
よくある質問
Q. 同じ年に18金腕時計を2本売ると、50万円の控除は2回使えますか?
A. 特別控除は1本ごとではなく、その年の長期と短期の譲渡益の合計額に対して適用されます。2本の譲渡益に、ほかに対象となる譲渡益があればそれも足し、その合計額から50万円を引きます。
Q. 30万円を超える18金腕時計を売って損が出たら、給与と相殺できますか?
A. 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属等は、損益通算できない生活に通常必要でない資産の例に入っています。18金腕時計がこの貴金属等に当たるかは個別判断になります。当たる場合、その損失は他の所得と損益通算できません。
Q. 買ったときより高く売れても、生活用動産なら課税されませんか?
A. 生活用動産の譲渡による所得は課税されないとされていますが、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで1個または1組の価額が30万円を超えるものは除かれます。資料に値上がりの有無で分ける記載はありません。生活用動産に当たるか、この30万円超の除外に当たるかのほか、営利を目的に継続して行う譲渡の所得は譲渡所得に含めないとされている点も確かめます。
Q. 18金腕時計を売るとき、買取店には何を聞かれますか?
A. 古物商は買い受ける際に、相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認しなければならないと警視庁が説明しています。
参考資料
- 国税庁 タックスアンサーNo.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm
- 所得税法施行令 第25条 e-Gov法令API(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340CO0000000096
- 所得税法 第33条第2項第1号 e-Gov法令API(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサーNo.1500 雑所得(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm
- 税理士ドットコムの投稿(2023年01月24日 22時33分)https://www.zeiri4.com/c_5/q_107696/
- 国税庁 タックスアンサーNo.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3152.htm
- 所得税基本通達38-16 国税庁(国税庁通達ページ(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/18.htm
- 「Yahoo!知恵袋の投稿」(2026/2/16 10:32)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10325398515
- 国税庁 タックスアンサーNo.2260 所得税の税率(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.3270 相続や贈与によって取得した資産の取得費(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm
- 国税庁 タックスアンサーNo.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(令和8年4月1日現在法令等(2026-11-03取得))https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
- 国民生活センター「店舗でのアクセサリーまたは貴金属等の買取に関する消費者トラブルにご注意!」(2026年9月2日公表(2026年7月31日までの登録分))https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260902_1.html
- 国民生活センター「宅配買い取りサービスのトラブルが増加しています!」(2017年11月9日公表(時計に限らない))https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20171109_1.html
- 特定商取引に関する法律 第58条の4 e-Gov法令API(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/351AC0000000057
- 国民生活センター「訪問購入」(2026年7月31日更新(相談件数は2026年5月31日現在))https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/doorstep_purchase.html
- 消費者庁 特定商取引法ガイド「訪問購入」(消費者庁ページ(2026-11-03取得))https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorpurchases/
- 古物営業法 第1条 e-Gov法令API(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/324AC0000000108
- 質屋営業法 第1条 e-Gov法令API(e-Gov現行版(2026-11-03取得))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/325AC0000000158
- 警視庁「古物商許可申請をされる方へ」(警視庁ページ更新日2025年2月7日)https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/kobutsu_shinsei.html
このサイトは投資の勧誘・推奨・助言を行いません。商品の内容・リスク・税務上の扱いは各事業者と税理士に確認してください。税務の扱いは個別の事情で変わるため、契約や申告の前に税理士に確認してください。