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ヘリコプター直接保有の個人・法人の違い

執筆・編集:ヘリコプター・小型機の購入リース・共同保有の事業者DB 編集部(運営 合同会社Radineer)/更新日 2026年11月6日

個人が機体を直接保有して貸し出すと、その所得は事業所得・譲渡所得に当たるものを除き所得税法上の不動産所得とされ、償却方法は届出がなければ一般的に定額法になります。法人は定額法と定率法を選べますが、事業年度の途中で使い始めた年は使用開始から期末までの月数分しか償却できません。法定耐用年数は耐用年数省令の別表第一でヘリコプターが5年とされています。償却方法・損失の扱い・初年度の手続の違いを並べます。[1,2,3,4]

変わる点の比較表

項目 個人 法人
法定耐用年数 5年 5年 [4]
償却方法 届出がなければ定額法 定額法か定率法を選べる [2,3]
初年度に効くこと 業務を始めた翌年3月15日までに償却方法を届け出る 期末直前の取得は使用した月数分しか償却できない [2,3]
匿名組合で持つ場合との差 分配は原則雑所得で、その損失は他の所得と損益通算できない 契約上負担すべき損益をその事業年度に算入する。特定組合員等に当たる場合などは、出資の価額を基礎に計算した額を超える損失(組合等損失超過額)は損金不算入 [5,6,7,8]
登録免許税の扱い 取得価額に含めないことができる 取得価額に含めないことができる [9]

公式サイトに「最小投資額 2000万円〜 個人法人可」と記載する事業者があります。この最小投資額が償却の対象になる取得価額に当たるかは、公式の記載からは分かりません。この額は2026-11-02確認時点の公式の記載で、変わることがあります。[10]

法人が期末直前に使い始めた年は、1年分の償却限度額を事業年度の月数で割り、使用した月数を掛けた額までしか償却できません。中古で法定耐用年数を全部経過した機体は、簡便法で 5年×20%=1年 となり、下限の2年が耐用年数になります。[3,11]

持つときの手続

航空機は所有者の申請で国の登録原簿に載り、登録を受けたときに日本の国籍を取得します。登録を受けなければ所有権の移転を第三者に主張できず、移転登録を申請できるのは新しい所有者です。登録のあとも、有効な耐空証明がなければ飛ばせません。[12,13,14]

東京都主税局は償却資産の具体例にヘリコプターを挙げており、23区では所有者が毎年1月1日現在の償却資産の内容を1月31日までに資産の所在する区の都税事務所へ申告します。他の地域の申告先や期限は、使える資料に書かれていません。法人が平成20年4月1日以後に結んだ契約が法人税法上のリース取引に当たる場合は引渡しの時に売買があったものとされ、売ってから借り戻す形が実質的に金銭の貸借と認められる場合は金銭の貸付けとして扱われます。[15,16]

場面 決まり
所有者の氏名・住所や定置場の変更 事由が生じた日から15日以内に変更登録 [14]
登録申請の税 登録免許税の対象。税額3万円までは収入印紙で納付できる [14]
償却資産の申告(23区) 毎年1月1日現在の資産を1月31日までに、資産の所在する区の都税事務所へ申告 [15]
償却資産の税額 課税標準額×1.4%。課税標準額150万円未満は課税されない [15]
前年中に取得した機体の評価 取得月にかかわらず半年分を償却 [15]
法人が平成20年4月1日以後に結んだ契約が法人税法上のリース取引に当たる場合 リース資産の引渡しの時に売買があったものとされる。要件の一つは中途解約禁止(または中途解約時に未経過リース料のおおむね全部を支払うこと)で、解約不能期間のリース料合計が通常の取得価額のおおむね90%を超えればフルペイアウトに当たる [16]
売ってから借り戻す形が実質的に金銭の貸借 売買はなかったものとされ、金銭の貸付けとして扱われる [16]

買って貸し戻す形の注意

販売した機体を販売元やその関連会社に3か月以上預けたり貸したりする形は、契約の名前が賃貸借でも預託法の販売預託に当たることがあります。販売預託は原則禁止で、内閣総理大臣の確認を受けずに結んだ売買契約・預託等取引契約は効力を生じません。消費者庁は、この確認を受けた事業者は現時点で存在しないとしています。[17,18,19]

実例として、ヘリコプターなど航空機を販売するエスアイヘリシス株式会社は、消費者に航空機の所有権(共有持分)を売り、賃貸借の貸主の地位を譲渡する契約を結んでいたと認定され、2024年5月16日に措置命令を受けました。その賃貸借は3か月以上にわたり賃料を受けるもので、一連の取引が預託等取引と判断されています。消費者庁は、同名の別会社と間違えないよう所在地も確認するよう注記しています。[20]

自分の状況で選ぶ

個人で持つ場合

日本でヘリコプターを個人で持つのは無理なのか、と質問者が尋ねている投稿があります。[21]

この投稿のように個人で持てるかを気にする場合、航空法第4条は、日本国籍を有しない人や外国法人などが所有する航空機は登録できないと定めています。個人か法人かで登録の可否が変わるかは、使える資料に書かれていません。貸して得た所得は、事業所得・譲渡所得に当たるものを除き不動産所得とされ、償却方法を選ぶなら業務を始めた翌年3月15日までに届け出ます。令和4年4月1日以後に取得して貸付け(主要な業務としての貸付けを除く)に使う減価償却資産には、少額資産などの即時経費化は使えません。[13,1,2]

直接保有で生じた不動産所得の損失を他の所得と通算できるかは、使える資料に書かれていないので、税理士に確かめてください。代わりに匿名組合型を選ぶと分配は原則雑所得になり、損失は損益通算できません。組合型でも、特定組合員に当たる個人の組合事業による不動産所得の損失は、損益通算等の適用上、生じなかったものとみなされます。[5,6,8]

法人で持つ場合

法人は定額法と定率法を選べますが、事業年度の中途で事業に使い始めた年は、使用開始日から期末までの月数分しか償却できません。匿名組合で持つ場合は、現実に分配や負担がなくても契約上の損益を計算期間末日の属する事業年度に算入します。[3,7]

法人が特定組合員等に当たる場合などは、組合等損失額のうち出資の価額を基礎に計算した額を超える部分(組合等損失超過額)は損金に算入されません。[8]

公式記載と確認リスト

当方の一覧で公式サイトを確認できた事業者は5件(購入リース3件、共同保有1件、販売1件)で、そのうち3件を並べます。並びは評価ではなく、残りを含む一覧は記事末尾の案内から探せます。[22]

名称 種類 公式の記載
ASL航空機節税(運営 株式会社エアクラフトセールズ&リース) 購入リース/共同保有 一口当たりの価格:200万円(税別)(ユーロコプターEC120) [23]
PrivateSky(運営 株式会社PrivateSky) 共同保有 シェア購入価格(税別)AS350:300万円、維持管理費 月額4万5,000円 [24]
Space Aviation Asset Solutions(運営 Space Aviation株式会社) 購入リース 最小投資額 2000万円〜 個人法人可 [10]

契約前に手元で確かめる項目です。

よくある質問

Q. 使っていない機体にも償却資産税の申告は要りますか

A. 1月1日現在で事業に使える状態にあれば、遊休・未稼働でも申告対象です。評価額は取得価額の5%を下回らず、5%が下限になります。

Q. 外国の買い手に売るとき登録はどうなりますか

A. 外国に売るときは抹消登録の手続になります。航空機は二重国籍が禁止されているため、日本の登録を抹消した旨を外国政府へ通報する必要があります。

Q. 中古機の耐用年数の見積りは後からでもできますか

A. 事業に使い始めた事業年度にしかできず、その年度にしなかった場合は後の年度で算定できません。使うための資本的支出が取得価額の50%を超える場合も簡便法は使えません。

Q. 登録原簿は本人でなくても見られますか

A. 謄本の交付・閲覧は誰でも請求できます。手数料は1通970円です。

Q. 匿名組合の出資は金融商品になりますか

A. 金融商品取引法第2条第2項第5号は、民法上の組合契約や商法上の匿名組合契約に基づく出資持分(集団投資スキーム持分)を有価証券とみなす対象に挙げています。金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行えません。金融庁は、取引の前に相手方業者の登録を確認するよう呼びかけています。

参考資料

  1. 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)e-Gov法令API v2(第二十六条第一項)(e-Gov現行版(2026-10-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340AC0000000033?response_format=json
  2. 国税庁タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
  3. 法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)e-Gov法令API v2(第五十九条第一項第一号)(e-Gov現行版(2026-10-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340CO0000000097?response_format=json
  4. 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年大蔵省令第十五号)別表第一 e-Gov法令API v1(XML)(別表第一 航空機)(e-Gov現行版(2026-05-22施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340M50000040015
  5. 国税庁 所得税基本通達 36・37共−19〜21の2(組合員・匿名組合員の所得)(国税庁 法令解釈通達ページ(2026-11-03取得時点))https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/16.htm
  6. 国税庁タックスアンサー No.2250 損益通算(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm
  7. 国税庁 法人税基本通達 14−1−3(匿名組合契約に係る損益)(国税庁 法令解釈通達ページ(2026-11-03取得時点))https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/14/14_01_01.htm
  8. 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)e-Gov法令API v2(第四十一条の四の二第一項)(e-Gov現行版(2026-11-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/332AC0000000026?response_format=json
  9. 国税庁タックスアンサー No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5400.htm
  10. 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://as.space-aviation.com/01/
  11. 国税庁タックスアンサー No.5404 中古資産の耐用年数(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
  12. 国土交通省「航空機の登録について」(国土交通省ページ(2026-11-03取得時点))https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000726.html
  13. 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)e-Gov法令API v2(第三条の二)(e-Gov現行版(2025-12-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/327AC0000000231?response_format=json
  14. 国土交通省「航空機登録の手続き」(国土交通省ページ(2026-11-03取得時点))https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk1_000034.html
  15. 東京都主税局「固定資産税(償却資産)」(東京都主税局ページ(令和8年度の案内、2026-11-03取得時点))https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/work/shokyak_sis
  16. 国税庁タックスアンサー No.5702 リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分)(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5702.htm
  17. 消費者庁「それって販売預託?販売預託チェックシート」(消費者庁ページ(2026-11-03取得時点))https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/act_on_deposit/check_sheet
  18. 預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)e-Gov法令API v2(第一条)(e-Gov現行版(2026-05-21施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/361AC0000000062?response_format=json
  19. 消費者庁「預託等取引に関する法律(預託法)」(消費者庁ページ(2026-11-03取得時点))https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/act_on_deposit/
  20. 消費者庁 News Release「預託法違反の預託等取引業者に対する措置命令について」(令和6年5月17日、エスアイヘリシス株式会社)(2024-05-17公表(措置命令は2024-05-16))https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_240517_01.pdf
  21. 「Yahoo!知恵袋の投稿」(2014/9/19 10:42)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13135759958
  22. 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://radineer.asia/heli/
  23. 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://asl-corp.co.jp/
  24. 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.privatesky.co.jp/

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