ヘリコプターのリースと購入で節税の仕組みはどう違うか
執筆・編集:ヘリコプター・小型機の購入リース・共同保有の事業者DB 編集部(運営 合同会社Radineer)/更新日 2026年11月6日
購入は自社が所有者として法定耐用年数5年で減価償却し、法人は定額法か定率法を選べ、期中に使い始めた年度は月割になります。リースは契約の中身で扱いが分かれ、法人が平成20年4月1日以後に結んだ契約で法人税法上のリース取引に当たるものは、資産の引渡しの時に売買があったものとされます。リース取引の要件の一つは中途解約の禁止(または解約時に未経過リース料のおおむね全部の支払い)で、解約不能期間のリース料合計が通常の取得価額のおおむね90%を超える場合はフルペイアウトに当たります。そのうち所有権移転外リースは、リース期間定額法で償却します。「組合に出資する」型では、法人が匿名組合員なら契約上分配・負担すべき損益を計算期間の末日の属する事業年度の益金・損金に算入しますが、法人が特定組合員等に当たると、組合等損失額のうち出資の価額を基礎に計算した額を超える部分は損金になりません。[1,2,3,4,5,6]
所有と費用化を比べる
| 方法 | 償却するのは誰か | 費用になるもの | 成り立つ条件 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 自社で購入して使う | 自社(所有者) | 減価償却費。耐用年数5年、法人は定額法か定率法 | 法人の減価償却資産として事業に使い始めていること | 期中に使い始めた年度は月割 [1,2] |
| 所有権移転外リース(税務上の売買) | 借り手 | リース期間定額法による償却費 | 中途解約が禁止か、解約時に未経過リース料のおおむね全部を支払う契約で、解約不能期間のリース料合計が通常の取得価額のおおむね90%を超える | 期間が法定耐用年数の70%を下回ると、法人税を著しく軽減する場合に限り「相当短い」として所有権移転外リースから外れる要素になる [4,3] |
| 匿名組合に出資 | 法人の匿名組合員は契約上の損益を取り込む | 契約上の損益の分配 | 匿名組合契約を結び、契約上分配・負担すべき損益を計算期間末日の属する事業年度に算入する | 個人の分配は原則雑所得で、損失は損益通算できない。出資持分は有価証券とみなす対象に挙げられ、金融商品取引業は登録を受けた者しか行えない [5,7,8,9] |
税務上は売買か賃貸借か
法人が平成20年4月1日以後に結んだ契約で税務上のリース取引に当たるものは、資産の引渡しの時に売買があったものとされます。判定の要件には「中途解約が禁止されているか(解約時に未経過リース料のおおむね全部を支払うか)」と「リース料の合計が通常の取得価額のおおむね90%を超えるか」が含まれます。売買とされた所有権移転外リースは、取得価額をリース期間の月数で割り、その年度の月数分を費用にします。令和9年3月31日以前に締結したものは、取得価額に含まれる残価保証額を控除して計算します。自社の機体をいったん売って借り直す形が実質的に金銭の貸借と認められるときは、売買はなかったものとされ、賃貸人から賃借人への金銭の貸付けがあったものとされます。[3,10]
| 判定項目 | 内容 | 当たるとどうなるか |
|---|---|---|
| 中途解約 | 禁止、または解約時に未経過期間のリース料のおおむね全部(原則90%以上)を支払う | 法人税法上のリース取引の要件の一つを満たす [3] |
| 支払総額 | 解約不能期間のリース料合計が通常の取得価額のおおむね90%を超える | 費用を実質負担する「フルペイアウト」 [3] |
| 期間の長さ | 法定耐用年数の70%(法定耐用年数10年以上は60%)を下回る。ヘリは法定5年なので70%が当たる | 「相当短い」とされ所有権移転外リースから外れる要素(法人税を著しく軽減する場合) [4,1] |
使うか、貸すかで分かれる
自社で使うなら購入か売買型リース
中古機は使用可能期間として見積もった年数で償却でき、見積りが難しいときは簡便法によります。法定5年を全部経過した中古ヘリでは、当方の一覧での計算例として5年×20%=1年となり、2年に満たないので下限の2年になります。一部経過なら(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%で、1年未満は切り捨てます。[11,12]
簡便法の算定は使い始めた事業年度にしかできず、中古資産を事業に使うための資本的支出が取得価額の50%を超える場合は使えません。期末直前に使い始めると、その年度は1年分の償却限度額を事業年度の月数で割り、使用開始日から期末までの月数を掛けた額しか償却できません。[11,2]
使わずに貸す形を扱う事業者
公式サイトで確認できた事業者は5件で、購入リース3件・共同保有1件・販売1件です。下の表は2026-11-02時点の公式の記載で、変わることがあります。並びは評価ではありません。公式サイトが見られない・事業終了・処分歴などの1件は載せていません。表の3社とも、公式サイトに金融商品取引業の登録番号の記載は確認できませんでした。[13,14,15,16]
| 事業者 | 種類 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| ASL航空機節税(株式会社エアクラフトセールズ&リース) | 購入リース/共同保有 | 一口当たりの価格:200万円(税別)(ユーロコプターEC120) [14] |
| PrivateSky(株式会社PrivateSky) | 共同保有 | シェア購入価格(税別)AS350:300万円、維持管理費 月額4万5,000円 [15] |
| Space Aviation Asset Solutions(Space Aviation株式会社) | 購入リース | 最小投資額 2000万円〜 個人法人可 [16] |
個人が特定組合員に当たる場合、組合事業による不動産所得の損失は損益通算等の適用上生じなかったものとみなされます。ヘリコプターを貸して得る所得がどの所得区分に当たるかは、ここでは確認していません。[6]
買ってそのまま売主に預ける形
消費者庁は2024年5月16日、ヘリコプターなど航空機を販売する会社が原則禁止の販売預託を行ったとして措置命令を出しました。この会社は航空機の共有持分を売り、付随して賃貸借契約の貸主の地位を消費者に譲渡する契約を結んでいたと消費者庁は認定しています。販売した物を賃貸借で借り受ける形も預託に当たり得るとされています。販売預託に当たる契約を内閣総理大臣の確認を受けずに結んだ場合、その売買契約・預託等取引契約は効力を生じません。例外の確認を受けた事業者は現時点で存在しないとされています。[17,18,19,20]
契約前に確かめる項目
- □ 契約書の中途解約条項と、支払総額が通常の取得価額のおおむね90%を超えるか[3]
- □ リース期間が耐用年数5年の70%を下回っていないか[4]
- □ 中古機なら使い始める事業年度に耐用年数を算定する予定か[11]
- □ 使い始める月から期末までの月数[2]
- □ 販売元やその関連会社に3か月以上預ける契約になっていないか[18]
- □ 金融商品取引を行うなら、相手方業者の登録を先に確認したか。警告リストに無い業者でも無登録はあり得る[21,22]
- □ 航空機登録原簿の謄本の交付か閲覧を請求したか(誰でも請求でき、1通970円)。登録を受けたヘリの所有権の変更は、登録を受けなければ第三者に対抗できない[23,24]
よくある質問
Q. 購入したヘリコプターに固定資産税はかかりますか。
A. 東京23区の例では、東京都主税局が償却資産の具体例に航空機を挙げています。23区では、償却資産の所有者が毎年1月1日現在の内容を1月31日までに、資産の所在する区の都税事務所に申告します。23区以外の扱いはここでは確認していません。税額は課税標準額×1.4%で、150万円未満なら課税されません。
Q. 登録免許税は取得価額に含めますか。
A. 登録免許税その他登記・登録のための費用は、取得に関連する費用であっても取得価額に算入しないことができます。算入しないかどうかは任意です。航空機登録は登録免許税の課税対象で、税額3万円までは収入印紙で納付できます。
Q. 共同保有の機体の名義は自分で確かめられますか。
A. 航空機登録原簿の謄本交付・閲覧はどなたでも請求できます。共同保有の名義がその謄本でどこまで分かるかは、ここでは確認していません。登録を受けたヘリの所有権の変更は、登録を受けなければ第三者に対抗できません。
参考資料
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年大蔵省令第十五号)別表第一 e-Gov法令API v1(XML)(別表第一 航空機)(e-Gov現行版(2026-05-22施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340M50000040015
- 法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)e-Gov法令API v2(第五十九条第一項第一号)(e-Gov現行版(2026-10-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340CO0000000097?response_format=json
- 国税庁タックスアンサー No.5702 リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分)(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5702.htm
- 国税庁タックスアンサー No.5704 所有権移転外リース取引(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5704.htm
- 国税庁 法人税基本通達 14−1−3(匿名組合契約に係る損益)(国税庁 法令解釈通達ページ(2026-11-03取得時点))https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/14/14_01_01.htm
- 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)e-Gov法令API v2(第四十一条の四の二第一項)(e-Gov現行版(2026-11-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/332AC0000000026?response_format=json
- 国税庁 所得税基本通達 36・37共−19〜21の2(組合員・匿名組合員の所得)(国税庁 法令解釈通達ページ(2026-11-03取得時点))https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/16.htm
- 国税庁タックスアンサー No.2250 損益通算(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm
- 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)e-Gov法令API v2(第二条第二項第五号)(e-Gov現行版(2026-08-12施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/323AC0000000025?response_format=json
- 国税庁タックスアンサー No.5410 減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5410.htm
- 国税庁タックスアンサー No.5404 中古資産の耐用年数(国税庁タックスアンサー[令和8年4月1日現在法令等])https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和四十年大蔵省令第十五号)e-Gov法令API v2(第三条第一項第二号)(e-Gov現行版(2026-05-22施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/340M50000040015?response_format=json
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://radineer.asia/heli/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://asl-corp.co.jp/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://www.privatesky.co.jp/
- 各事業者の公式サイト(2026-11-02確認)https://as.space-aviation.com/01/
- 消費者庁 News Release「預託法違反の預託等取引業者に対する措置命令について」(令和6年5月17日、エスアイヘリシス株式会社)(2024-05-17公表(措置命令は2024-05-16))https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_transaction_cms203_240517_01.pdf
- 消費者庁「それって販売預託?販売預託チェックシート」(消費者庁ページ(2026-11-03取得時点))https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/act_on_deposit/check_sheet
- 預託等取引に関する法律(昭和六十一年法律第六十二号)e-Gov法令API v2(第一条)(e-Gov現行版(2026-05-21施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/361AC0000000062?response_format=json
- 消費者庁「預託等取引に関する法律(預託法)」(消費者庁ページ(2026-11-03取得時点))https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/act_on_deposit/
- 金融庁「詐欺的な投資勧誘等にご注意ください!」(金融庁ページ(2026-11-03取得時点))https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/attention.html
- 金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」(金融庁ページ(令和8年10月23日更新の掲載、2026-11-03取得時点))https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html
- 国土交通省「航空機登録原簿の謄本交付・閲覧請求」(国土交通省ページ(2026-11-03取得時点))https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk1_000035.html
- 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)e-Gov法令API v2(第三条の二)(e-Gov現行版(2025-12-01施行の改正反映))https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/327AC0000000231?response_format=json
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