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AI Scoutby Radineer
ガイド

生成AIツール導入のRFP作成ガイド2026|提案を横並びで比較できる要件の書き方

生成AIツールの提案が比較できないのは依頼の粒度がそろっていないためです。RFPに書く5ブロックと、学習利用・モデル変更・出力検証・利用ログという生成AI固有の4項目、評価表の作り方を解説します。

#生成AI#RFP#提案依頼書#ツール選定#調達#2026年

提案書が3社そろっても比較できないのはなぜか

生成AIツールの選定で、複数のベンダーから提案を受け取ったあとに手が止まることがあります。3社の提案書が机の上に並んでいるのに、どれが自社に合うのか判断できないという状況です。

原因は提案書の出来ではなく、依頼のしかたにあります。「生成AIを使って業務を効率化したい」という粒度で声をかけると、各社は得意な領域に寄せて提案を組み立てます。結果として、A社は文書作成、B社は問い合わせ対応、C社は基盤構築の話をしてきます。土俵が違うものを並べても、比較にはなりません。

この記事では、生成AIツールの導入でRFP(提案依頼書)に何を書けば横並びの比較ができるようになるかを整理します。作成に慣れていない部門でも進められるよう、記載ブロックと評価表の作り方を順に説明します。

RFPに書く5つのブロック

分量を増やす必要はありません。次の5つが埋まっていれば、提案の粒度はそろいます。

1. 業務課題と対象範囲

解決したい業務を、部署名・件数・現在の所要時間まで書きます。「問い合わせ対応を効率化したい」ではなく、「カスタマーサポート部の一次回答、月間約1,200件、1件あたり平均12分」という形です。数字が入ると提案の前提がそろいます

あわせて、今回の対象外も明記します。範囲を書かないと、各社が勝手に広げたり狭めたりします。

2. 機能要件

必須と希望を分けて書きます。全項目を必須にすると、対応できるベンダーが限られ、価格交渉の余地も消えます。目安として、必須は全体の3割程度に抑えてください。

3. 非機能要件

セキュリティ、可用性、データの取り扱い、権限管理などです。ここは自社の社内規程からそのまま転記できる部分が多いため、情報システム部門に確認しながら埋めます。

4. 運用・サポート要件

導入後に誰がどこまで面倒を見るのかを書きます。初期設定の支援範囲、問い合わせ窓口の対応時間と言語、障害時の連絡方法、定例報告の有無です。この記載が抜けると、稼働後に「それは有償です」という話が出てきます。

5. 費用の提示形式

金額そのものより、内訳の粒度を指定することが重要です。初期費用、月額固定、従量課金の単価と単位、オプション、契約期間ごとの差額を分けて出すよう指定します。合計額だけの提示を許すと、比較ができません。

生成AI特有の要件は別枠で書く

従来のシステム調達のRFPをそのまま流用すると、生成AI固有の論点が抜け落ちます。次の4項目は独立した見出しを立てて記載してください。

入力データの学習利用と保持期間

入力した内容が提供元のモデル学習に使われるのか、使われない設定があるのか、その設定は契約上どこに記載されるのかを問います。あわせて、入力と出力がどこに何日間保存されるかも確認事項に含めます。

モデル変更時の通知と選択権

裏側のモデルが更新されると、同じ指示でも出力の傾向が変わることがあります。変更の事前通知があるか、旧バージョンを一定期間使い続けられるか、変更履歴が確認できるかを聞いてください。

出力品質の検証方法

「精度が高い」という表現は比較できません。自社の実データに近いサンプルを10〜20件用意し、同じ入力に対する出力を全社に提出させます。この方法なら、提案書の言葉ではなく結果で判断できます。

利用ログの取得範囲

誰がいつ何を入力したかを、後から管理者が確認できるかどうかです。監査や情報漏えい時の調査で必要になります。ログの保存期間と、エクスポートの可否もあわせて聞きます。

評価表は提案を受け取る前に作る

評価表を提案が届いてから作ると、目の前の提案書に引きずられた配点になります。RFPを送る前に、項目と配点を確定させてください

配点は、課題への適合度、機能、非機能・セキュリティ、運用サポート、費用の5区分に割り振る形が扱いやすいです。区分ごとの重みは自社の事情で決めます。機密情報を扱う業務なら非機能に厚く配分し、現場主導の試験導入なら適合度と費用に寄せます。

採点は複数名で行い、点差が大きい項目だけを議論します。全項目を合議で決めようとすると、選定が長期化します。

提案依頼から決定までの進め方

短くても4週間程度は確保してください。目安は次のとおりです。

1週目にRFPを配布し、質問受付期間を設けます。2週目に質問への回答を全社へ同時に共有します。ここで一部の会社にだけ追加情報を渡すと、比較の公平性が崩れます。3週目に提案書と出力サンプルを受領し、4週目に評価と面談を行います。

面談では、提案書に書かれていない内容を確認します。担当者の体制、類似業種での導入実績、想定していない使い方をされた場合の対処などです。

誰が書き、誰が承認するかを先に決める

RFPの作成が止まる原因の多くは、文章力ではなく分担の不在です。着手前に、次の3つの役割を割り当ててください。

業務側の担当者

実際にツールを使う部署から1名を出します。この人が業務課題と対象範囲、機能要件の必須・希望を書きます。現場の件数や所要時間を把握しているのは、この担当者だけです。

情報システム側の担当者

非機能要件と、生成AI固有の4項目を担当します。社内規程やセキュリティ基準との突き合わせもここで行います。業務側だけで書いたRFPは、この観点が抜けたまま配布されがちです。

意思決定者

評価表の配点を承認し、最終的な選定に責任を持つ役割です。配点の承認を後回しにすると、提案が出そろったあとで重みづけの議論が始まり、選定が振り出しに戻ります。

3名がそろわないまま進めると、提案を受け取ったあとで社内の前提が食い違い、再検討になります。着手時点で名前を確定させてください

よくある失敗

最も多いのは、RFPを1社にだけ渡し、その内容をもとに他社へ声をかける進め方です。最初の1社の得意分野が要件に反映されるため、実質的に競争になりません。要件は自社の業務から書き起こしてください。

次に多いのが、必須要件を積み上げすぎるケースです。あれば嬉しい機能をすべて必須に入れると、価格が上がり、提案社数も減ります。

3つ目は、試験導入の条件をRFPに書かないことです。本番契約の前に、どの範囲を何日間、どういう条件で試せるのかを提案項目に含めておくと、導入後の想定違いを減らせます。

よくある質問

RFPは何ページ必要ですか

枚数の基準はありません。前述の5ブロックと生成AI固有の4項目が埋まっていれば、10ページ前後でも十分に機能します。分量より、対象範囲と費用の提示形式が具体的かどうかで決まります。

予算額をRFPに書くべきですか

上限額の目安を書いたほうが、提案の現実味は上がります。金額を伏せると、規模の合わない構成が提案され、再提出で時間を失いやすくなります。

小規模な導入でもRFPは必要ですか

数名で使う試験導入であれば、正式なRFPは不要です。ただし、評価項目と配点だけは事前に書き出しておいてください。この作業をしておくと、本格導入の検討時にそのまま使えます。

まとめ

提案が比較できないのは、依頼の粒度がそろっていないためです。業務課題と対象範囲、機能要件、非機能要件、運用サポート、費用の提示形式の5ブロックを埋めることで、各社の提案は同じ土俵に乗ります。

そのうえで、学習利用の可否とデータ保持期間、モデル変更時の通知と選択権、出力品質の検証方法、利用ログの取得範囲という生成AI固有の4項目を別枠で聞いてください。ここは従来のシステム調達のRFPには存在しない論点です。

評価表は提案を受け取る前に確定させ、出力サンプルは同一の入力で提出させます。候補となるツールの機能や提供形態を事前に把握しておくと要件が書きやすくなるため、当サイトのカテゴリ別一覧もあわせてご覧ください。

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年7月26日
最終更新: 2026年7月26日