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AIが「労働者名簿と賃金台帳は会社で1冊・台帳は金額だけ・管理職は対象外」と答える2026|労基法107条・108条は事業場ごと・台帳に労働日数と時間外・休日・深夜の時間数・省けるのは41条該当者の2項目だけ

労働者名簿と賃金台帳は各事業場ごとに作り、台帳には労働日数・労働時間数・時間外等の時間数も書きます。管理監督者で省けるのは2項目だけ。保存は5年(当分3年)。条文で確認します。

#AI活用#業務効率化#品質管理#プロンプト#人事#労務

「労働者名簿と賃金台帳は何を書けばいいですか」とAIに聞くと、「会社で1冊あれば足ります」「賃金台帳は支給額と控除額が分かれば十分です」「管理職は対象外です」といった答えが返ることがあります。

これらは条文と合いません。労働基準法第107条・第108条は、どちらも各事業場ごとに作ることを求めています。賃金台帳には、金額のほか労働日数・労働時間数・時間外・休日・深夜の時間数も記入します。管理監督者などで省けるのは、労働時間数と時間外等の時間数の2項目だけです。

この記事では、e-Gov法令検索から取得した労働基準法第107条・第108条・第109条・第120条・第143条と、労働基準法施行規則第53条〜第56条・第59条の2をもとに、AIが混同しやすい点を整理します。誤答例は、よくある答え方を当サイトが類型化したもので、特定のAIの出力をそのまま引用したものではありません。

2つの帳簿の基本ルール

項目労働者名簿(第107条)賃金台帳(第108条)
作る単位各事業場ごと各事業場ごと
対象者各労働者。日日雇い入れられる者は除く労働者各人別(施行規則第54条)。日日雇い入れられる者も様式第21号で作る(同第55条)
記入の時期記入事項に変更があれば遅滞なく訂正賃金支払の都度、遅滞なく記入
様式様式第19号(施行規則第53条)様式第20号・第21号(施行規則第55条)
保存5年間。当分の間は3年間(第109条・第143条第1項)
違反した場合30万円以下の罰金(第120条第1号。第106条〜第109条の違反が対象)

どちらも「会社ごと」ではなく「事業場ごと」です。本社と支店、工場が別にあれば、それぞれで作ることになります。

労働者名簿に書く項目

第107条第1項が定めるのは、氏名・生年月日・履歴の3つです。施行規則第53条第1項がこれに次の6項目を加えます。

  1. 性別
  2. 住所
  3. 従事する業務の種類(常時30人未満の事業では不要。同条第2項)
  4. 雇入の年月日
  5. 退職の年月日及びその事由(解雇の場合はその理由を含む)
  6. 死亡の年月日及びその原因

合計9項目です。退職の欄には「事由」まで書き、解雇なら「理由」も残します。住所や業務が変わったときは、第107条第2項により遅滞なく訂正します。

賃金台帳に書く項目

施行規則第54条第1項は、次の8項目を労働者各人別に記入するよう定めています。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働・休日労働をさせた場合と、午後10時〜午前5時に労働させた場合の、延長時間数・休日労働時間数・深夜労働時間数
  7. 基本給・手当その他賃金の種類ごとの額
  8. 第24条第1項により賃金の一部を控除した場合は、その額

給与明細の控えのように金額だけを並べた帳票では、第4号〜第6号が欠けます。勤怠システムの集計値を賃金台帳に載せておく必要があるのは、このためです。

省略できる場合は条文で限られています。

  • 日日雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く):第3号の賃金計算期間は不要(第54条第4項)
  • 第41条各号に該当する労働者と、第41条の2(高度プロフェッショナル制度)で働く労働者:第5号と第6号は不要(第54条第5項)
  • 賃金の一部を通貨以外で支払う場合:その評価総額を記入する(第54条第3項)

AIがよく間違える6つの答え

誤答1:「会社全体で1冊あれば足りる」

第107条第1項も第108条も「各事業場ごとに」と書いています。本社でまとめて管理すること自体を禁じる文言はありませんが、帳簿は事業場単位で調製するのが条文の要件です。本社のシステムで一元管理する場合も、事業場ごとに分けて出力できる形にしておくのが安全です。

誤答2:「アルバイトや日雇いは名簿も台帳も要らない」

労働者名簿で除かれるのは「日日雇い入れられる者」だけです。条文に「アルバイト」「パート」で除外する規定はありません。賃金台帳は日日雇い入れられる者についても作り、様式第21号を使います(施行規則第55条)。名簿と台帳で除外の範囲が違う点が、混同の起きやすいところです。

誤答3:「賃金台帳は支給額と控除額だけでよい」

施行規則第54条第1項は、労働日数・労働時間数・時間外等の時間数を独立した項目にしています。金額だけでは、割増賃金が時間数に見合っているかを台帳から確かめられません。

誤答4:「管理職は賃金台帳の対象外」

第54条第5項が記入不要としているのは、第41条該当者と高度プロフェッショナル制度の対象者について第5号と第6号の2項目だけです。氏名・賃金計算期間・労働日数・賃金の額などは記入します。また、この規定は台帳に何を書くかの規定で、賃金の支払義務の範囲を決めるものではありません。なお、社内で「管理職」と呼ばれていても、第41条第2号の管理監督者に当たるかは別の判断です。

誤答5:「様式第20号そのものを使わないと違反になる」

施行規則第59条の2第1項は、労働者名簿・賃金台帳の様式について「必要な事項の最少限度を記載すべきことを定めるもの」で、「異なる様式を用いることを妨げるものではない」と定めています。給与ソフトの帳票でも、必要な項目がそろっていれば様式の違いだけで問題にはなりません。施行規則第55条の2により、年次有給休暇管理簿・労働者名簿・賃金台帳をあわせて作ることもできます。

誤答6:「保存は3年。数え始めは作った日」

第109条の保存期間は5年間で、第143条第1項により当分の間は3年間です。「3年」だけを答えると、本則が5年である点が抜けます。起算日は施行規則第56条が帳簿ごとに定めています。

書類起算日
労働者名簿労働者の死亡、退職又は解雇の日
賃金台帳最後の記入をした日。賃金の支払期日のほうが遅ければ支払期日(第56条第2項)
雇入れ・退職に関する書類労働者の退職又は死亡の日
災害補償に関する書類災害補償を終わった日
賃金その他労働関係に関する重要な書類その完結の日。賃金の支払期日のほうが遅ければ支払期日(第56条第2項)

労働者名簿は在職中ずっと保存し、退職した日から数え始めます。作った日から数えると、長く勤めている人の名簿を早く捨ててしまうおそれがあります。

AIに確認させるときのプロンプト例

AIに帳簿の点検を手伝わせる場合は、条文の番号と項目を先に渡し、照合だけを頼むと誤答が減ります。

次の賃金台帳の列見出しを、労働基準法施行規則第54条第1項第1号〜第8号と照合してください。
・各号について「列あり/列なし」を表で示す
・第41条該当者と高度プロフェッショナル制度の対象者は、第5号・第6号だけを不要として扱う
・日日雇い入れられる者(1か月を超えて使用される者を除く)は、第3号だけを不要として扱う
・条文にない除外(アルバイト、役職名など)は使わない
・判断できない点は「未確認」と書く
列見出し:(ここに貼る)

AIの答えは必ず条文と突き合わせてください。電子データでの保存方法や、個別の事業場が「事業場」に当たるかなど、この記事で扱っていない論点は、労働基準監督署や社会保険労務士に確認するのが確実です。

点検チェックリスト

  • 労働者名簿と賃金台帳を、事業場ごとに作っている(第107条第1項・第108条)
  • 労働者名簿に9項目がある。常時30人未満なら業務の種類は省略可(施行規則第53条)
  • 退職者の欄に退職の事由、解雇なら理由を書いている(施行規則第53条第1項第5号)
  • 賃金台帳に労働日数・労働時間数・時間外・休日・深夜の時間数がある(施行規則第54条第1項第4号〜第6号)
  • 日日雇い入れられる者の賃金台帳も作っている(施行規則第55条)
  • 保存期間を最低3年(本則5年)とし、起算日を帳簿ごとに分けている(第109条・第143条第1項・施行規則第56条)

まとめ

  • 労働者名簿と賃金台帳は、どちらも各事業場ごとに作ります(第107条第1項・第108条)。
  • 労働者名簿は氏名・生年月日・履歴に、性別・住所・業務の種類・雇入・退職・死亡の6項目を加えた9項目です(施行規則第53条)。
  • 賃金台帳は金額だけでなく、労働日数・労働時間数・時間外等の時間数も記入します(施行規則第54条第1項)。
  • 管理監督者などで省けるのは、労働時間数と時間外等の時間数の2項目だけです(施行規則第54条第5項)。
  • 保存は5年間で、当分の間は3年間です。違反には30万円以下の罰金があります(第109条・第120条第1号・第143条第1項)。

出典:労働基準法 第107条・第108条・第109条・第120条・第143条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049、2026年7月17日施行版)、労働基準法施行規則 第53条・第54条・第55条・第55条の2・第56条・第59条の2(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023、2026年4月1日施行版)。2026年10月21日 01:00(日本時間)に取得した条文にもとづきます。通達・裁判例・電子保存に関する規定は取得していません。

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年10月21日
最終更新: 2026年10月21日