AIが源泉徴収の「扶養親族等の数」に16歳未満の子を数える2026|甲欄・乙欄と人数の数え方を取り違えないための5つの手順
AIに源泉徴収税額を計算させると、16歳未満の子を扶養親族等の数に入れたり、副業先でも甲欄を使ったりすることがあります。甲欄・乙欄の判定と人数の数え方、5つの手順を解説します。
「この社員の今月の源泉徴収税額を出してください。子どもが2人います」。AIにこう頼むと、子ども2人をそのまま「扶養親族等の数」に数えて税額表を引くことがあります。答えは表の手順どおりに見えるため、誤りに気づきにくいのが特徴です。
しかし、16歳未満の子は、源泉徴収税額表の「扶養親族等の数」に原則として数えません。また、税額表のどの欄を使うかは、扶養控除等申告書を出しているかどうかで決まります。AIはこの2つの前提を落としがちです。
この記事では、AIが扶養親族等の数と甲欄・乙欄を取り違える原因と、ずれが出る場面、AIに正しく手伝わせる5つの手順をまとめます。
源泉徴収で押さえる2つの判定
毎月の給与から源泉徴収税額を出すには、税額表を引く前に2つの判定が必要です。国税庁の「源泉徴収税額表」とその手引きに沿って整理します。
| 判定 | 内容 |
|---|---|
| どの欄を使うか | 「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人は甲欄、提出していない人は乙欄。日額表には、日雇いなどに使う丙欄もある |
| 扶養親族等の数 | 甲欄で使う。源泉控除対象配偶者と、16歳以上の控除対象扶養親族を数える。本人や家族が障害者に当たる場合などは、さらに人数を加える |
ポイントは、「家族の人数」と「扶養親族等の数」は別物だという点です。16歳未満の子(年少扶養親族)は、扶養控除の対象外のため、原則として数に入りません。扶養控除等申告書には記入欄がありますが、これは主に住民税のための記入です。
AIが取り違える3つの原因
原因1:「扶養している家族」をすべて数える
日常の言葉では、子どもは年齢に関係なく「扶養している家族」です。AIはこの言葉の感覚で人数を数えるため、16歳未満の子も含めてしまいます。人数が多いほど税額は低くなるため、源泉徴収が不足します。
原因2:申告書の提出状況を確認しない
AIは、税額表の説明で最もよく出てくる甲欄を前提に計算しがちです。扶養控除等申告書は1か所の勤務先にしか出せません。副業先や2か所目の勤務先では乙欄を使うのが原則ですが、AIはこの確認を飛ばします。
原因3:加算する人数を見落とす
本人が障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生に当たる場合は、それぞれ1人を加えます。障害者に当たる同一生計配偶者や扶養親族がいる場合も、1人を加えます。16歳未満の子でも、障害者に当たれば加算の対象です。AIは「16歳未満は数えない」と覚えると、この加算まで外すことがあります。
ずれが出る3つの場面
以下の人数や金額は、仕組みを説明するための仮の数字です。実際の税額は、その年の源泉徴収税額表で確認してください。
場面1:8歳と12歳の子を数に入れる
配偶者の所得が要件を超えていて、子どもが8歳と12歳の2人という社員がいるとします。子どもはどちらも16歳未満のため、扶養親族等の数は0人です。AIが子ども2人を数えて「2人」の列で税額を引くと、毎月の源泉徴収税額が少なくなります。差額は年末調整で精算されますが、12月にまとめて不足分を徴収することになります。
場面2:副業先で甲欄を使う
本業の会社に扶養控除等申告書を出している人が、副業先でも給与を受け取るとします。副業先は申告書を受け取っていないため、乙欄で計算します。AIが甲欄で計算すると税額が大幅に少なくなります。乙欄で源泉徴収された給与は年末調整の対象外で、本人が確定申告をすることになります。
場面3:障害者の加算を外す
10歳の子が障害者に当たる社員がいるとします。子は16歳未満のため控除対象扶養親族には数えませんが、障害者として1人を加えます。AIが「16歳未満だから0人」と判断すると、本来より1人少ない数で税額を引くことになり、源泉徴収が過大になります。
AIに正しく手伝わせる5つの手順
手順1:扶養控除等申告書の提出有無を最初に渡す
プロンプトの冒頭に「扶養控除等申告書の提出あり(甲欄)」または「提出なし(乙欄)」と書きます。提出状況が分からない場合は、計算を始めずに確認を求めるよう指示します。
手順2:家族は生年月日と所得の見込みで渡す
「子ども2人」ではなく、家族ごとの生年月日と所得の見込みを渡します。16歳以上かどうかは、その年の12月31日時点の年齢で判定します。年齢を数える基準日を指示に含めると、判定のぶれが減ります。
手順3:人数の内訳を1人ずつ出させる
「源泉控除対象配偶者」「16歳以上の控除対象扶養親族」「障害者などの加算」を分けて数えさせます。家族1人ごとに「数える/数えない」と理由を表で出させると、どこで誤ったかを追えます。
手順4:所得要件と税額は自分で確認する
配偶者や扶養親族の所得要件は、税制改正で変わることがあります。AIは古い基準額を覚えていることがあるため、その年の国税庁の手引きで基準を確認し、指示に含めます。税額表の金額も、自分で表を開いて転記するのが安全です。
手順5:年の途中の変更を反映させる
子の誕生、就職、配偶者の所得の変化などで、扶養親族等の数は年の途中でも変わります。扶養控除等申告書の異動の届出を受けた月から数を変えるよう、AIに変更の履歴も渡します。
検算のチェックリスト
- 扶養控除等申告書の提出有無を確認し、甲欄か乙欄かを決めているか
- 16歳未満の子を扶養親族等の数に入れていないか
- 年齢を、その年の12月31日時点で判定しているか
- 本人や家族の障害者などの加算を落としていないか
- 配偶者と扶養親族の所得要件を、その年の基準で確認しているか
- 計算する年の源泉徴収税額表を使っているか
給与計算ソフトとの役割分担
給与計算ソフトでは、家族の生年月日を登録すると扶養親族等の数を自動で数えるものが一般的です。ただし、申告書の内容が登録されていなければ、正しい数にはなりません。AIは、ソフトに登録する前の家族情報の整理や、申告書の記入漏れの確認に使うと効果的です。
ChatGPTやClaudeなどの対話型AIを使う場合も、判定の基準を明示することが前提です。賞与の源泉徴収は賞与の源泉徴収で表を取り違える問題、住民税は住民税を今月の給与で計算する問題もあわせて確認してください。
まとめ
源泉徴収税額表を引く前に、扶養控除等申告書の提出有無で甲欄か乙欄かを決め、扶養親族等の数を正しく数える必要があります。16歳未満の子は原則として数に入れず、障害者などに当たる場合は人数を加えます。
防ぐ手順は、申告書の提出有無を最初に渡す、家族を生年月日と所得で渡す、人数の内訳を1人ずつ出させる、所得要件と税額は自分で確認する、年の途中の変更を反映させる、の5つです。
なお、個別の税額や扱いについては、税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。
AI Scout編集部
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