AIが「訓練生も年休は最初10日・職業訓練なら18歳未満も危険業務可・社内研修でも特例」と答える2026|労基法70〜73条は認定職業訓練と労働局長の許可が前提・未成年者は12労働日
労働基準法第70条の職業訓練の特例は、認定職業訓練と都道府県労働局長の許可が前提です。対象の未成年者の年次有給休暇は最初12労働日、上限は20労働日です。危険有害業務と坑内労働の限度も条文で確認します。
職業訓練生として高校卒業前後の社員を受け入れる会社が、AIに聞くと「訓練生も年次有給休暇は最初10日です」「職業訓練なら、18歳未満でも危険な作業をさせてかまいません」と答えることがあります。どちらも条文の内容と合っていません。
この記事では、労働基準法第70条から第73条を中心に、第14条、第39条、第62条、第63条、第119条、第120条と、労働基準法施行規則第34条の2の5から第34条の5、職業能力開発促進法第24条を条文で確認します。訓練を名目にした酷使の禁止は第69条の記事で扱っています。
結論:確認できる6つのこと
- 第70条の特例の対象は、職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行う職業訓練(認定職業訓練)を受ける労働者です。社内研修一般ではありません。
- 特例を定める厚生労働省令は、都道府県労働局長の許可を受けた使用者に使用される労働者にだけ適用されます(第71条、施行規則第34条の4)。
- 特例の対象になる未成年の訓練生の年次有給休暇は、最初が12労働日です。継続勤務6年6か月以上の区分は8労働日の加算になります(第72条)。
- 特例で緩められるのは、契約期間(第14条第1項)、年少者・妊産婦等の危険有害業務と坑内業務の制限です。それ以外の規定は変わりません。
- 16歳未満の者の坑内労働は、特例でも禁止のままです(第70条ただし書)。
- 許可を受けた使用者が省令に違反すると、許可を取り消されることがあります(第73条)。罰則もあります(第119条第4号・第120条第2号)。
条文を確認する
労働基準法第70条(職業訓練に関する特例)
職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、第十四条第一項の契約期間、第六十二条及び第六十四条の三の年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限、第六十三条の年少者の坑内労働の禁止並びに第六十四条の二の妊産婦等の坑内業務の就業制限に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。ただし、第六十三条の年少者の坑内労働の禁止に関する規定については、満十六歳に満たない者に関しては、この限りでない。
「その必要の限度で」と書かれています。特例は、訓練に必要な範囲に限られます。
労働基準法第71条・第73条
第七十一条 前条の規定に基いて発する厚生労働省令は、当該厚生労働省令によつて労働者を使用することについて行政官庁の許可を受けた使用者に使用される労働者以外の労働者については、適用しない。
第七十三条 第七十一条の規定による許可を受けた使用者が第七十条の規定に基いて発する厚生労働省令に違反した場合においては、行政官庁は、その許可を取り消すことができる。
許可の申請先は、施行規則第34条の4で、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長と定められています。様式は第14号の4の職業訓練に関する特例許可申請書です。
労働基準法第72条(未成年者の年次有給休暇)
第七十条の規定に基づく厚生労働省令の適用を受ける未成年者についての第三十九条の規定の適用については、同条第一項中「十労働日」とあるのは「十二労働日」と、同条第二項の表六年以上の項中「十労働日」とあるのは「八労働日」とする。
第39条第2項の表のうち、読み替えるのは「六年以上」の行だけです。1年から5年の行(1・2・4・6・8労働日の加算)はそのまま使います。
労働基準法施行規則(訓練生の特例の中身)
- 第34条の2の5:許可を受けた使用者が行う職業訓練を受ける労働者を「訓練生」と呼びます。訓練生の労働契約の期間は、訓練課程に応じた訓練期間の範囲内で定めることができます。事業場で定めた訓練期間を超えてはいけません。
- 第34条の3:技能の習得に必要な場合、18歳未満の訓練生を第62条の危険有害業務に就かせることができます。16歳以上の男性の訓練生は坑内労働に就かせることができます。その場合、危害を防止する措置が必要です。業務の範囲と措置の基準は別表第一で定められています。
付与日数を表で比べる
| 継続勤務期間 | 通常の労働者(第39条) | 第72条の対象の未成年者 |
|---|---|---|
| 6か月 | 10労働日 | 12労働日 |
| 1年6か月 | 11労働日 | 13労働日 |
| 2年6か月 | 12労働日 | 14労働日 |
| 3年6か月 | 14労働日 | 16労働日 |
| 4年6か月 | 16労働日 | 18労働日 |
| 5年6か月 | 18労働日 | 20労働日 |
| 6年6か月以上 | 20労働日 | 20労働日 |
表は、第39条第1項・第2項の日数に第72条の読み替えを当てはめて計算したものです。出勤率8割以上の要件は、どちらも同じです。上限はどちらも20労働日になります。
AIが取り違えやすい6つの答え
1. 「訓練生でも、年次有給休暇は最初10日です」
第72条の対象になる未成年者は、最初が12労働日です。ただし対象は、第70条の省令の適用を受ける未成年者だけです。許可を受けていない会社の研修生や、成年に達した訓練生は第39条のとおり10労働日です。
2. 「未成年の訓練生は、勤続6年以上で通常より2日多く20日を超えます」
第72条は「六年以上」の行の加算を10労働日から8労働日に読み替えています。12労働日に8労働日を足すと20労働日です。上限は通常の労働者と同じ20労働日になります。
3. 「社内で研修をしていれば、この特例を使えます」
第70条の対象は、職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けて行う職業訓練です。第24条第1項の認定は都道府県知事が行います。さらに第71条で、都道府県労働局長の許可を受けた使用者の労働者にしか省令は適用されません。認定と許可の両方が前提です。
4. 「職業訓練なら、18歳未満にも危険な作業をさせてかまいません」
施行規則第34条の3は、技能の習得に必要な場合に限っています。業務の範囲は別表第一で決まっています。危害を防止する措置も義務です。第70条の「その必要の限度で」という限定もあります。何でも許されるわけではありません。
5. 「訓練生なら、15歳でも坑内で働かせてよい」
第70条ただし書で、16歳未満の者の坑内労働の禁止は特例の対象外です。施行規則第34条の3も、坑内労働に就かせることができるのは16歳以上の男性の訓練生としています。
6. 「特例には罰則がありません」
第72条の違反は第119条第1号の対象です。第70条の省令のうち第62条・第64条の3に係る部分の違反は第119条第4号で、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。第14条に係る部分の違反は第120条第2号で、30万円以下の罰金です。省令に違反すれば、第73条で許可の取消しもあります。
状況別の整理
| 状況 | 条文上の扱い |
|---|---|
| 認定職業訓練で、都道府県労働局長の許可あり。訓練生は17歳 | 年休は最初12労働日(第72条)。危険有害業務は別表第一の範囲で措置を講じれば可(施行規則第34条の3) |
| 認定職業訓練だが、許可は受けていない | 省令は適用されない(第71条)。第39条・第62条・第63条・第14条がそのまま適用 |
| 社内の新人研修(認定なし) | 第70条の対象外。通常の規定どおり |
| 許可ありの訓練生が成年に達している | 第72条は未成年者が対象。第39条のとおり10労働日から |
| 15歳の訓練生を坑内で働かせる | 禁止(第70条ただし書・第63条) |
年少者の就業制限そのものは第62条・第63条の記事、契約期間の上限は第14条の記事で確認できます。
実務で確かめる順番
- 行っている訓練が、職業能力開発促進法第24条第1項の認定を受けているかを確認する
- 事業場が、都道府県労働局長から第71条の許可を受けているかを確認する
- 訓練生の生年月日を確認し、未成年者かどうかで年休の日数表を分ける
- 危険有害業務に就かせる場合は、別表第一の業務の範囲と措置の基準に当てはまるかを確認する
- 労働契約の期間が、事業場で定めた訓練期間を超えていないかを確認する
- 判断に迷う点は、労働基準監督署か都道府県労働局に確認する
AIに確認させるときの手順
- 訓練の認定の有無、許可の有無、訓練生の年齢をそろえて渡す
- 第70条から第73条と第39条第1項・第2項の原文を貼り、「この条文に当てはめて」と指定する
- 「特例の対象か」と「年休の日数」と「就かせてよい業務」を別々に答えさせる
- 日数を答えたら、第39条の表のどの行を読み替えたかを書かせる
- 施行規則の条番号を挙げたら、e-Gov法令検索で原文を確認する
条文の当てはめの下書きには、ChatGPTやClaudeのような対話型AIも使えます。その場合も、条文番号と文言は原文で確かめてください。
まとめ
- 第70条の特例は、認定職業訓練を受ける労働者が対象です。省令が適用されるのは、都道府県労働局長の許可を受けた使用者の労働者だけです。
- 対象の未成年者の年休は、最初12労働日です。上限は20労働日で、通常の労働者と同じです。
- 危険有害業務や坑内労働の特例は、訓練に必要な限度に限られます。16歳未満の坑内労働は特例でも禁止です。
- 省令違反には罰則と許可の取消しがあります。
出典:労働基準法 第14条・第39条・第62条・第63条・第69条・第70条・第71条・第72条・第73条・第119条・第120条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 )、労働基準法施行規則 第34条の2の5・第34条の3・第34条の4・第34条の5(https://laws.e-gov.go.jp/law/322M40000100023 )、職業能力開発促進法 第24条(https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000064 )。条文は2026年11月4日にe-Gov法令検索API v2で取得した現行の本文です。個別の事案は、労働基準監督署または専門家に確認してください。
AI Scout編集部
AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。