AIが「高校生も親の同意で22時以降OK・36協定で残業可」と答える2026|労基法60条・61条は18歳未満に36協定と変形制を適用せず午後10時〜午前5時は使用禁止
AIに高校生アルバイトの働き方を聞くと「親の同意で深夜もOK」と答えることがあります。労基法61条は18歳未満の午後10時〜午前5時の使用を禁じます。5つの誤答と確認手順を解説します。
「高校生のアルバイトをどこまで働かせてよいか」とAIに聞くと、「親の同意があれば22時以降も働けます」と答えることがあります。「36協定があれば高校生も残業できます」「変形労働時間制なら1日10時間でも大丈夫です」と答える例もあります。
どれも労働基準法の条文と合いません。第60条は、満18歳未満の人には36協定(第36条)や変形労働時間制(第32条の2〜第32条の5)を適用しないと定めています。第61条は、満18歳未満の人を午後10時から午前5時まで使用してはならないと定めています。親の同意は、どちらの例外にも書かれていません。
この記事では、e-Gov法令検索で取得した労働基準法第56条〜第64条と罰則(第118条〜第120条)の条文をもとに、AIが取り違えやすい点と、AIに正しく答えさせる手順をまとめます。
18歳未満の働き方の基本ルール
| 項目 | 条文の内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 働き始められる時期 | 満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わってから | 第56条第1項 |
| 残業・休日労働(36協定) | 18歳未満には適用しない | 第60条第1項 |
| 変形労働時間制・フレックス | 18歳未満には適用しない(例外あり) | 第60条第1項・第3項 |
| 深夜業 | 午後10時〜午前5時は使用禁止 | 第61条第1項 |
| 事業場に備える書類 | 年齢を証明する戸籍証明書 | 第57条第1項 |
| 深夜業違反の罰則 | 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 | 第119条第1号 |
18歳未満のルールは、大人向けの第32条〜第41条とは別の章にまとまっています。AIは大人のルールをそのまま当てはめて答えがちです。
AIが間違えやすい5つのポイント
1. 「親の同意があれば22時以降も働ける」と答える
第61条第1項の例外は「交替制によって使用する満16歳以上の男性」だけです。親の同意や本人の希望は、例外として書かれていません。午後10時を過ぎる勤務は、同意書があっても認められません。違反すると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(第119条第1号)。
2. 「36協定を結べば高校生も残業できる」と答える
第60条第1項は、第36条を満18歳未満には適用しないと定めています。36協定を結んでいても、18歳未満の人に1日8時間・1週40時間を超えて働かせる根拠にはなりません。休日労働も同じです。大人と同じシフト表で残業を割り当てていないかを確認します。
3. 「変形労働時間制なら1日10時間でもよい」と答える
第60条第1項は、1か月単位・1年単位などの変形労働時間制とフレックスタイム制(第32条の2〜第32条の5)も18歳未満には適用しないと定めています。例外は第60条第3項の2つだけです。
- 1週40時間の範囲で、ある1日を4時間以内に短くすれば、他の日を10時間まで延ばせます。
- 1週48時間以下(厚生労働省令で定める時間)・1日8時間以内の範囲で、1か月単位・1年単位の変形労働時間制の例により働かせられます。
この例外は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの間は使えません。
4. 「親の同意書を出してもらえば書類は足りる」と答える
第57条第1項が事業場に備えるよう求めているのは、年齢を証明する戸籍証明書です。親の同意書は、条文の求める書類ではありません(第56条第2項の13歳以上の児童を使う場合は別に定めがあります)。また、第58条第1項は、親権者が本人に代わって労働契約を結ぶことを禁じています。第59条は、親権者が賃金を代わりに受け取ることを禁じています。
5. 「15歳になれば中学生でもアルバイトできる」と答える
第56条第1項の基準は誕生日ではありません。「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」は使用できません。多くの場合、中学校を卒業する年度の3月31日までは働かせられないことになります。例外は、軽易な仕事で行政官庁の許可を受けた場合などに限られます(第56条第2項)。違反の罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(第118条)。
AIに正しく答えさせる手順
手順1:条文を貼って答えさせる
e-Gov法令検索から第56条・第60条・第61条の条文をコピーし、プロンプトに貼ります。「この条文だけを根拠に答えてください。条文にないことは『条文にない』と書いてください」と指示します。
手順2:大人のルールと18歳未満のルールを分けさせる
「36協定」「変形労働時間制」「深夜業」の3項目について、大人と18歳未満を2列の表で比べさせます。18歳未満の列に「36協定で可能」と書くAIの答えは使えません。
手順3:確認問題を5問解かせる
| 確認問題 | 正解 |
|---|---|
| 18歳未満を使用できない時間帯は | 午後10時〜午前5時(第61条第1項) |
| 親の同意は深夜業の例外になるか | ならない |
| 36協定で18歳未満に残業させられるか | できない(第60条第1項) |
| 事業場に備える書類は | 年齢を証明する戸籍証明書(第57条第1項) |
| 働き始められる時期は | 満15歳に達した日以後の最初の3月31日の終了後 |
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順4:シフト表と照合させる
シフト表を貼り、生年月日から18歳未満の人を抜き出させます。そのうえで「22時以降の勤務」「1日8時間超・1週40時間超」「休日労働」が入っていないかを確認させます。誕生日で18歳になる日も表に出させると、切り替わりの見落としを防げます。
手順5:判断が分かれる点は専門家に確認する
交替制の例外や、厚生労働省令で定める時間などは、条文だけでは判断しきれません。運用を決める前に、社会保険労務士や労働基準監督署に確認します。
まとめ
- 18歳未満の人は、午後10時〜午前5時に働かせてはなりません(第61条第1項)。親の同意は例外になりません。
- 36協定と変形労働時間制・フレックスタイム制は、18歳未満には適用されません(第60条第1項)。
- 変形の例外は第60条第3項の2つだけです。
- 事業場には年齢を証明する戸籍証明書を備えます(第57条第1項)。
- 働き始められるのは、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終わってからです(第56条第1項)。
大人の休憩時間のルールは休憩時間の記事で、36協定の上限は36協定の上限の記事で、妊産婦の時間外労働の制限は妊産婦の記事で解説しています。
出典:労働基準法 第56条〜第61条・第118条〜第119条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049、2026年7月17日施行版)
AI Scout編集部
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