AIが「親の同意があれば18歳未満も危険作業OK・重量物は一律20kg・16歳以上なら坑内可」と答える2026|労基法62条は同意の例外なし・重量は年齢と性別で8〜30kg・63条の坑内禁止は18歳未満すべて
労働基準法第62条は18歳未満を危険有害業務と重量物業務に就かせることを禁じ、同意の例外はありません。重量の上限は年齢・性別・作業の形で8〜30kgに分かれます。第63条の坑内禁止は18歳未満すべてが対象です。
高校生のアルバイトや18歳未満の新入社員に任せる作業をAIに相談すると、「親の同意があれば危険な作業も任せられます」「重量物は20kgまでなら大丈夫です」といった答えが返ることがあります。どちらも条文とは違います。
この記事では、労働基準法第57条・第62条・第63条・第70条・第71条と罰則の第118条〜第120条を確認します。あわせて、年少者労働基準規則第7条・第8条も確認します。そのうえで、AIがよく間違える7つの答えを正します。
結論:18歳未満に任せてはいけない業務
- 満18歳に満たない者を、厚生労働省令で定める危険な業務・重量物を取り扱う業務・有害な業務に就かせてはなりません(第62条)。
- 第62条には、本人や親の同意があれば就かせてよいという例外は書かれていません。
- 重量物の上限は一律ではありません。年齢(16歳未満か以上か)・性別・断続作業か継続作業かで、8kgから30kgまで分かれます(年少者労働基準規則第7条)。
- 就かせてはならない業務は、年少者労働基準規則第8条に第1号から第46号まで並んでいます(第20号・第30号は削除)。
- 満18歳に満たない者を坑内で労働させてはなりません(第63条)。16歳以上でも同じです。
- 罰則は条文で違います。第62条違反は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第119条)、第63条違反は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(第118条)。
- 18歳未満を使うときは、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けます(第57条第1項)。違反は30万円以下の罰金です(第120条)。
条文を確認する
労働基準法第62条(危険有害業務の就業制限)
使用者は、満十八才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
第1項は「危険な業務」と「重量物を取り扱う業務」です。第2項は、毒劇物や爆発性の材料を取り扱う業務、粉じんや有害ガスが出る場所、高温・高圧の場所などの「有害な業務」です。第3項で、第2項の業務の範囲は厚生労働省令で定めるとしています。
条文の主語は「使用者」です。禁止されているのは「就かせる」ことなので、本人が希望したかどうかは要件に入っていません。
労働基準法第63条(坑内労働の禁止)
使用者は、満十八才に満たない者を坑内で労働させてはならない。
第62条は「業務」を単位に制限しています。第63条は「坑内」という場所を単位にしていて、どんな業務でも坑内なら禁止です。
労働基準法第57条(年少者の証明書)
使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
第2項では、第56条第2項の許可を受けて使う児童について、学校長の証明書と親権者または後見人の同意書の備え付けも求めています。
重量物の上限(年少者労働基準規則第7条)
第62条第1項の「重量物を取り扱う業務」は、次の重量以上の物を取り扱う業務です。
| 年齢 | 性別 | 断続作業 | 継続作業 |
|---|---|---|---|
| 満16歳未満 | 女 | 12kg | 8kg |
| 満16歳未満 | 男 | 15kg | 10kg |
| 満16歳以上満18歳未満 | 女 | 25kg | 15kg |
| 満16歳以上満18歳未満 | 男 | 30kg | 20kg |
規則の文言は「重量以上の重量物を取り扱う業務」です。表の数字ちょうどの重さも対象に入ります。たとえば17歳の女性に15kgの箱を継続して運ばせる作業は、この表の対象です。
就かせてはならない業務(年少者労働基準規則第8条)
第8条には46の号があります。主なものを分野ごとにまとめます。号の番号は条文のとおりです。
機械・運転
- ボイラーの取扱い(第1号)、ボイラーの溶接(第2号)
- クレーン・デリック・揚貨装置の運転(第3号)
- 最大積載量2トン以上の貨物自動車、乗合自動車などの運転(第6号)
- 運転中の原動機や動力伝導装置の掃除・給油・検査・修理・ベルトの掛換え(第9号)
- クレーンなどの玉掛け(第10号)。ただし、2人以上で行う玉掛けの補助作業は除かれます。
- 動力プレス機械の金型やシヤーの刃部の調整・掃除(第15号)
高所・建設・林業
- 深さ5メートル以上の地穴など、土砂が崩れるおそれのある場所での業務(第23号)
- 高さ5メートル以上で墜落のおそれのある場所での業務(第24号)
- 足場の組立・解体・変更(第25号)。地上・床上での補助作業は除かれます。
- 胸高直径35センチメートル以上の立木の伐採(第26号)
有害物・環境
- 水銀・塩酸・硝酸・水酸化ナトリウムなどの有害物を取り扱う業務(第32号)
- 有害放射線にさらされる業務(第35号)、著しく暑熱・寒冷な場所での業務(第36号・第37号)
- 強烈な騒音を発する場所での業務(第40号)
- 病原体によって著しく汚染のおそれのある業務(第41号)
接客など
- 焼却・清掃・と殺の業務(第42号)
- 刑事施設または精神科病院での業務(第43号)
- 酒席に侍する業務(第44号)、特殊の遊興的接客業での業務(第45号)
第46号は「厚生労働大臣が別に定める業務」です。第1号から第45号に載っていなくても、告示で追加されている可能性があります。
AIがよく間違える7つの答え
誤り1:「本人と親の同意があれば危険な作業も任せられる」
第62条にも第63条にも、同意による例外はありません。第57条第2項に出てくる親権者の同意書は、第56条第2項の許可を受けて児童を使う場合に備え付ける書類です。危険有害業務を解禁する書類ではありません。
誤り2:「重量物は一律20kgまで」
20kgは、16歳以上18歳未満の男性が継続作業をする場合の数字です。16歳未満の女性の継続作業なら8kgです。年齢・性別・作業の形の3つを確かめないと、上限は決まりません。
誤り3:「16歳を過ぎれば坑内で働ける」
第63条の対象は「満十八才に満たない者」です。16歳という区切りが出てくるのは第70条です。第70条は、職業能力開発促進法の認定を受けた職業訓練について、厚生労働省令で別段の定めができるとしています。そのうえで、坑内労働の禁止については「満十六歳に満たない者に関しては、この限りでない」としています。16歳未満には例外を作れないという意味で、16歳以上なら自由に働けるという意味ではありません。
さらに第71条で、この省令は行政官庁の許可を受けた使用者に使われる労働者にだけ適用されます。
誤り4:「看護学生も病原体を扱う業務は禁止」
第8条ただし書で、第41号(病原体で著しく汚染のおそれのある業務)は、保健師助産師看護師法の免許を受けた者と、保健師・助産師・看護師・准看護師の養成中の者には適用されません。看護の養成課程にいる18歳未満は、第41号の制限の対象外です。
誤り5:「クレーンの仕事は18歳未満は一切だめ」
第3号のクレーンの運転と第10号の玉掛けは禁止です。ただし第10号は、2人以上で行う玉掛けの補助作業を除いています。「クレーンに関わる仕事はすべて禁止」と答えると、条文より広く制限することになります。
誤り6:「罰則はどれも30万円以下の罰金」
第62条違反は第119条第1号で、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。第63条違反は第118条第1項で、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。第57条違反は第120条第1号で、30万円以下の罰金です。3つの条文で、罰則の重さが3段階に分かれています。
誤り7:「年齢は本人の申告で確認すればよい」
第57条第1項は、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けることを求めています。口頭の申告だけでは、この義務を果たしたことになりません。
AIに確認するときの質問例
AIに相談するときは、次のように条文番号と条件をそろえて聞くと、答えの誤りに気づきやすくなります。
- 「17歳・女性・継続作業で、何kg以上が労働基準法第62条と年少者労働基準規則第7条の重量物にあたりますか。条文の表を示してください」
- 「年少者労働基準規則第8条の第何号に、この作業はあたりますか。ただし書や除外の文言も示してください」
- 「第62条違反と第63条違反の罰則を、第118条・第119条の号まで示してください」
答えに条文番号が出てこないときや、「同意があれば」「一律に」といった言葉が出てきたときは、e-Gov法令検索で原文を確かめてください。
この記事で確認していないこと
- 第8条第46号にもとづき、厚生労働大臣が別に定めている業務の中身(告示)
- 「酒席に侍する業務」「特殊の遊興的接客業」に、どの仕事があたるかの解釈(通達)
- 第70条にもとづく職業訓練の特例を定めた厚生労働省令の具体的な内容
- 18歳未満の労働時間・深夜業の制限(第60条・第61条。別の記事で扱っています)
上の点は、今回確認した条文だけでは判断できません。実務で判断が必要なときは、所轄の労働基準監督署や専門家に確認してください。
まとめ
- 18歳未満を、危険な業務・重量物を取り扱う業務・有害な業務に就かせてはなりません(第62条)。同意による例外はありません。
- 重量物の上限は年齢・性別・断続か継続かで8kg〜30kgに分かれ、表の数字ちょうども対象です(年少者労働基準規則第7条)。
- 禁止業務は第8条の第1号〜第46号です。第10号の補助作業や第41号の看護職・養成中の者など、除外もあります。
- 18歳未満の坑内労働は禁止です(第63条)。職業訓練の特例(第70条)も、16歳未満には作れません。
- 罰則は第62条が第119条、第63条が第118条、第57条が第120条で、重さが違います。
出典:労働基準法(昭和22年法律第49号)第57条・第62条・第63条・第70条・第71条・第118条〜第120条(e-Gov法令検索API v2、322AC0000000049_20260717_508AC0000000060)。年少者労働基準規則(昭和29年労働省令第13号)第7条・第8条(e-Gov法令検索API v2、329M50002000013_20210401_502M60000100203)。2026年10月28日に取得。
AI Scout編集部
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