AIが「完全歩合なら売上ゼロで給料ゼロ」と答える2026|労基法27条の出来高払制の保障給は労働時間に応じ一定額の保障が義務・保障額の割合は条文に無い・6割は26条の休業手当・違反は30万円以下の罰金
AIに歩合給の保障を聞くと「成果ゼロなら賃金ゼロ」「保障は平均賃金の6割」と答えることがあります。労基法27条の保障給を条文で確認し、5つの誤答と確認手順を解説します。
「歩合給だけの仕事で、売上がゼロの月は給料もゼロで問題ありませんか」とAIに聞くと、「完全歩合なので成果がなければ支払いは不要です」と答えることがあります。逆に「保障額は平均賃金の6割と法律で決まっています」と言い切る例もあります。
どちらも、条文とは違います。労働基準法第27条は、出来高払制その他の請負制で使用する労働者について、使用者は労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならないと定めています。一方で、保障額の割合や金額は、条文に書かれていません。
この記事では、e-Gov法令検索で取得した労働基準法第9条・第12条・第26条・第27条・第120条の条文をもとに、AIが取り違えやすい点と、AIに正しく答えさせる手順をまとめます。
出来高払制の保障給の基本ルール
| 項目 | 条文の内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 対象 | 出来高払制その他の請負制で使用する労働者 | 労基法第27条 |
| 使用者の義務 | 労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない | 労基法第27条 |
| 保障額の割合・金額 | 条文に定めなし | 労基法第27条 |
| 「労働者」の定義 | 職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者 | 労基法第9条 |
| 罰則 | 30万円以下の罰金 | 労基法第120条第1号 |
AIがよく出す5つの誤答
誤答1:「完全歩合なら、成果ゼロの月は賃金ゼロでよい」
第27条は「保障をしなければならない」と定めています。出来高払制や請負制で使用する労働者について、使用者の義務です。
成果がなかった月でも、働いた時間があれば、時間に応じた一定額の保障が問題になります。「歩合だから仕方ない」という答えは、第27条を見落としています。
誤答2:「保障額は平均賃金の6割と条文に書いてある」
第27条には、「一定額」とあるだけで、割合や金額の文言はありません。「平均賃金の100分の60」は、休業手当を定めた第26条の数字です。
第12条第1項第1号にも「100分の60」が出てきます。これは、出来高払制などの平均賃金を計算するときの最低保障額の定めです。どちらも第27条の保障額そのものではありません。具体的な水準は、労働基準監督署に確認します。
誤答3:「月に一定額を払えば、働いた時間は関係ない」
第27条の文言は「労働時間に応じ」です。働いた時間に結びつけて、一定額を保障する仕組みです。
働いた時間の長さを考えずに月額だけを決める答えは、条文の文言とずれています。AIには「労働時間に応じ」という語を示して、答え直させます。
誤答4:「請負制と書いた契約なら、労基法は関係ない」
第27条の対象は、請負制で「使用する労働者」です。契約書の名前ではなく、労働者に当たるかどうかで決まります。
第9条は、労働者を「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」と定めています。業務委託の形でも、実態として使用されていれば対象になり得ます。当てはめは条文だけでは決まらないため、専門家に確認します。
誤答5:「保障給を払わなくても罰則はない」
第120条第1号は、第23条から第27条までの違反を30万円以下の罰金としています。第27条もこの範囲に入ります。
AIが「努力義務なので罰則はない」と答えたら、第120条第1号の本文を貼って答え直させます。
AIに正しく答えさせる手順
手順1:条文を貼ってから聞く
AIの記憶だけで答えさせないことが基本です。e-Gov法令検索から労基法第27条と第120条の本文をコピーし、質問の前に貼り付けます。
手順2:「条文にある数字」と「条文にない数字」を分けさせる
次のように指示します。「答えに出てくる数字ごとに、第27条の条文にあるか、ないかを示してください」。分けると、第26条の6割との混同が起きにくくなります。
手順3:働き方の実態を先に渡す
対象になるかは、労働者に当たるかで変わります。「指示を受けて働いているか」「時間や場所を決められているか」など、実態を質問に書いてから答えさせます。
手順4:確認用の質問で答えを試す
次の質問をAIに出し、条文どおりに答えるかを試します。
- 歩合給だけの営業職で、売上がゼロの月があります。第27条によると、使用者に何の義務がありますか。
- 第27条の保障額は、平均賃金の何割と条文に書かれていますか。
- 「平均賃金の100分の60」が出てくる条文はどれですか。第27条との違いも答えてください。
- 第27条に違反した場合の罰則は、どの条文で、上限はいくらですか。
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順5:判断が分かれる点は専門家に確認する
保障額の具体的な水準は、条文に書かれていません。労働者に当たるかどうかの判断も、実態によって変わります。賃金制度を決める前に、社会保険労務士や労働基準監督署に確認します。
まとめ
- 出来高払制その他の請負制で使用する労働者には、労働時間に応じた一定額の賃金の保障が必要です(労基法第27条)。
- 保障額の割合や金額は、第27条に書かれていません。
- 「平均賃金の100分の60」は、第26条(休業手当)と第12条第1項第1号(平均賃金の最低保障額)の数字です。
- 対象は契約の名前でなく、労働者に当たるかで決まります(労基法第9条)。
- 違反は30万円以下の罰金です(労基法第120条第1号)。
平均賃金の計算方法は、平均賃金と休業手当の記事で解説しています。賃金からの控除は、第24条の記事をご覧ください。
出典:労働基準法 第9条・第12条・第26条・第27条・第120条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049、2026年7月17日施行版)。2026年10月14日取得。
AI Scout編集部
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