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AIが「外回りはみなし労働だから残業代は出ない」と答える2026|労基法38条の2は労働時間を算定し難いときだけ・通常必要時間でみなす・協定は届出・違反は30万円以下の罰金

AIに「外回りの営業は残業代が出るか」と聞くと「みなし労働だから出ない」と答えることがあります。労基法38条の2の条文で、算定し難い条件・通常必要時間・協定届出と5つの誤答を解説します。

#AI活用#業務効率化#品質管理#プロンプト#人事#労務

「営業で外回りが多い社員は、事業場外みなし労働時間制だから残業代はいらないですよね」とAIに聞くと、「はい、みなし労働時間制では実際の労働時間にかかわらず所定労働時間働いたものとみなすので、残業代は発生しません」と答えることがあります。「テレワークや直行直帰なら、自動的にみなし労働時間制になります」と答える例もあります。

どちらも、条文の書き方とは違います。労働基準法第38条の2は、事業場外で働いた場合で、かつ労働時間を算定し難いときに限って、所定労働時間働いたものとみなす規定です。さらに、ただし書で、通常は所定労働時間を超えて働く必要がある業務なら、その業務に通常必要な時間働いたものとみなすと定めています。

この記事では、e-Gov法令検索で取得した労働基準法第38条の2・第119条・第120条の条文をもとに、AIが取り違えやすい点と、AIに正しく答えさせる手順をまとめます。

第38条の2の基本ルール

項目内容根拠
対象となる場面労働時間の全部または一部について、事業場外で業務に従事した場合第38条の2第1項
適用の条件労働時間を算定し難いとき第38条の2第1項
原則のみなし時間所定労働時間労働したものとみなす第38条の2第1項本文
例外のみなし時間通常所定労働時間を超えて働く必要がある業務は、その業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす(厚生労働省令で定めるところによる)第38条の2第1項ただし書
労使協定ただし書の場合に、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)との書面の協定があれば、協定で定める時間を「通常必要とされる時間」とする第38条の2第2項
協定の届出使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、協定を行政官庁に届け出る第38条の2第3項
届出義務違反の罰則30万円以下の罰金第120条第1号

AIが間違えやすい5つの答え

誤答1:「みなし労働時間制なら残業代は一切出ない」

第38条の2は、労働時間を「何時間とみなすか」を決める規定です。割増賃金をなくす規定ではありません。条文には、時間外労働の割増賃金(第37条)を適用しない、という文言はありません。

そのため、みなされた時間が1日8時間・1週40時間(第32条)を超えれば、超えた部分は時間外労働として扱う、と読むのが条文の構造に沿った理解です(当サイトの解釈)。たとえば「通常必要とされる時間」が9時間なら、1時間は法定労働時間を超えます。「みなし=残業代ゼロ」と答えるAIは、この点を落としています。

誤答2:「外回り・テレワーク・直行直帰なら自動的にみなし労働時間制になる」

第1項の条件は2つあります。①事業場外で業務に従事したこと、②労働時間を算定し難いときであることです。事業場の外で働いたというだけでは、②を満たしません。

どういう場合に「算定し難い」といえるかは、条文には具体的に書かれていません。業務の指示の出し方や、報告・連絡の方法など、実際の働き方で判断が分かれる部分です。AIが「外回りだから該当」と断定したら、②の条件を確認したかを聞き直します。

誤答3:「みなせるのは所定労働時間だけ」

第1項ただし書は、通常所定労働時間を超えて働く必要がある業務について、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」労働したものとみなすと定めています。所定労働時間が8時間でも、その業務に通常10時間かかるなら、みなす時間は8時間ではありません。

所定労働時間でみなし続けると、実態より短い時間で労働時間を数えることになります。AIの答えが本文だけを引いて、ただし書に触れていなければ不十分です。

誤答4:「労使協定がないとみなし労働時間制は使えない」

第2項の労使協定は、ただし書の「通常必要とされる時間」を、協定で定めた時間にするための仕組みです。第1項本文の「所定労働時間労働したものとみなす」は、協定がなくても条文上成り立ちます。

協定を結ぶと、通常必要とされる時間を労使で決めておけるため、日ごとの判断のぶれを減らせます。協定は「導入の必須条件」ではなく、「みなす時間の決め方」の一つです。

誤答5:「協定を結べば届け出る必要はない」

第3項は、使用者は「厚生労働省令で定めるところにより」協定を行政官庁に届け出なければならない、と定めています。第120条第1号は、第38条の2第3項に違反した者を30万円以下の罰金の対象に挙げています。

届出の方法や対象の細かい扱いは、条文が委ねている厚生労働省令で決まります。この記事では省令を取得していないため、届出が必要な範囲の細部は労働基準監督署で確認してください。

具体例で確認する

状況条文に照らした答え根拠
所定7時間・終日外回り・労働時間を算定し難い・業務は通常7時間で終わる7時間労働したものとみなす第38条の2第1項本文
所定8時間・終日外回り・算定し難い・業務に通常10時間かかる10時間労働したものとみなす。8時間を超える2時間は時間外労働として扱う(当サイトの解釈)第38条の2第1項ただし書、第32条、第37条
上と同じで、労使協定で通常必要な時間を9時間と定めた9時間を通常必要とされる時間とする。協定は届出が必要第38条の2第2項・第3項
外回りだが、訪問先と時刻を逐一指示し、終業時に実績を報告させている「算定し難い」に当たるかが問題になる。外で働いたことだけでは適用されない第38条の2第1項
協定を結んだが、監督署に届け出ていない第3項違反。30万円以下の罰金の対象第38条の2第3項、第120条第1号

AIに正しく答えさせる手順

手順1:条文を指定して聞く

「事業場外みなし労働時間制について」とだけ聞くと、AIは一般論で答えがちです。「労働基準法第38条の2第1項から第3項の条文に沿って答えてください」と条文を指定します。

手順2:条件を2つに分けて答えさせる

次のように、適用の条件とみなす時間を分けて聞くと、取り違えが減ります。

  • 「事業場外で働いたこと」と「労働時間を算定し難いこと」を、それぞれ満たすか分けて判定してください。
  • みなす時間は、本文(所定労働時間)とただし書(通常必要とされる時間)のどちらに当たるかを示してください。
  • みなした時間が1日8時間・1週40時間を超えるかを、第32条と照らして示してください。

手順3:答えに根拠の条・項を付けさせる

「各結論の末尾に、根拠の条・項・号を書いてください。条文に書いていないことは『条文に記載なし』と書いてください」と指示します。根拠が書けない結論は、AIの推測と考えます。

手順4:確認用の質問で答えを試す

本番で使う前に、答えが分かっている質問を投げて確認します。

  • 終日外回りでも、労働時間を算定できる場合に第38条の2は適用されますか。
  • 通常10時間かかる業務を所定8時間でみなすことは、条文に合っていますか。
  • 第38条の2第2項の協定を届け出なかった場合、罰則はありますか。

1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。

手順5:判断が分かれる点は専門家に確認する

「労働時間を算定し難い」に当たるかどうか、事業場内で働いた時間との合算、届出の細部は、省令・通達・裁判例で決まる部分です。この記事では省令・通達・裁判例を取得していません。実際の制度運用は、労働基準監督署、社会保険労務士に確認してください。

まとめ

  • 第38条の2は、事業場外で働き、かつ労働時間を算定し難いときに、労働時間を「みなす」規定です。
  • 原則は所定労働時間でみなします。通常それを超える業務は、通常必要とされる時間でみなします(第1項ただし書)。
  • みなした時間が法定労働時間を超えれば、超えた部分は時間外労働として扱います。「みなし=残業代ゼロ」は誤りです。
  • 労使協定は通常必要とされる時間を決める仕組みで、結んだら届出が必要です。届出義務違反は30万円以下の罰金です(第120条第1号)。
  • AIには条文を指定し、「算定し難いか」と「どの時間でみなすか」を分けて答えさせましょう。

出典:労働基準法 第38条の2・第119条・第120条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049、2026年7月17日施行版)。2026年10月17日取得。第32条・第37条の内容は同法の条文によります。みなし時間が法定労働時間を超えた部分の扱いは、条文の構造から当サイトが整理した解釈です。

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年10月17日
最終更新: 2026年10月17日