AIが「条件が違っても退職は2週間前に申し出る」と答える2026|労基法15条は明示された労働条件が事実と違えば即時解除できる・住居を変えた人が解除日から14日以内に帰郷する旅費は会社負担・違反は30万円以下の罰金
AIに「聞いた条件と違う職場を辞めたい」と聞くと「2週間前に申し出が必要」と答えることがあります。労基法15条の条文で、即時解除・帰郷旅費と5つの誤答、正しく答えさせる手順を解説します。
「入社してみたら、求人や契約のときに聞いた給料よりも低い額でした。辞めたいのですが、2週間前に言わないと辞められませんか」とAIに聞くと、「民法上、退職の申し出から2週間は働く必要があります」と答えることがあります。「引っ越してきた費用や帰りの交通費は自己負担です」と付け加えることもあります。
どちらも、条文とは違います。労働基準法第15条第2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができると定めています。さらに第3項は、就業のために住居を変更した労働者が契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者が必要な旅費を負担しなければならないと定めています。
この記事では、e-Gov法令検索で取得した労働基準法第15条・第120条の条文をもとに、AIが取り違えやすい点と、AIに正しく答えさせる手順をまとめます。
第15条の基本ルール
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 使用者の義務 | 労働契約の締結に際し、賃金・労働時間その他の労働条件を明示する | 労基法第15条第1項 |
| 明示の方法 | 賃金・労働時間など厚生労働省令で定める事項は、省令で定める方法で明示する | 労基法第15条第1項 |
| 労働者の権利 | 明示された労働条件が事実と相違する場合、即時に労働契約を解除できる | 労基法第15条第2項 |
| 帰郷旅費 | 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者が必要な旅費を負担する | 労基法第15条第3項 |
| 罰則 | 第15条第1項・第3項の違反は30万円以下の罰金 | 労基法第120条第1号 |
AIが間違えやすい5つのポイント
誤答1:「条件が違っても、2週間前に申し出ないと辞められない」
第15条第2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できると定めています。2週間などの予告期間は、この項には書かれていません。
AIは、退職の一般ルールである民法第627条の「2週間」と混同しがちです。一般的な退職の申し出は退職の申し出期間の記事で解説しています。第15条第2項は、それとは別に置かれた規定です。
誤答2:「帰りの旅費は労働者の自己負担」
第15条第3項は、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければならないと定めています。「負担してもよい」ではなく、義務として書かれています。
誤答3:「14日以内は入社日から数える」
条文の起点は契約解除の日です。入社日や、条件の違いに気づいた日ではありません。また、条文は「1か月以内」ではなく「14日以内」です。
誤答4:「誰でも帰郷旅費を請求できる」
第3項の対象は、就業のために住居を変更した労働者です。また、第3項は「前項の場合」とあり、第2項による即時解除をした場合を前提にしています。もともと自宅から通っている人や、別の理由で退職した人にそのまま当てはまる規定ではありません。
誤答5:「第15条には罰則がない」
第120条第1号は、第15条第1項または第3項の規定に違反した者を30万円以下の罰金に処すると定めています。労働条件を明示しなかった場合や、帰郷旅費を負担しなかった場合が該当します。第2項は労働者の権利を定めた規定なので、罰則の対象として挙げられているのは第1項と第3項です。
具体例で確認する
| 状況 | 条文に照らした整理 |
|---|---|
| 明示された月給と実際の月給が違い、すぐに辞めたい | 明示された条件と事実が相違するなら、即時に解除できる(第2項) |
| 就職のため地方から引っ越し、即時解除後10日目に実家へ戻る | 契約解除の日から14日以内なので、使用者が必要な旅費を負担する(第3項) |
| 即時解除から20日後に帰郷する | 「14日以内」を過ぎているため、第3項の条件には当たらない |
| 実家から通勤していた人が即時解除した | 住居を変更していないため、第3項の帰郷旅費の対象ではない |
| 会社が労働条件を明示しなかった | 第1項違反で、30万円以下の罰金の対象(第120条第1号) |
AIに正しく答えさせる5つの手順
手順1:条文番号と項を指定する
「労働基準法第15条第2項と第3項の条文に沿って答えてください」と項まで指定します。指定しないと、民法の退職ルールと混ざりやすくなります。
手順2:条文を貼り付けて根拠を限定する
e-Gov法令検索から第15条の条文をコピーして貼り付け、「この条文に書かれていることだけで答えてください」と指示します。
手順3:起点と期間を明示させる
「14日はいつから数えるか」を必ず質問に含めます。正しい答えは「契約解除の日から」です。
手順4:確認用の質問でテストする
本番で使う前に、次の質問で答えを確かめます。
- 明示された条件と事実が違う場合、予告期間なしで辞められますか。
- 帰郷旅費を負担するのは誰で、対象は誰ですか。
- 14日以内の起点はいつですか。
- 第15条に違反した場合の罰則を、条番号つきで答えてください。
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順5:判断が分かれる点は専門家に確認する
どの程度の違いが「事実と相違する」に当たるか、「必要な旅費」に何が含まれるかは、個別の事情で変わります。この記事では通達や判例を取得していないため、実際の判断は労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。
まとめ
- 明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できます(労基法第15条第2項)。
- 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者が必要な旅費を負担します(第3項)。
- 14日の起点は契約解除の日です。
- 第15条第1項・第3項の違反は30万円以下の罰金です(第120条第1号)。
- AIには条文と項を指定し、起点と対象者を確認させましょう。
労働条件の明示事項は、労働条件通知書の記事で解説しています。
出典:労働基準法 第15条・第120条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049、2026年7月17日施行版)。2026年10月15日取得。
AI Scout編集部
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