AI生成資料の画像に代替テキストが無い2026|読み上げ対応を整える5つの手順
AIで作った資料やスライドの画像に代替テキストが抜ける原因を整理し、意味のある画像の仕分けからaltの書き方、公開前チェックまで、読み上げ対応を実務で回す5つの手順を解説します。
AIに作らせた提案資料を社内に配ったところ、スクリーンリーダーを使う同僚から「図のところが何も読まれません」と連絡が来た。見た目はきれいに整っているのに、音声で聞くと肝心の部分が空白になっている。生成AIで資料作成を効率化した現場で、こうした指摘が増えています。
原因ははっきりしています。生成AIは「見える形」を作りますが、「読み上げられる形」は基本的に作らないからです。画像やグラフを差し込む処理と、その画像を説明する代替テキストを書く処理は、まったく別の作業です。後者は指示しない限り、誰もやりません。
なぜAIが作った資料は代替テキストが抜けるのか
生成物は「レイアウト」であって「説明」ではない
AIに「グラフを入れた資料を作って」と頼むと、画像やチャートが配置された成果物が返ってきます。ここで作られているのは配置と見た目です。その画像が何を表しているかという説明文は、成果物の中に含まれません。
人が資料を作るときは、図を貼った直後に「これは何の図か」を意識します。AIは指示された完成イメージを満たした時点で作業を終えます。代替テキストは指示に含まれていないので、最初から工程に存在しないわけです。
自動で付いたaltは中身を説明していない
ツールによっては、画像に自動でaltらしき文字列が入ることがあります。ただし中身を見ると「image」「グラフ」「図1」といった一般名詞だけ、というケースが少なくありません。
これは空欄より厄介です。チェックツールで「altあり」と判定されてしまうため、問題が検出されないまま公開に進みます。埋まっているのに情報がゼロという状態が、一番見落とされます。
チェックの担当が決まっていない
資料作成をAIに任せると、作る速度が上がります。一方で確認の工程は人のままです。速度差が開くほど、確認は後回しになります。読み上げ対応は見た目に影響しないため、目視だけのレビューでは永遠に気づけません。
放置するとどこで問題になるか
影響は社内の閲覧だけにとどまりません。公開資料であれば、音声読み上げを使う利用者に情報が届かなくなります。自治体や大企業の入札・取引条件で、資料のアクセシビリティ対応が問われる場面もあります。
もうひとつ見落とされがちなのが、検索エンジンやAI検索への影響です。画像の意味が本文側に一切書かれていないと、その図が伝えている情報は機械側から見て存在しないのと同じになります。グラフに重要な数字を置いたまま説明を書かない資料は、内容が評価されにくくなります。
読み上げ対応を整える5つの手順
手順1:画像を「意味あり」と「装飾」に仕分ける
すべての画像に説明が必要なわけではありません。最初にやるのは仕分けです。情報を持つ画像と、飾りの画像を分けます。
グラフ、図解、スクリーンショット、写真で内容を説明しているものは「意味あり」です。背景の模様、区切り線、雰囲気づくりのイラストは「装飾」です。装飾は空のaltを指定して、読み上げから外します。ここを分けないと、飾りの説明が延々と読まれて本文が聞き取れなくなります。
手順2:altは見た目ではなく役割を書く
代替テキストに書くのは、画像の見た目ではありません。その画像が資料の中で果たしている役割です。
たとえば棒グラフなら「棒グラフの画像」ではなく「導入後6か月で問い合わせ対応時間が短縮したことを示すグラフ」と書きます。読み手が知るべきなのは形状ではなく結論です。長さは一文、おおむね60文字前後を目安にすると扱いやすくなります。
AIに書かせる場合は、画像そのものと合わせて「この図で伝えたい結論」を渡してください。結論を渡さないと、AIは見えているものの描写だけを返します。
手順3:グラフと図解は本文にも要約を置く
複雑な図は、一文の代替テキストに収まりません。工程図、比較表、複数系列のグラフなどが該当します。
この場合はaltに「何の図か」だけを書き、詳しい内容は本文または図の直後のキャプションに文章で置きます。本文に書いておけば、読み上げでも検索でも拾われます。図に埋め込んだ数字は、必ず一度は文章側にも書き出しておくのが安全です。
手順4:読み上げ順とレイアウト順を揃える
スライド資料では、見た目の並び順と内部の要素順が一致しないことがあります。要素を後から追加したり、重ねて配置したりすると起きやすい現象です。
見た目では上から下に読める資料が、読み上げでは順序が入れ替わることがあります。作成ツールの読み上げ順の設定画面を開き、実際の並びと一致しているかを確認してください。AIが自動配置した資料ほど、この順序は崩れやすくなります。
手順5:公開前チェックを1枚のリストにする
最後に、確認作業を仕組みに落とします。担当者の心がけに任せると、忙しい時期に必ず飛びます。
チェック項目は4つで足ります。意味のある画像すべてにaltがあるか。altが一般名詞だけで終わっていないか。装飾画像が読み上げ対象から外れているか。図中の重要な数字が本文にも書かれているか。この4項目を資料の公開手順に組み込みます。
可能であれば、実際に読み上げ機能をオンにして冒頭の数枚を聞いてみてください。目視では気づけない抜けが、音声では数十秒で分かります。
よくある失敗
もっとも多いのは、altにファイル名がそのまま入っているケースです。英数字の羅列が読み上げられるため、聞く側の負担は説明が無い場合より大きくなります。
次に多いのが、装飾画像にも丁寧な説明を付けてしまうパターンです。良かれと思った対応が、本文を聞き取りにくくします。読み上げ対応は情報量を増やす作業ではなく、必要な情報だけを残す作業です。
三つ目は、文字が書かれた画像をそのまま貼ることです。図の中の文字は読み上げられません。伝えたい文言は、画像ではなくテキストとして置いてください。
まとめ
AIで作った資料に代替テキストが無いのは、AIの能力不足ではありません。代替テキストを作る工程が、そもそも作業指示に含まれていないためです。工程が無い以上、プロンプトを丁寧にしても自然には埋まりません。
対処の要点は5つです。意味ある画像と装飾を仕分ける。altには見た目ではなく役割を書く。複雑な図は本文にも要約を置く。読み上げ順とレイアウト順を揃える。公開前チェックをリスト化する。
特に効果が大きいのは、手順1の仕分けと手順5のチェックリストです。この2つを資料作成の流れに組み込むだけで、情報が届かないまま配布される事故は大きく減らせます。作る速度を上げたぶん、確認も仕組みに載せる。これがAIで資料を量産する際の前提になります。
AI Scout編集部
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