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AIが「罰せられるのは会社だけ・使用者は社長のこと・会社の罰金は個人より高い」と答える2026|労基法121条は違反者本人と事業主の両方を罰する・第10条の使用者は管理職も含む・事業主は各本条の罰金刑

労働基準法の罰則は「違反した者」を罰し、第121条で事業主にも各本条の罰金刑を科します。第10条の使用者は社長に限りません。防止措置をした場合の例外と、知って放置した事業主を行為者として罰する第2項も条文で確認します。

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残業代の未払いや36協定のない残業が見つかったとき、「罰せられるのは会社です」「課長は命令に従っただけなので責任はありません」とAIが答えることがあります。どちらも労働基準法の条文とは違います。

この記事では、使用者の定義を定めた第10条と、両罰規定の第121条を条文で確認します。あわせて罰則の第117条〜第120条も確認し、AIがよく間違える6つの答えを正します。

結論:労働基準法違反で罰せられるのは誰か

  • 罰則の各条(第117条〜第120条)は、処罰の対象を「違反した者」と書いています。違反行為をした人がまず罰せられます。
  • 「使用者」は社長だけではありません。事業主、事業の経営担当者、労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者が使用者です(第10条)。
  • 違反した者が事業主のために行為した代理人・使用人その他の従業者であれば、事業主にも各本条の罰金刑が科されます(第121条第1項本文)。
  • 事業主に科されるのは「罰金刑」です。拘禁刑は第121条第1項の対象に入っていません。
  • 事業主(法人なら代表者)が違反の防止に必要な措置をしていた場合、第1項の罰金刑は科されません(第121条第1項ただし書)。
  • 事業主が違反の計画を知って防止しなかった、違反を知って是正しなかった、違反を教唆した場合は、事業主も行為者として罰せられます(第121条第2項)。

条文を確認する

労働基準法第10条(使用者の定義)

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

条文は3つの層を並べています。1つ目は事業主です。2つ目は事業の経営担当者です。3つ目は、労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者です。

3つ目の層に役職名の条件は書かれていません。残業を命じる、シフトを組む、休日を決めるといった行為を事業主のためにしていれば、肩書にかかわらず使用者に当たりうる書き方です。

労働基準法第121条(両罰規定)

この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主(事業主が法人である場合においてはその代表者、事業主が営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者又は成年被後見人である場合においてはその法定代理人(法定代理人が法人であるときは、その代表者)を事業主とする。次項において同じ。)が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない。
事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかつた場合、違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた場合又は違反を教唆した場合においては、事業主も行為者として罰する。

第1項本文は、従業者が違反したときに事業主「にも」罰金刑を科すと定めています。違反した従業者本人が罰せられることが前提の書き方です。

ただし書と第2項では、事業主が法人なら代表者を事業主として読みます。かっこ書きに「次項において同じ」とあるためです。

罰則の一覧(第117条〜第120条)

条主な対象法定刑
第117条第5条(強制労働の禁止)違反1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金
第118条第6条・第56条・第63条・第64条の2違反など1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
第119条第3条・第4条・第19条・第20条・第32条・第34条・第35条・第37条・第39条(第7項を除く)など6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
第120条第14条・第15条第1項・第23条〜第27条・臨検の拒否や虚偽の陳述(第101条関係)など30万円以下の罰金

第119条は、労働時間(第32条)、休憩(第34条)、休日(第35条)、割増賃金(第37条)の違反を含みます。第120条は罰金だけで、拘禁刑はありません。

AIがよく間違える6つの答え

間違い1:「罰せられるのは会社だけで、社員個人は罰せられない」

第117条〜第120条は「違反した者」を罰すると書いています。第121条第1項も、違反行為をした従業者がいることを前提に、事業主「にも」罰金刑を科す形です。違反行為をした人が処罰の対象から外れる条文ではありません。

間違い2:「使用者とは社長のことだ」

第10条は、事業主のほかに事業の経営担当者と、労働者に関する事項について事業主のために行為をするすべての者を使用者に含めています。部長や課長、店長も、残業命令やシフト決定を事業主のためにしていれば、この定義に当たりうる書き方です。

間違い3:「会社も拘禁刑を受ける」

第121条第1項が事業主に科すのは「各本条の罰金刑」です。拘禁刑は書かれていません。第2項で事業主が「行為者として」罰せられる場合は、各本条の刑がそのまま問題になります。

間違い4:「会社の罰金は個人より高い」

第121条第1項は「各本条の罰金刑」と書いています。法人だけ上限を引き上げる定めは、労働基準法第121条にはありません。たとえば第37条の割増賃金違反なら、事業主に科されうる罰金も第119条の30万円以下です。

間違い5:「部下が違反したら、会社は必ず罰金になる」

第121条第1項にはただし書があります。事業主(法人なら代表者)が違反の防止に必要な措置をしていた場合、第1項の罰金刑は科されません。どこまでが「必要な措置」かは条文に具体的に書かれていないので、個別の事案では専門家に確認してください。

間違い6:「社長は自分で手を下していなければ、知っていても責任はない」

第121条第2項は3つの場合を挙げています。違反の計画を知って防止しなかった場合、違反行為を知って是正しなかった場合、違反を教唆した場合です。このとき事業主(法人なら代表者)は「行為者として」罰せられます。

AIに聞くときのプロンプト例

AIの答えを条文で確かめられるよう、根拠条文を出させる聞き方が役に立ちます。

労働基準法違反で処罰される人について教えてください。
次の条件を守ってください。
・第10条、第117条〜第121条の条文の文言を引用して答える
・「違反した者」本人と、第121条で罰金刑を科される事業主を分けて書く
・第121条第1項ただし書と第2項の要件を省略しない
・条文に書かれていないことは「条文には書かれていない」と明記する

社内で確認しておきたいこと

  • 残業命令やシフト決定をしている管理職が、第10条の使用者に当たりうることを本人が知っているか。
  • 36協定の範囲や割増賃金の計算を、現場任せにせず確認する仕組みがあるか(第121条第1項ただし書の「防止に必要な措置」に関わります)。
  • 違反の報告を受けたときに是正する手順が決まっているか(第121条第2項の「是正に必要な措置」に関わります)。

まとめ

労働基準法の罰則は「違反した者」を罰します。使用者は社長だけでなく、事業主のために労働者に関する行為をするすべての者です(第10条)。そのうえで第121条が、事業主にも罰金刑を科します。防止措置をしていた場合の例外と、知っていて放置した事業主を行為者として罰する定めもあります。AIが「会社だけ」「社長だけ」と答えたら、第10条と第121条の文言で確かめてください。

個別の事案の判断は、労働基準監督署や弁護士・社会保険労務士に相談してください。

出典

労働基準法(昭和22年法律第49号)第10条・第117条・第118条・第119条・第120条・第121条(e-Gov法令検索API v2、322AC0000000049_20260717_508AC0000000060)。2026年10月28日に取得。

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年10月28日
最終更新: 2026年10月28日