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AIが休業手当の平均賃金を「労働日数」で割る2026|暦日数・最低保障額・除外する賃金を取り違えないための5つの手順

AIに休業手当を計算させると、平均賃金を労働日数で割ることがあります。原則は暦日数で割り、日給・時給制は最低保障額と比べます。除外する賃金と期間、5つの手順を解説します。

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「会社都合で休業した日の休業手当を計算してください」。AIにこう頼むと、直近3か月の賃金を「働いた日数」で割って1日あたりの金額を出すことがあります。1日の単価が高く出るため、もっともらしく見えます。

しかし、労働基準法の平均賃金は、原則として3か月間の賃金総額を「その期間の総日数(暦日数)」で割って求めます。労働日数で割るのは、日給制や時給制の人に使う「最低保障額」の計算だけです。AIはこの2つを混ぜてしまいます。

この記事では、AIが平均賃金の割る日数を取り違える原因と、ずれが出る場面、AIに正しく手伝わせる5つの手順をまとめます。

平均賃金の基本ルール

平均賃金は、休業手当・解雇予告手当・年次有給休暇の賃金(平均賃金で払う場合)などの基準になる金額です。労働基準法第12条に沿って整理します。

項目内容
原則の計算算定事由が発生した日以前3か月間の賃金総額 ÷ その期間の総日数(暦日数)
起算日賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から3か月をさかのぼる
最低保障額日給・時給・出来高払いの場合は、賃金総額 ÷ その期間の労働日数 × 60%。原則の額と比べて高いほうを使う
賃金総額から除くもの臨時に支払われた賃金、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)など
期間と賃金から除くもの業務上のけがや病気での休業期間、産前産後休業、会社都合の休業期間、育児・介護休業期間、試用期間

休業手当は、会社の責任による休業1日につき、平均賃金の60%以上を支払うものです(労働基準法第26条)。つまり、割る日数を誤ると、休業手当の金額そのものが変わります。

AIが取り違える3つの原因

原因1:「日割り」を労働日数で考える

給与計算の日割りでは、所定労働日数で割る方法がよく使われます。AIはこの感覚を平均賃金にも当てはめ、労働日数で割ってしまいます。暦日数より日数が少ないため、1日あたりの金額が高くなります。

原因2:最低保障額と原則を混同する

最低保障額の式には「労働日数」が出てきます。AIはこの式だけを覚えていて、月給制の人にも当てはめることがあります。月給制の人は、原則として暦日数で割る計算だけを使います。

原因3:除外する賃金と期間を落とす

AIは「3か月の総支給額」をそのまま足しがちです。賞与や臨時の手当が入ると金額が膨らみます。また、会社都合の休業期間や産前産後休業の期間を除かないと、日数と金額の両方がずれます。

ずれが出る3つの場面

以下の金額や日数は、仕組みを説明するための仮の数字です。実際の計算は、自社の賃金台帳と締切日で確認してください。

場面1:月給制の人を労働日数で割る

月給30万円で、直前3か月の暦日数が92日、労働日数が62日の社員がいるとします。原則の平均賃金は、90万円÷92日で約9,782円です。AIが62日で割ると約14,516円になり、休業手当を5割近く多く見積もります。

場面2:時給制の人に最低保障額を使わない

時給制で、3か月の賃金総額が24万円、暦日数が91日、労働日数が30日のパートの人がいるとします。原則の額は約2,637円ですが、最低保障額は24万円÷30日×60%で4,800円です。高いほうの4,800円を使うため、AIが原則の額だけを出すと不足します。

場面3:賞与を賃金総額に入れる

3か月の間に夏の賞与が支払われた社員がいるとします。賞与は3か月を超える期間ごとに支払われる賃金のため、賃金総額から除きます。AIが総支給額をそのまま使うと、平均賃金が大きく膨らみます。

AIに正しく手伝わせる5つの手順

手順1:給与形態と締切日を最初に渡す

プロンプトの冒頭に「月給制」「日給制」「時給制」のどれかと、賃金締切日を書きます。締切日から3か月をさかのぼって期間を決めるよう指示すると、起算日のずれを防げます。

手順2:割る日数の定義を指示に書く

「原則は暦日数で割る」「日給・時給・出来高払いの場合は、労働日数で割って60%を掛けた最低保障額とも比べる」と明記します。定義を渡さないと、AIは日割りの感覚で計算します。

手順3:賃金は月ごと・項目ごとに渡す

総支給額の合計ではなく、月ごとの基本給・手当・賞与を分けて渡します。そのうえで、除外する項目とその理由を表で出させると、賞与や臨時の手当の混入に気づけます。

手順4:除外する期間を洗い出させる

3か月の中に、会社都合の休業、産前産後休業、育児・介護休業、業務上のけがによる休業、試用期間がないかを確認させます。該当する場合は、その日数と賃金を両方除くよう指示します。

手順5:途中の式を必ず出させる

「賃金総額」「暦日数」「労働日数」「原則の額」「最低保障額」を1行ずつ出させます。端数の扱いも、社内の運用に合わせて指定します。最終的な金額は、自分で電卓を使って検算します。

検算のチェックリスト

  • 直前の賃金締切日から3か月をさかのぼっているか
  • 原則の計算を、暦日数で割っているか
  • 日給・時給・出来高払いの人は、最低保障額と比べて高いほうを使っているか
  • 賞与や臨時に支払われた賃金を賃金総額から除いているか
  • 会社都合の休業や産前産後休業などの期間と賃金を除いているか
  • 休業手当は、平均賃金の60%以上を休業日ごとに計算しているか

給与計算ソフトとの役割分担

給与計算ソフトには、平均賃金を自動で計算する機能を持つものがあります。ただし、除外する期間や賃金の区分が正しく登録されていないと、結果もずれます。AIは、ソフトに入れる前の期間と項目の整理に使うと効果的です。

ChatGPTやClaudeなどの対話型AIを使う場合も、割る日数の定義を明示することが前提です。割増賃金の基礎に入れる手当は残業代の基礎賃金の記事、日割り計算は日割り計算の記事で解説しています。

まとめ

平均賃金は、原則として直前3か月の賃金総額を暦日数で割って求めます。労働日数で割るのは、日給・時給・出来高払いの人の最低保障額の計算だけです。賞与や臨時の賃金、会社都合の休業などの期間は除きます。

防ぐ手順は、給与形態と締切日を渡す、割る日数の定義を書く、賃金を月ごと・項目ごとに渡す、除外する期間を洗い出させる、途中の式を出させる、の5つです。

なお、個別の計算や扱いについては、社会保険労務士や所轄の労働基準監督署に確認することをおすすめします。

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年9月24日
最終更新: 2026年9月24日